みどり壮の人々⑪

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大宮の権幕に連中は押されたのか少し、たじろいだ。
どっちにしても今日はユンボでアパートを解体する訳には行かない、
住人が未だ住んで居る。
連中にしても想定外だった。
売主の深堀から昨日で住民は綺麗さっぱりと退去をすませていると説明を受け会社からも支持されて今朝来たのだ。
連中もアテが外れた。
事情を会社に報告しなければならない。
今日はとりあえず帰りますが、事情はお判りでしょうね、こちらに所有権の法的根拠は有るのですから早々に明け渡してもらわないと一日一日に経費を支払ってもらいますよ。
大宮は何の経費か分からなかったが立場は向こうの方が断然強いと理解していた。
連中が帰った後、夜にアパート全員が庭に輪になって集まった。
イヤー。大変な事になった。
深堀は詐欺師だったのだ。
我々から905万円詐欺って高跳びしたらしい。
焼き鳥屋の仕入れ食品代金も踏み倒して逐電したらしい。
今朝、電源なんとかと言う会社の連中が来て立ち退けと行った時は吃驚したよと大宮がみんなに言った。
しかし、善後策を考えないと非常にまずいですねと橋田さんが言った。
みんな非常な困惑顔をしている。
一体どうなるのかしらと加島まきが言った。
ユンボでアパートを壊されたら、たまらないなと佐々木さんが言った。
山田の奥さんは深堀を訴えましょうよ、といきまいていたが訴えてもどうにもならない事情のようだった。



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