みどり壮の人々⑤

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空は澄み渡り太陽が輝き、雲がほんの少しばかり青空に浮いていた。
昨夜は星空だったから今日は良い天気になったのだろう。
こんにちはーと門扉を入った所で誰かが挨拶している。
全部で六所帯のアパートだから誰かが声に気付くだろうと思って誰と言わずに外から声を掛けていた。
今日の月曜日にアパートに居るのは、80代の老夫婦の西村とその息子50代のニートと年金生活者で独り者の大宮の三人だけだ。
後はみんな仕事に出ている。
大宮は外で誰かが、こんにちわーと言っているのは聞こえていたが、インターネット上で株の取引を遣っている最中だった。
買った銘柄が大きく下がってハラハラし、これから吹き上がるかもしれないと言う期待を以ってモニターを見つめていた最中に外で誰かが、こんにちわーと言っても構う気は無かったが余りにもシツコク挨拶を止めないので、窓から外を見たら大家の深堀だった。
せめて一週間くらいの間隔を置いて来るのかと思って居たら翌日とは。
この深堀は余程この話を急いでいるのだなと大宮は思った。
ああ深堀さんと大宮は窓から首を出して言った。
深堀は愛想笑いを浮かべながら、アパートを買う話は、みなさんはどうでしょうかねと窓から首だけを出している大宮に視線を上げて言った。
大宮は二階の201号室に住んで居るから深堀を見下ろす視線になっている。
その話なら昨夜おおかたしたよ。
皆は買っても良いと言う意見で纏まりつつあるがね。
では、900万円の金額の件もその通りでと言う事でみなさん納得でしょうか。
まぁそう言う事になるが大きな金額の買い物だから、もう少し話を煮詰めて行かなければねー。
今日はみんなは仕事に出て居ないよ。
それは分かっています、ただ感触はどうなのかなと言う事でお伺いした次第でして。
今夜また、みんなで話をするからその時に来たら良いよ。
大体19時頃から今夜も話し合おうと言っていたから。
そうですか、では今夜の19時頃に来てみますと言って、深堀は汗で濡れた背中を見せて帰って行った。

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