みどり壮の人々➃

記事
小説
大家が帰った後にアパートの皆は庭の土の上に輪になって話をした。
今日は日曜日でアパートの全員が居ると目星を付けて深堀は来たのだろう。
大家の話どう思う50代の夫婦二人暮らしの山田さんの奥さんが目を、ぎらつかせて言った。
900万円は高いと思わない?
と言ったが。
しかし、土地も一緒についているからそんなに法外な高い値段じゃないと思うがねーと大宮が言った。
あの深堀は随分と切羽詰まったような感じを受けたから早く売れるように900万円に設定したのだろうと80代の西村さんが言った。
西村さんの息子のニートは黙ってみんなの顔を見ているだけだった。
一所帯で150万円の支出額だったら何とか出す事は出来るのじゃないかなーと40代の佐々木さんが言ったが、みんなからの異論は出なかった。
どうせ、今まで家賃を払って居ても満足に修理や借家人の依頼を渋ってばかりで結局は自分たちでお金を出していたから、家賃を払い続けるメリットは無いなと山田さんが言った。
皆の気持ちは、この土地付安アパートの不動産を買う方向に纏まりつつあった。
そうだ、加島さんアナタはどう思うの山田の奥さんが言ったので、20代の看護師の加島まき さんは私はみなさんの意見に従います、それにずっと総合病院に勤めて150万円位の貯蓄は有りますので出せると思いますと言った。

俺はさぁいつも不思議に思っていたんだけど加島さんのような器量よしで若い女性が何故こんな安アパートに住んで居るのかと思っているんだよねと山田さんが聞いた。
私はお金を貯めて故郷の両親に家を建ててあげたいのです。
両親はずっと苦労の連続でしたから。
子供は私一人しかいませんと言った。

アンタ余計な事を聞くもんじゃないよ!と奥さんから叱責された。
ちょっと若くて様子が良い女の人をみると直ぐに、やにさがるからウチの旦那は!。
輪の中に失笑が起きた。
それで、みんなどうするね、買う方向で話が進んでも良いかね?
と大宮が言ったので、みんなもそれで良いのじゃないかなと言った。
時刻は夜の九時を回っていた夜空に星が瞬いてる虫が足元で鳴いている、街灯が眩しく輝いていた。みんなは遅い夕飯になってしまった。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す