こんなに心配になるのに、なぜお金の相談はしにくいのだろう

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マネー・副業
「老後のことを考えると、なんとなく気持ちが重くなる。」

「給料日前になると、口座の残高を確認するのが怖い。」

「なんとなく節約しなきゃと思いながら、気づいたらまた使ってしまっている。」

こういった感覚、ありませんか。

お金に関する不安は、多くの人が抱えています。厚生労働省の「国民生活基礎調査(令和4年)」によると、日常生活に悩みやストレスを感じている人の割合は約45%、つまりおよそ2人に1人。そして、その悩みの内容として「所得・収入・家計・借金等」が上位に挙がっています(出典:厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」)。

老後の話に絞っても、金融広報中央委員会の調査では「老後の生活に不安を感じる」と回答した人が81.6%に上ります(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」2023年、二人以上世帯)。

**こんなに多くの人が、お金のことで心配しているのです。**

でも、だからといって「誰かに相談した」という人がどれだけいるでしょうか。

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## お金の心配は、心と体にこんなことを起こす

「お金のことが頭から離れない」という状態が続くと、心身にさまざまな変化が起きてきます。

アメリカ心理学会(APA)の「Stress in America 2022」という調査では、お金がストレス源だと答えた人たちにこんな症状が報告されています。

- 頭痛(38%)
- 慢性的な疲労(35%)
- 不安感・神経過敏(34%)
- 抑うつ気分(33%)
- 睡眠の質の低下(32%)

(出典:APA "Stress in America 2022")

「最近なんか体がだるい」「夜なかなか眠れない」——その裏側に、お金への漠然とした不安が関係していることは、意外と多いのです。

さらに同調査では、お金の心配を抱えている人の37%が「ストレスを感じると何もできなくなる」と答えています。頭でわかっていても、体が動かない。あの感覚は、まさにここから来ているのかもしれません。

僕自身、独立してからの最初の数週間は、毎朝目が覚めるたびに「今月の収入どうなるんだろう」と考えていました。朝ごはんを食べながら、移動中の電車の中でも、頭のどこかにずっとお金のことがある。あれは正直、しんどかったです。専門職として「ストレス反応ですよ」と人に説明してきた僕自身が、まんまとそのど真ん中にいました。

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## お金の心配で「してしまう行動」

お金の不安が続くと、心は無意識にそれを和らげようとします。ただ、その方法が必ずしも問題解決につながらないのが厄介なところです。

**「見ないようにする」**

通帳やスマホアプリを開かない。請求書を確認しない。「今は忙しいから」「落ち着いたら考えよう」が積み重なる。

これは心理学的には「回避行動」と呼ばれます。不安なことから目を背けることで、一時的にラクになれる。でも問題は何も解決していないから、またじわじわと不安が戻ってくる。

**「衝動的に使ってしまう」**

「どうせ無理だから」という気持ちで、意外と散財してしまうことがあります。不安をまぎらわすために、食べる、買う、スマホを見続ける——これらも感情を調整しようとする心の働きです。

「お金が不安なのに、なぜか使ってしまう」という矛盾、経験がある方もいるのではないでしょうか。

**「先延ばしが続く」**

「家計を見直そう」「保険を整理しよう」「老後のこと、そろそろ考えなきゃ」——わかってはいるけれど、なかなか動き出せない。

これも意志の弱さではありません。不安が強すぎると、人はむしろ動けなくなる。脳が「考えたくない」という防衛モードに入るからです。

臨床の現場でよく見るのですが、「やらなきゃいけないことほど、後回しになる」というのは、怠けているのではなく、心がSOSを出しているサインであることが多いんです。

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## なぜ、お金の相談はしにくいのか

こんなに多くの人が悩んでいるのに、「誰かに相談した」という話はあまり聞きません。なぜでしょう。

**「お金の話は恥ずかしい」という空気**

日本では、お金の話をオープンにすることへの抵抗感が根強くあります。「いくら稼いでるの?」「貯金はどのくらい?」——そんな話題は、友人同士でもあまりしないですよね。だから「誰かに相談する」という発想自体が、なかなか浮かびにくい。

**「FPに行くほどの話じゃない」「心理士に話す内容じゃない」**

漠然とした不安は、「相談できるレベルの悩みじゃないかも」という思い込みにつながりやすいです。具体的な相談内容が固まっていないと、どこへ行けばいいかもわからない。

FP(ファイナンシャルプランナー)に行くのは「がっつり資産運用したい人」、心理士に行くのは「メンタルが相当つらくなってから」——そんなイメージを持っている方は多いと思います。でも実際は、「なんとなくお金が心配で、なんとなく気分が落ちている」という状態のほうが、早めに動くほど楽になれることが多い。

**「相談したら、現実を突きつけられる気がして怖い」**

これ、正直すごくわかります。

「数字を出されて、絶望的な現実を見せられたら……」という恐怖感。だから見ないようにしていたいし、誰かに話したくない。でも、現実を把握することで「あ、思ったほど悪くなかった」という安堵が生まれることも、同じくらいよくあります。

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## 「心とお金」を同時に扱える場所がある

ここで少し、僕自身の立場の話をさせてください。

僕は臨床心理士・公認心理師でありながら、FP2級の資格も持っています。この組み合わせは、かなり珍しいです。

心理士としてカウンセリングをしていると、「お金のことが不安で眠れない」「休職して収入が減って、将来が怖い」という相談が少なくありません。でも、純粋な心理的サポートだけでは、お金の不安の「現実の部分」には触れられない。

一方でFPに相談しても、「不安が強すぎて、数字が頭に入ってこない」という方も多い。

心の状態が整っていないと、情報が入ってこないんです。逆に、現実の状況が整理されないと、心の不安は消えない。

両方を行き来できるサポートがあると、「少しだけ動いてみようかな」という気持ちになりやすい——それが、僕がこの仕事をしている理由のひとつでもあります。

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「お金のことを誰かに話したことがありますか?」

友人でも、家族でも、専門家でもいい。ただ、「こんなことを相談していいのかな」と思い込んで、一人で抱えたままにしている方がいたら、それはもったいないなと思っています。

相談することで、すべてが解決するわけではありません。でも、誰かに話すだけで「頭の中でグルグルしていたもの」が少し整理されることがある。それだけで、次の一歩が踏み出しやすくなることが多いです。

まずは1つだけ。「最近、お金のことで気になっていること」を誰かに話してみてください。

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