小説を書くための準備:小説が始まる前からすでに物語りは始まっている

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こんにちは、アマチュア作家の天木和です。

今回は、小説を書き始めるためには、何が必要なのかについて解説していきます。

皆さんは小説をどんな風に書き始めているでしょう。

あるいは、どんな準備ができたら小説を書き始められると思いますか?

「登場人物のキャラもイメージできて、おおまかなプロットもできたら、最初から書き出してみます」

なるほど。いきなり失礼ですが、そんな書き方で失敗してやいませんか?

もちろん、そのような書き方ですでにたくさんの小説を書いてきたというなら、あなたの場合はそれで正しいのかもしれません。

けれども、登場人物のキャラとおおまかなプロットが用意できただけでいきなり小説を書き始めようとするのは、結構リスキーな書き方なんです。

なので、もしもこれまでそのような書き方をしてきて、実はあまりうまくいっていないのだとしたら、あなたは小説の書き方を改めるべきかもしれません。


小説が始まる前からすでに物語りは始まっている

「小説が始まる前からすでに物語りは始まっている」こういわれてピンと来る方はいるでしょうか。

一見矛盾しているように思えますが、これはとても当たり前のことを述べているに過ぎません。

小説の始まりに主人公が登場する前にもその主人公の人生はあるという意味です。

主人公が10歳の子どもでも、50歳の大人でも、そこに登場するまでに生きてきた物語りがすでにあるということ。

仮に、主人公がオギャっと生まれた瞬間から小説が始まるのだとしても、それ以前の歴史、つまり、主人公の両親の歴史があって、それが小説に大きな意味を持つことになります。

小説を書いているひとが錯覚しがちなのは、書き始めが物語りの始まりだと思ってしまうことです。

シナリオライターの指南書などでも登場人物のキャラクターを作り込む重要性について説いていることがよくあります。

登場人物の身体的特徴から性格、生まれ育ち、学歴や職業、生い立ち、家族のことなどについて事細かに設定することが物語りを作るために必要な準備であるというわけです。

いわば、登場人物のキャラクターをしっかり作り込むということは、小説の始まり以前の人生を考えることにもつながるので重要というわけです。

たしかに、登場人物ごとに詳細な設定が決まっていればよいこともあるかもしれません。

しかしながら、私の個人的な意見としては、人物シートの空欄を埋めることが小説を書くために必須ではないと思っています。

小説を書き始めるためにもっとも必要な準備とは?

小説を書く場合に登場人物の設定よりももっと大事なものがあります。

それは、小説が始まる以前の主人公の物語りです。

なぜなら、小説の中でこれから主人公に降りかかる出来事は、小説以前の主人公の生い立ちの結果として引き起こされるものでなくてはならないからです。

もちろん、登場人物の生き方とは無関係に唐突な事故や災害に見舞われるというストーリーもあるかもしれません。

けれども、その場合も出来事に出くわした人物たちがどのような反応を示すのかは、それぞれの人生観に左右されなければ、ドラマは生まれてきません。

ひとつ例を挙げてみましょう。

ある男性が、大きな病気を患ってしまい、それまでわがままで自分勝手に生きてきたという過ちに気づいて、生き方を変えるというテーマで小説を書くケースを考えてみます。

彼が病気になる原因が、暴飲暴食や運動不足だったとして、彼が毎晩たらふくラーメンやハンバーガーを食べたり、浴びるほどお酒を飲んだり、彼の身体を心配する妻に暴言を吐いたりするところから小説を書き始まるべきでしょうか?

おそらくそこから小説が始まったとしたら、たいていの読者がその先を読まないのではないでしょうか。

多くの読者を惹きつけたいなら、彼が会議中に病気のシグナルである発作に苦しむといったところから小説を始めてみるのがよいかもしれません。

当たり前の話ですが、小説はどこから始めるかということが極めて重要なんです。

でも、それと同じくらい大事なのが、小説以前の登場人物の世界をせめて作者の心の中だけでもいいので作っておくことなんです。

つまり、小説は始まりからだけでなく、始まる以前のこともきちんと準備してから取りかからなくてはならないのです。

書き始めるあなたのことをお待ちしております。

いつでもお気軽にご相談ください。



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