長期と短期

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フラクタルという言葉をご存知でしょうか?フラクタルとは、フランスの数学者であるマンデルブロが導入した幾何学の概念であり、図形の部分と全体とが自己相似になっているものを言います。

例えば海岸線を順次拡大して見ていくと、拡大前後で海岸線の入り組み具合が変わらないように見える場合があります。もし、海岸線のみ記された地図の縮尺を伏せて、その地図の縮尺を当てなさいと言われたら、それを言い当てることができる人はいないでしょう。

これと同じことが、株価チャートについても言えます。株価チャートの時間軸を伏せて見た時に、そのチャートが日足なのか週足なのか、はたまた月足なのか、判断することは難しいでしょう。あるいは5分足チャートなのかもしれません。

このように、株価チャートもまた海岸線と同じく自己相似性を持つフラクタルであると言えます。もちろん、株価チャートは(海岸線の場合もそうですが)無限に拡大表示できる訳ではありません。
しかし、ここでは有限の自己相似であっても、フラクタルとして考えることにします。

株価チャートがフラクタルだとすると、私たちがその形状を判断する基準は、いったいどこにあるのでしょうか?

例えば海岸線の場合、私たちが海岸で遊んだりする際は、岩場の凸凹の大きさがスケールの基準となるでしょう。しかし、高台や飛行機から海岸線を見下ろした場合は、もっと大きなスケールが必要となります。

株価チャートの場合には、一般に、私たちの投資期間がスケールの基準になります。数日から数週間の投資期間の場合は日足を、数週間から数ヶ月の場合は週足を、数ヶ月から数年の場合は月足を見ることが多いでしょう。

さらに、デイトレーダーの場合は5分足等を見ることになります。なお、ここで言う投資期間とは、株式の保有期間を指します。

こうして考えると、私たちはトレードを行なう際に、自分の投資期間に相当するスケールのチャートのみを見ればよいということになるのでしょうか?

そんなことはありません。海岸線に立って海岸線を眺めても、自分が今何処にいるのか判断することは難しいでしょう。そこから気球などで上空に昇り、今いた海岸線を見下ろすことにより、自分がいた場所がより明確になります。

それでも分からなければ、さらに上空に昇ることで、日本のどの辺にいたのかがはっきりするでしょう。実は日本ではなくてハワイにいた、何てことが分かるかもしれません。

株価チャートについても同じことが言えます。たとえ数日間のトレードのつもりでも、日足チャートしか見ないでいると、自分が今どの位置にいるのか見失う場合があります。

上場来の全日足チャートを見ることは困難であり、自分が今いる位置が長期的な節目であったとしても、それに気が付かない可能性があります。週足や月足チャートを見ていれば、その節目は明確になっていたかもしれません。

仮に、全日足チャートを見ることができたとしても、全体像をつかむことは難しいかもしれません。
私たちが日本の全ての海岸線を歩いたとしても、正確な測量技術がない限り、日本の全体図をつかむことはできないでしょう。

そのために、たとえ短期トレードのつもりであったとしても、日足チャートだけでなくより長期のチャートを見る必要があったのです。

しかし、本来、月足や週足チャートに含まれる情報量よりも、日足チャートに含まれる情報量の方が遥かに多く、日足チャートだけを抑えておけば十分のような気がすることもまた事実です。これが難しいのは、チャート分析技術が不十分であることが一因として考えられます。

日足チャートに加えて週足や月足チャートを合わせて見ることで、私たちはここ数日のトレンド、ここ数週間のトレンド、ここ数ヶ月のトレンドを総合的に判断することになります。

そして、仮にここ数日のトレンドが下落基調であったとしても、ほどなく週足のトレンドに支えられて上昇に転じる可能性が高い、などと考えるわけです。

このように、複数の時間軸で株価やそのトレンドを捉えることにより、単一の時間軸で捉えるよりも的確な判断が行なえる可能性が広がります。

しかし、トレンドを読むという難しい分析を複数のチャートについて行い、さらにはそれらを総合的に判断するという高度な技術が要求されることになります。そして、それらは往々にして主観的であり、また裁量的であったりします。

もっと、簡単な方法はないのでしょうか?たとえば、日足チャートだけで相場の全体像をつかむことは不可能なのでしょうか?

チャートを長期と短期に分けて考える、あるいは、短期トレードと長期トレードとでトレード手法を変える必要がある、などということは、これまで半ば常識だったと思います。

この答えのヒントは、海岸線にあります。科学技術の進歩により、私たちは海岸線の正確な測量データを比較的容易に得ることができるようになりました。

私たちはGPSを用いて、現在位置の正確な緯度と経度を知ることができます。海岸線の特徴的な場所場所で緯度と経度を測定し、それらを記録していくだけで、最終的には座標上に日本列島の形を描き出すことが可能となるのです。

日足チャートはすでに、このようなデータを含んでいます。しかし、日本列島に相当するものを描くことは困難です。問題は、その分析方法にあると考えます。

私たちが投資判断を行う時、株価のトレンドを見たり、節目を見たりするでしょう。しかし、それらは短期チャートと長期チャートとでは、通常別のものとなります。

それならば、それらを一つのチャートにまとめてみたらどうでしょうか?日足チャートに長期のトレンドや節目も合わせて表示する。こうすれば、いちいち週足や月足を見なくても日足チャートだけで投資判断ができるような気がします。

しかし、それは難しいでしょう。なぜならば、日足と週足、月足とは、時間軸のスケールだけでなく価格のスケールもまた大きく異なる場合があるからです。

長期のトレンドラインや節目を表示した結果、肝心の日足チャートが見づらくなるようでは、元も子もありません。

それ以外にも、週足や月足で引いたトレンドラインを、そのまま日足チャートに持っていくことの困難さもあるでしょうし、無理やり持ってきたトレンドラインに強い意味を見出すことも難しいでしょう。

そう考えると、長期と短期の融合は、なかなか一筋縄では行かないようです。そこには、短期チャートに長期チャートの結果を付け加える、という発想から抜け出せない現実があるからです。結局、これでは長期と短期の融合は不可能なのです。

では、どうするべきでしょうか?答えは、短期チャートのみで分析するということです。

上述したように、短期チャートには長期チャートの成分も含まれています。上手く長期成分を抽出し短期成分と同じ手法で分析することができれば、短期と長期とを同じスケールで見ることができるようになるでしょう。

それを具体化した手法が、私がかつて提唱していた「平均保有株価」であり、「最適トレンドライン」ということになります。これらについては、今後ご紹介する機会を設けたいと思います。

長期トレードと短期トレードの違いは、単にスケールの大小の違いに過ぎません。しかし、それは現実にはトレード手法の差異となって表れています。
長期でも短期でも、まったく同等のトレード手法を用いることができるとしたら、それは有意義なことではないでしょうか。

そのような普遍的、客観的なトレード手法こそ、私が追い求めるものの一つなのです。 
そして、その答えの一つが、「KFシステムクリエイター」を用いたシステムトレードということになります。

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