(前回までのあらすじ・・・前回が半年前なので書いておきます♪)
こんにちは、くまのボンザだよ!
占い喫茶《花きゃべつ》は、目下しっかり者のうさぎパネラと、ぼくとで何とか切り盛りしている。
元々あまり儲かっていない店の主、占いのお師匠さんである花きゃべつはしばらく留守である。
ころなという流行り病のせいで、喫茶店も潰れかけ細々と続けていたところ、お師匠さんはとなり村まで行ってしまい帰ってきていない。【まかない飯のパンケーキ食べ放題】という条件で、僕たちはお留守番をしているというわけ。
占いの方は{りもーと装置}である紫色の珠を用いて乗り越えている。珠の向こうからお師匠さんの声が聞こえてくるのだ。それでいつしか{肥り過ぎて転がった方が早いという状態を通り越し、とうとう真ん丸の紫の珠になってしまった}という噂まで出ている。
それでも、お師匠さんはそれを聞いて
『間違いないねぇ。ほとんど似ているもん。あ~、ころなのせいで肥ったからね♪』
とか笑ってサボっているままだ。だいえっとに赴いたが、向こうでゴロゴロしているようでもある。
そんな田舎のひなびた喫茶店に、突然!
{適齢期だが、非リア充だ}という理由で、この国のイケメン王子さまが『恋みくじ』をしてもらいたいとご降臨あそばされたのであった。
恋みくじ占いは、{出会いのシチュエーションを可能性・幸運度でランキング形式とし、お伝えする}もので、すでに第4位まではお伝えし、コーヒーブレイクしていた。
「いや~、長いコーヒーブレイクだったね、半年くらいの時間がわーぷしたかのような長さだ(笑)。
もう、お腹いっぱいだよ、サービス良すぎ♪」
と、王子さまはにこやかにお褒めの言葉をくださった。
「「ありがとうございます!!」」
パネラとぼくは、ハモリ気味に返事をした。
王子さまたちは、しばらくパンケーキとコーヒーを楽しんでいた。
王子さまに付いてきたお供の人全員にも振る舞うことになって、占い喫茶《花きゃべつ》の全ての小麦粉を使い、ぼくたちはパンケーキを焼くのに大わらわだった。隠しておきたかったジャムも全部お出しした。
外で待機中にさせられていたプラナス卿は、絶対に怒っていたに違いない。
「もう少し早く、仕事を出来ないのか?!」
と言いたい顔になっていた。
それでも実際は、上品にコホンと咳ばらいを一つして
「ここまで時間が経つと(前回半年前更新)、いくらなんでもご店主がとなり村の魔女の館に囚われたまま、帰ってきていないというのは、嘘っぽいお話ですがね、」
と嫌味たっぷりな感じでおっしゃっただけだった。
パンケーキにイチゴ、ブルーベリー、黒すぐり、こけもものジャムを順番につけて試しているうちに、笑顔になっていったのだ。特にぼくが集めてきたはちみつは、大変気に入ったらしく、上機嫌の極みで
「このはちみつのためなら、2kgくらい肥っても構いませんな、」
とおおいにほめてくださった。
ぼくもお師匠さん(花きゃべつ)も、今年、ころなという敵と戦うために?、6kg肥って、腹に自前の盾(三段腹なんてお手軽なものじゃない、4枚ダーツが折りたたまれている箇所もある立派な腹)を装備完了したところなので、プラナス卿の意見に大賛成だ。
ただ、お師匠さんはそれ以来、やはり健康のため3~5kg減らすという目標を立てて、
「痩せるまでは帰らない!」
と誓って出て行ったきりなのだ。リモート越しに眺めると、逆に出かける前よりもっと丸くなってしまっているような気がする。
もう、まさに玉だ。紫色のきゃべつにしか見えない(笑)。
となり村にも美味しいものがたくさんあり、となり村の魔女は引きこもり気味だけど、親切な美食家だという噂だから、推して知るべし。もう、帰って来られないのかもしれない。
ぼくと王子さまが、りもーと接続可能の小部屋に戻ろうとすると、プラナス卿も一緒に入ろうとするのには困った。ここからベスト3の発表だと思うとわくわくして仕方ないのだろう。
「続きをご一緒に聞かせていただけませぬかな」
とプラナス卿は王子さまにお願いしていたが、あえなく撃沈していた。
「あのさ、後でもらった鑑定書を見せるから、外で待っていてよ、そして可愛いうさぎのお嬢さん、君もだよ」
パネラも、お盆を持ったまま、さりげなく入ろうとしていた。
「……かしこまりました」
パネラ、ごめんね。店の切り盛りだけさせてしまっていて。
また別の機会に代わってあげるからねm(__)m。
魔女の館で修行中?の、お師匠さんに、再び回線をつないだ。
「お師匠さん、お待たせしました」
「大丈夫、こちらもず~~っとおやつ時間だったのね、うんうん♪」
と満面の笑みだ。
やはり、だいえっとというミッションはすでに失敗しているようだ。どうせなら、やはりドラゴンを退治するとか、せめてあちこちこまめに雑巾がけをすればいいのにと思うが、その話は今度にする。
「では、運命の人と出会えるシチュエーション第3位から発表してもらおうか」
「かしこまりました」
(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。
「いよいよ、第3位です。
【親(族)の紹介】です。『剣のエース』が正位置で出ました。大吉です!」
「え?」
今までずっと、美味しいもの食べて満足♪というお顔だったのに、とたんに王子さまが渋い顔をした。
「す、すみませんm(__)m。ご事情は伺っておりますが、そう出たんですよ」
宝珠に映るお師匠さんは、ペコンと頭を下げた。
王子さまは、明らかに不満のようである。
「本当かなぁ…。
お城にいる占い師、魔導士、みな父上様たちの顔色ばかり窺っているからな。
それでわざわざ、ここまで出向いて来たというのに、何でそこにそんなジャストなカードが出ちゃうんだろう。
もしかして、その、なんだっけ、忖度とかそういうのなの?」
「いっさいございません。アゲ鑑定も忖度もありません。王子さまにも王さまにも怒られようが、もう変えようのない、出た通りのカードをお伝えしております。
そして、勝利を意味する大吉運と言えます」
「ふ~~ん、良いカードなの?
あまり良い感じがしないけれども。
どうせなら、ハートのエース、みたいなものが良かったなぁ(ため息)」
「そうですねぇ……。確かに『聖杯のエース』だったならば、とも思いますが、このカードは{勝利の栄光}を描いていますから、成功を導く結婚をもたらすでしょう」
「成功って、わが国の発展ということか。確かに国のことも考えなければならないってことはわかっているさ。わかっているけれど、こう、ほんわか~な恋占いの感じが全然しないねぇ」
「ごめんなさい、嘘はつけないものですから」
「でも、まぁ、【親(族)の紹介】ってことだから。ある意味論理的な結論だねぇ」
「はい、『剣のエース』こそは、論理(ロゴス)の勝利でもあります。コミュニケーション能力も表しますから、出会いは政略結婚のように始まりますが、会話してみると気が合う方、そんな方にめぐりあえそうですからね!」
「うん、物は言いようだな。どんどんいこう!」
「はい、かしこまりました」
王子さまの表情が引き締まってきたようにぼくには思える。
あまり、期待通りの占い結果が出てこないので、心底がっかりしておられるのかもしれない。
{もしかしたら、第1位がアレだったらいいのに}とか、{あそこで出会うあの方とはご縁があるのかなぁ}とか、本当は何か思い描く希望があるのではないだろうか?
それだったら、こういう恋みくじではなくて、もっとちゃんとした恋占いをした方がいいのになとぼくは勝手に思った。
それでも、そう簡単にお心を明かせないのだろうな。
きっと、お立場上色々とむずかしいことがあるのかもしれない。ぼくらのようにパンケーキやジャムばかり食べて、のほほんと暮らしてばかりもいられないのだろう。
制約があっても、なんとか素敵なお嬢さまとお幸せになられていただきたい、ぼくも息を詰めて次のカードを見つめようと思った。
(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。
「そして、第2位は【予想外の場所】です。『金貨の10』が正位置で出ました、先ほどよりさらに大吉運です♪」
「エースカードより上なの?」
「はい、『金貨の10』には、家族親族勢ぞろいで祝福するような名家同士のお祝いが出来そうな要素を最初から持っているのです。伝統的なご家庭の、永続的な繁栄です!『金貨』は物質世界を構成する四つの元素のモチーフの中でも造るのに最も手間も時間もかかるものです。達成と感謝を噛みしめるような要素で、大いに祝われる結婚に繋がります」
「わかった! さっきよりも良いイメージだ。
そして、あのう、」
と王子さまはちょっと顔を赤くした。
「相手の方も、もちろん僕との結婚を喜んでくれるシチュエーションなんだね?
あのさ、いくら政略結婚みたいな感じになっても、心から嬉しいと思ってくれないと。
こういう特殊な家庭だから、我慢しなくてはならないことが多くてね。僕の勝手な横恋慕というわけでは、気の毒だし」
「はい、もちろんでございます。もう王家の皆様だけでなく、外においでのおつきの皆様も、我々庶民も喜びそうなご結婚でして、きっと花嫁様も花嫁様のご家族様もみなお幸せそうなイメージがありますよ」
王子さまは、どうやら心からほっとしたようだ。いままで納得した結果じゃなかったみたいだけど、どうやら『剣のエース』より『金貨の10』がお気に召したようだ。カード絵の中には上品そうな犬までもが嬉しそうに尻尾をふっている。
そばのぼくもホッとする。
きっと近いうちに王子さまのご婚約パーティ、ご結婚パーティが行われるだろう。
そして、きっとごちそうをみんなで食べるのだ。
ぼくもお師匠さんもきっとまた更に肥って丸くなることだろう。腹の鎧もさらにぶ厚くすることができる。……パネラだけは意識高い系うさぎのかわいこちゃんだから大丈夫だと思うけれど。
「あ、うっかりと聞き逃しそうになった。
【予想外の場所】って、いったいどこなんだい?」
「はい、ふだんはめったに行かないところです」
「例えば、1年に1回くらいしか行かないかもしれない倉庫とか?」
「はい、お城には倉庫の他、見晴台など塔もたくさんおありでしょう。お城の外もどうぞお出かけくださいませ。お城の庭も広いですよね。大人になってからは、あまり庭園の噴水とか池とか行かないでしょうから、、」
「あ、庭園の噴水池?」
と王子さまが、少し顔を赤くした。
「ええ、大人になったらあまり散策しませんものね」
「う、うん、そうだね、あまり行かないよねぇ。
昔は、課題を終えた後、かえるを探したり、遊んだりしたものだけれど行かないなぁ」
「というわけで、ふだんあまり行かないようなところにお出かけになると良いことがありそうです」
「今日も、ここの占い喫茶に初めて来たわけだしね♪」
ぼくは、ようやく王子さまが笑顔になってくれたのが嬉しかったので
「どうぞ、またいらしてくださいませ。ここに来るときっとまた良いことがあるかもしれません」
と、手もみして言った。
営業!営業!
「そうだね、美味しいものをたくさん食べたよ」
と王子さまは、更なる笑顔を見せてくださった。
「たぶん、僕のお腹周りも成長しそうだよ(笑)」
いや、王子さまはスタイルの良いイケメンのままでいてください。そして、結婚してから幸せ太りしてください。
「さ、じゃいよいよ、ラストだね。名残惜しいような気がするけれど。
待ちに待った第1位は、いったい何かな?」
(ドラムロールを想像してね)ドゥルルルルル、ジャーン。
(ラッパの音も高らかに) ファンファーレ♪
「そして、いよいよ最後!
第1位です!!
今回の恋みくじでの、王子さまの恋愛に繋がるシチュエーションは【日常】です。大アルカナカードの『審判』が正位置で出ました。最大の大吉運と申し上げます」
王子さまは、明らかにきょとんとした。そして、ちょっとがっかりしたような困った顔に戻ってしまった。
「なんだよ~、【日常】って。出会いが無いからここまでやって来たのに、、、、。
まぁ、いいや(ため息)。とりあえず、さっきの第2位と真逆だね。なんとなくさっきの方がわくわくするけれども。大アルカナカードってさっきのあれだね?」
「はい、先ほども出ていました、ローマ数字のついたカードです」
「うん。これは天使様の絵のカードか。すごいね、ファンファーレどころか、天使様がラッパを吹いてくださっていて。
でも、さっきの絵の方がめでたそうに見えるけれどね」
まぁ、確かに、とぼくは思った。
なんたって{復活}の場面を描いているから、海面の上にプカプカ浮いた棺おけの上に人々が立ち上がっているような絵だ。いや衣服すら身に着けてないのだから、物質世界の4つの元素なんて描かれてない。美味しいものとか金貨とかはなく、ただ生命と精神とを宿した存在で素直に大天使さまに感謝の心で向き合っている絵だ。
「これは、大天使ガブリエルさまですよ。ラッパを吹いて人々を復活させ、神のメッセージを伝えるのです。それで正しく受け取った人は覚醒し、大切な覚悟もできます。復活している人々が家族単位のように描かれていて、家族愛も同時に示しております。先ほどの家族単位、人間界だけでなく神さまの神託も受けてのご縁ですからね、これ以上のことはありません。全て失って死んだも同然のとこから再生や復活する場面ですからね、まずは何も持たず、何も恵まれていなくても、ただその奇跡を感謝するのです。
物質世界での豊かさは、この後からのことです。なんとでもなりますよ」
王子さまは、ほうっと息をついた。
「すごいね、それは。一番大切なものだけが、まずは復活するんだね。
確かに、結婚には覚悟も必要だからね。
最初から恵まれていたので実感が湧かないけれど、金貨や聖杯など何も無くても、僕の相手も神さまの神託なら、納得して覚悟を決めてくれるだろうか?」
「王子さまは、まじめな上にお優しいですね。先ほどからお相手様のお気持ちもあわせて考えてくださって、占い結果を受け止めようとなさっています」
「うん、僕はね、今はだいぶマシになったと思いたいけれど、やはり子供の頃はずいぶんわがままを言って、傍若無人に振る舞っていたからね。
せっかく僕のために用意されていたこととかも当たり前すぎてぞんざいにしていたし。
貴族の子弟たちが学友として通ってくれていたというのに、本当に友達になれそうなチャンスをずいぶんふいにしてきたというところがあるんだ。
結局、僕に気を遣うような人、僕のわがままを簡単に受け入れてくれる、そんな人ばかり周囲に残ってしまっている気がする。
そうやって来てしまったから、相手が心から嬉しがってくれているのか、僕が王子さまだから気を遣って嬉しがるふりをしてくれているのか、わからなくなってしまったんだ。
反省して気をつけているんだけど、僕に正しいとか間違っているとかなかなか言ってもらえないからね。
もしも僕が誰かと夫婦になったら、なることが出来たら」
と王子さまは顔を赤くした。そして、続けた。
「できればけんかすることはあっても、本音を言ってもらいたいし、聞きたいと思う。とりあえず僕に我慢できるなぁと思ってくれる人で、そう思いながらも一緒に城で過ごしていける人が良いんじゃないかなぁって気がしてきたんだけど」
お師匠さんは、にこにこした。
お師匠さんは大して上手いことは言えない人なのだ。タロットカードの通訳しか出来ないのだそうだ。どんなに年を重ねてもあまり上達しなかった。
だから、占いに来たお客様がお師匠さんの通訳を聞いて、タロットカードからインスピレーションを受けたみたいにご自分から良い言葉を気づいて言ってくれると実に、幸せそうになる。
その幸せを感じた日は、おかず無しでご飯が3杯食べられるとのことだ。というわけで、お師匠さんは今、くまのぼくと同じくらいに幸せ太りしているのだ。
「そうですね、王子さまのご覚悟、そしてお相手さまのご覚悟をきっと神さまや他の方々が祝ってくださると思います。
それにね、これは{復活}、{再生}を意味するカードですからね。喧嘩したりして一度お別れしても、{復活愛}を、その一生懸命な思いを後押ししてくれるはずですよ」
王子さまは、とても嬉しそうだった。
「喧嘩した友達とも、また仲良く出来るのかな……?」
「もちろんですよ、この大天使ガブリエルさまはそれを応援しておられます」
「お詫びの言葉とかちゃんと考えなくてはいけないけど、言葉が見つからないよね、逆によけい怒らせたりしたりして」
「言葉のチョイスだけじゃなく、心の根っこの部分を信じてもらえるようになるといいですね」
「うん、」
王子さまは、鑑定結果書を印刷している間、そうっとお師匠さん(の映っている紫色の珠)に言った。
「実はね、・・・、庭の噴水池のことで思い出したことはあるんだ。
昔、学友全員とかえるを捕まえて、順番に襟首に入れ合ったことがある。
あの頃は、男も女も無かったからね、、、手当たり次第にやったんだ。その中にものすごく怒って
『かえるも私も可哀想でしょ!!』
って言って僕を振り払った子がいてね、そのまま喧嘩したんだ。
たぶん、そのせいでその子は学友仲間から外されたと思う。二度と会えなかったな。
本当は、仲直りする機会も欲しかったのにね、……あのさ、恋占いもついでにしてもらえないかな」
お師匠さんは、嬉しそうだった。
「はい、恋占いですね、ありがとうございます。
では、1ヶ月ほど空けてみましょうかね、」
「ええ?1ヶ月?
そんなに待てないよ」
「はい、まぁ、うちは基本占いは1ヶ月空けていただいております。
申し訳ないのですが、タロット占いは神託と思っております。だんだん年を取ったおかげでぼんくらなりに精度が上がったのか、あまり時間を空けないで同じテーマで占いを致しますと、ほとんど同じカードばかりとか、同じ位置に同じように出るとかの現象が起こります。
お金はいただけますが、神様に何度も同じことを教えていただいているようで自分が知恵熱を出してしまうんです。
占いテーマが明らかに全然違うとか、またよほどの事件でも起こったとかでしたら、ご事情は伺って検討させていただきますけれども」
「そうなんだ~。じゃ、仕方ないね。せっかく今、気持ちが乗っているのに。
もしかしたら、その好きになれそうな子を探してもらえるとか、そんなサービスはないの?
こう、何かこう見透かしが出来て、過去も未来も見通してくれて、真実を正しく教えてくれるんじゃないの?」
お師匠さんは澄まして答えた。
「いえいえ、全く。全然、出来ませんよ。そんなことが出来る本物の力を持った占い師さんは一握りだけだそうです。噂にはお聞きしますが、なかなかどうして今までお目にかかれることもなく。
私は出来の悪い方で、こうして田舎で、ただタロットカードの通訳の勉強をしてパンケーキを焼くか食べるかだけの人間ですので」
「ふぅ~んん。それじゃ、あまり儲からないだろうねぇ。
あ、ごめんね、悪気で言うんじゃあないよ、せっかく占ってもらって嬉しいから、もっと贔屓にしてあげたいし、喜んでくれるかなと思って」
「ええ、ありがとうございます。そうおっしゃってくださるお客様も多いですよ。
実際、貧乏しておりますので、それを見て稼がせてあげたいなという優しい方が本当に多いんです。
でもね、占いはそんなためにやるのではありません。安くても、です。
必要な時に、オーダーメイドで真剣にやらなくてはなりません。
私も能力が足りないので、出来ることが限られていますし。能力不足で頑張り過ぎると、今よりさらに老けていきますからね。
お客様には、ふだん自分の力で自分、そして周囲の方を幸せにしていただきたいんです。そして私は、そのための気づきのヒントをちょっと持ち帰っていただきたい、それだけなんですよ。
誰かの能力じゃなくて、頑張ってご自分でその方を探してみましょうよ。そうやって一生懸命に探した方が、喜びに繋がります。
やってみて壁にぶつかってからおいでくださった方が、占いテーマも焦点が絞れますので、より精度の高い占いになると思います。
陰ながら、お幸せを祈っております。お客様皆さまに何もないと良いなぁ、泣きながら店に来ないと良いなぁと思って、毎日祈っておりますので。
もちろん、困った人には力になりたいと思いますから、いつも余力を残しているんです。
世界が平和で、仕事が暇な方が嬉しいくらいなんですよ(笑)」
ぼくは思った。
相変わらず、仕事をあまりしない人だなぁって。まぁ、もう相当な婆さんだから、無理は禁物かもね。
それに、このココ村には優秀な占い師の先生はたくさん他におられるのだ。その方々には頑張っていただいて。
王子さまはとても良い笑顔で、お城へ帰られていった。
プラナス卿は、王子さまに
「プラナス卿、折り入って相談したいことがある」
と言われたのに大変気を良くしたようで、請求分にかなり上乗せして払ってくださった。
というわけで、パネラと共に、小麦粉やバター、ジャム類をたくさん仕入れてこられる。町に仕入れに行った後は、ぼくたちもたくさん休憩しよう。
だらだらする日というのは、絶対に必要なんだからね。
だらだらしてから店内を消毒し、ぴんと糊付けし終わったテーブルクロスをかけて。クリスタルガラスの花器に可愛い小花を飾り。
喫茶店の外も春めいてきた。
入口そばの桜の木は、さくらんぼ用の桜なので早咲きなのだ。
今日、いよいよ2輪が花開いた。それだけのことでテンションが上がる!
また、新しいお客様をお迎えしよう。
パネラとぼくと、そしてしばらくはまだ珠状態のお師匠さんと。
「いらっしゃいませ。《占い喫茶 花きゃべつ》にようこそ!」
※ この小説は、あざとくもCM用の童話風の物語で、これで完結です。
長らく放置状態ですみませんでしたm(__)m。
※ もちろん、フィクション小説です。登場人物、設定全てにおいてでたらめです。
※ カードの解説は便宜上、お話の筋に寄せていますので、この小説内の解説をうのみにしないでくださいね。
※ ちなみにふだん、このように架空で占うことはありませんm(__)m。
普段の占いはまじめな神託なので、迷いました。
おみくじ感覚の占いは、レベルが違いますのと、『コロナ疲れの時だし、童話みたいな読み物はどうかな?』という提案があり、実際のお客様のデータを使うわけにもいかないので書かせていただくために例外としてカードを展開させていただきました。
※ それでも、やるからには本番と同様、ご本人を表すカード(『金貨の9』)、今後の運勢を占うカード(内緒ですが、とある大アルカナカード、とあるクィーンカードが出ました)とあと3枚引いておりました。王子さまにはちゃんとクィーンが登場するハッピーエンドの運勢になりそうですね。
というわけで私も楽しませていただきました。あと、ふざけたことにカードを使用しましたので、その後反省し、きちんと浄化して占いをさせていただいております。
※ なお、タイトル画像はココナラのあかつき ひな先生に描きおろしていただきました。感謝しております。下記をご参考にぜひどうぞ♪