判断の位置が変わると、仕事の手触りも変わる

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ビジネス・マーケティング
人生の進路設計アドバイザー井上です。
納得できない選択で人生を進めたくない人のために、判断の軸を言葉にしています。

ご相談ケース:成果は出ている。でも、「この役割を続けたいか」と聞かれると答えに詰まる

※複数の実際の相談内容をもとに、30代・育休明けの女性を想定して再構成した仮想ケースです。

「今の仕事で成果は出ていますし、周りからも特に問題はないと言われています。

やるべきことも分かっていますし、責任を放棄している感覚もありません。
ただ、以前と比べると、仕事の手触りが少し変わった気がしています。

復職前は、自分で考えて決めたことが、そのまま仕事として進んでいく感覚がありました。
でも今は、誰かの判断を整理したり、通る形に整えたりする役割を担っているように感じます。

間違いなく仕事はしていますし、結果も出ています。
それでも、自分が考えた結果が、どこにも残っていないような感覚がある。

これは、仕事内容が合っていないと考えるべきなのでしょうか。
それとも、復職後の環境変化として受け止めた方がいいのでしょうか。」

仕事内容は変わっている。でも、それだけではない

この方は36歳の女性で、第一子の育休から復職して10か月が経ち、IT系のSaaS企業でカスタマーサクセス職として働いています。

復職前は、

・顧客の課題整理
・活用提案
・契約更新の戦略設計

など、自分の判断が起点になり、
その判断がそのまま仕事として進んでいく役割を担っていました。

一方、復職後。
職種名は同じでも、実際に増えていたのは、

・問い合わせ対応の最終チェック
・若手メンバーのレビュー
・社内調整用の資料作成
・トラブル時のクッション役

といった業務でした。

本人の言葉を借りると、
「間違いなく仕事はしている感覚はある。結果も出ている。でも、自分が考えた結果が、どこにも残っていない感じがする」
という状態でした。


問題は「向いている・向いていない」ではない

この相談に対して、
「今の仕事は合っていないですね」
とも
「そのままで大丈夫ですよ」
とも、簡単には言えません。

ここで整理したいのは、
仕事内容が変わったかどうか、ではありません。

仕事の中で、自分の判断が、どこで使われているのか。
その「判断の位置」が、どう変わったのか、という点です。


判断の起点から、判断を補強する側へ

復職前、この方の判断は、

・自分が起点になり
・自分が決め
・その判断が、そのまま仕事として進む

という位置にありました。

けれど復職後は、

・誰かの判断を通すために整える
・判断が通るように補強する
・衝突を和らげる

といった形で、判断そのものよりも、
判断を支える側に回っていきました。

どちらも重要な仕事です。
価値が低いわけではありません。
ただ、仕事を終えたあとに自分の中に残る感覚は、
まったく違うものになります。


違和感の正体は「やりがい」ではない

この方が感じていたのは、

「やりがいがない」
「仕事がつまらない」

といった単純な不満ではありませんでした。

もっと近いのは、

「私は、何を基準に判断する人として、ここにいるのか」
「私の判断は、どこに使われているのか」

という、役割感覚のズレです。

この方は、仕事について考えていないわけではありません。
むしろ、かなり工夫を重ねていますし、成果も出しています。

求められている役割を理解し、
周囲の判断が円滑に進むよう整え、
結果として仕事はきちんと前に進んでいる。

ただ、この方にとって引っかかっていたのは、
自分の判断が、仕事としてどこにも残っていかない感覚でした。

判断そのものはしている。考えてもいる。
けれど、その判断が起点になって仕事が動くわけではない。

この状態が続くと、
「私はこの仕事に向いていないのかもしれない」
という問いに変換されやすくなります。

それは、仕事をしていないからでも、
能力が足りないからでもありません。

この方にとっては、
自分の判断がどこで使われ、どう残っていくかが、
仕事の納得感と強く結びついていた。

その前提が満たされなくなったことで、
違和感が「向いていないのでは」という問いに姿を変えて現れていた、
という構造です。


先に確認すべきこと

このケースで最初にやるべきことは
「この仕事が合っているか」を決めることではありません。

まず確認したいのは、

・自分の判断は、どこで使われているのか
・復職前、どんな条件のときに「しっくりきていた」のか
・どんな形で判断が周囲に影響したとき、納得感があったのか

という点です。

それを整理しないまま、

・職種名
・仕事内容の表面
・求人条件

だけで仕事を選び直すと、
同じズレが、形を変えて繰り返されやすくなります。


この相談の本質

この相談は、
「今の仕事、合っていないでしょうか?」
という問いの形をしています。

けれど本質は、
「今の仕事の中で、私はどんな位置で判断を扱われているのか」
という違和感でした。

そこを見ないまま答えを出すと、選択だけが先に進み、
違和感は置き去りになります。


まとめとして

今回のケースで見えてきたのは、
仕事の違和感が、必ずしも仕事内容そのものから生まれているわけではない、という点です。

考えていないわけではない。
工夫もしている。成果も出ている。

それでも違和感が残るとき、その正体は
自分の判断が、仕事のどこで使われ、どう扱われているのか
という「位置」のズレにあることがあります。

向いているか、向いていないか。
仕事を変えるべきか、続けるべきか。

そうした判断に進む前に、まず一度立ち止まって、
「今の仕事の中で、自分の判断は、どこに置かれているのか。
どこまで影響を持っているのか。」
そこを言葉として確認してみる。

この記事は、その視点を整理するための、一つの記録です。
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