SaaS導入支援委託契約書で見落としがちなポイントとは?―AI時代だからこそ契約書が重要です―

SaaS導入支援委託契約書で見落としがちなポイントとは?―AI時代だからこそ契約書が重要です―

記事
コラム
企業の業務効率化のために、SaaS(Software as a Service)を導入する企業が急速に増えています。

しかし、「SaaSを導入する」と一口に言っても、その内容は様々です。

・どのサービスを選定するか
・初期設定を行うか
・社内への説明や研修を行うか
・既存システムとの連携を行うか
・AIを組み込んだ運用設計を行うか

こうした業務を外部に委託する際に締結されるのがSaaS導入支援委託契約書です。

一見すると単なる業務委託契約のようですが、AIが当たり前となった現在では、従来以上に慎重な契約内容が求められます。

そもそも「導入支援」とはどこまでを指すのか

契約書で最も重要なのは、業務範囲です。

例えば

SaaSの選定
アカウント発行
初期設定
データ移行
AI機能の設定
プロンプト作成
マニュアル作成
社員研修
導入後の問い合わせ対応

これらは全て別の業務です。

「導入支援一式」

という表現だけでは、後から

「そこまでやってくれると思っていました。」

というトラブルになりやすくなります。

契約書ではできるだけ具体的に記載しておくことが重要です。

AIを利用する場合は、その利用範囲を決めておく

最近では、

ChatGPT
Claude
Gemini

などを利用してマニュアル作成や業務フロー設計を行うケースが増えています。

ここで問題になるのが、

「AIを使うこと自体を依頼者が了承しているのか」

という点です。

例えば、

顧客情報や社内資料をAIへ入力してしまえば、情報管理上の問題が生じる可能性があります。

そのため契約書では、

AIを利用するか
どの範囲で利用するか
入力してよい情報
入力してはいけない情報
AI生成物の確認責任

などを定めておくと安心です。

AIは間違えることを前提にする

生成AIは非常に便利です。

しかし、

存在しない機能を書く
古い仕様で回答する
法令を誤って説明する
存在しないAPIを紹介する

といったことは現在でも起こります。

そのため、

AIが作成した資料や説明内容について、

誰が最終確認を行うのか

を契約書で決めておく必要があります。

特に業務フローや法令対応については、人による確認を前提とする条項があると安心です。

AIが作った成果物の権利は誰のものか

AIを使って

マニュアル
業務フロー
プロンプト
FAQ
社内教育資料

などを作成することがあります。

その成果物について

著作権
利用権
再利用できるか
他社にも使えるか

を決めておかないと、

後日

「そのプロンプトは他社では使わないでください。」

という問題になることがあります。

導入支援会社としてはノウハウを保持したい場合もありますし、依頼者としては自由に利用したい場合もあります。

双方の意向を契約書に反映することが大切です。

SaaS側の仕様変更は誰が負担するのか

SaaSはアップデートされ続けます。

昨日まで存在した画面が翌月には変わっていることも珍しくありません。

その結果、

マニュアルの修正
AIプロンプトの修正
研修資料の変更

などが必要になります。

契約書では、

どこまでが初回業務なのか
仕様変更時は追加費用なのか
保守契約に含まれるのか

を明確にしておくことが重要です。

セキュリティと秘密保持はより重要になる

AIを活用する場合、

導入支援会社は

顧客情報
売上データ
社内規程
営業資料

などに触れることがあります。

秘密保持条項だけでなく、

AIへの入力制限
外部サービス利用時の管理方法
データ削除
アクセス権限

についても定めておくと、情報漏えいリスクを低減できます。

まとめ

SaaS導入支援契約は、単なる設定作業の契約ではありません。

AIの活用が広がった現在では、

AIをどのように利用するのか
AIの誤回答の責任をどう考えるのか
AI生成物の権利をどう整理するのか
セキュリティをどう確保するのか

といった点まで踏まえた契約書が求められます。

契約書は「トラブルが起きたときに読むもの」ではなく、「トラブルを起こさないために作るもの」です。もしよろしければ作成相談を承ります。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本
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