サッカーを見ていると、時々こんなことを思う。
「今のプレー、なんで反則なんだ?」
「審判の判断、おかしくないか?」
「VARで揉めてるけど、結局何が正しいんだ?」
実はこれ、法律の世界とかなり似ている。
今回は少し変わった視点で、「サッカーの試合に法律を持ち込んだらどうなるのか」を考えてみたい。
オフサイドは「違法状態」
オフサイドはサッカー初心者には難しいルールだ。
簡単に言うと、
「ゴール前で待ち伏せして楽をするな」
というルールである。
法律で例えるなら、
「不当な利益を得る行為は禁止」
に近い。
例えば契約の世界でも、相手を騙して利益を得れば無効や取消しの対象になる。
サッカーも法律も、
ズルを防ぐためのルール
という点では共通している。
ファウルは不法行為
相手選手を蹴る。
突き飛ばす。
ユニフォームを引っ張る。
これらはサッカーではファウルである。
法律の世界で言えば、
「他人の権利や利益を侵害した行為」
であり、不法行為に近い。
もっとも、
サッカーではある程度の接触は許される。
法律でも社会生活上ある程度の迷惑は我慢しなければならない。
これを法律用語で受忍限度という。
つまり、
肩が少しぶつかった程度ならセーフ。
後ろから両足タックルならアウト。
法律もサッカーも意外と現実的なのである。
レッドカードは行政処分?
レッドカードは一発退場。
これを法律家目線で見ると面白い。
レッドカードを出す審判は、
ある意味で行政庁のような存在である。
危険な行為をした選手に対して、
「あなたはもうこの試合に参加できません」
という不利益処分を下している。
しかも即時執行。
弁明の機会もほぼない。
行政手続法の世界なら大騒ぎである。
VARは裁判所か?
最近のサッカーではVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されている。
これはまるで控訴審のようだ。
主審が判断する。
疑義があれば映像を確認する。
証拠を再検討する。
そして結論を修正する。
法律の世界でも、
証拠に基づいて判断を見直す仕組みがある。
VARはサッカー版の司法審査と言えるかもしれない。
契約書を持ち込んだら?
法律業として一番気になるのはここである。
もし試合前に契約書を作ったらどうなるか。
第1条(得点権)
甲(フォワード)は乙(ゴールキーパー)の承諾なく得点を行うことができる。
第2条(守備義務)
乙は甲の得点行為を妨害するため最大限努力するものとする。
第3条(損害賠償)
乙が故意にオウンゴールをした場合、甲に対し精神的損害として焼肉を奢るものとする。
もはやサッカーなのか契約書なのか分からない。
法律を持ち込みすぎると試合が終わらない
実際の法律の世界では、
条文を読んでも答えが一つに決まらないことが多い。
判例を調べる。
学説を比較する。
事実関係を検討する。
そうして結論を出す。
もしサッカーで同じことを始めたらどうなるか。
「今のタックルは過失か故意か」
「相当因果関係はあるか」
「信義則上レッドカードは妥当か」
「このプレーは公序良俗違反ではないか」
試合終了予定は午後4時。
判決言渡しは午後11時。
観客は全員帰宅している。
ルールがあるから競技も社会も成り立つ
サッカーも法律も本質は同じである。
ルールがなければ強い者が勝つだけになる。
ルールがあるから公平な競争ができる。
もちろん、ルールだけでは解決できない問題もある。
だからこそ審判がいて、裁判所がいて、人間の判断が存在する。
サッカーの試合に法律を持ち込むと少し面倒なことになるかもしれない。
しかし、サッカーを見ていると、
「法律も結局は社会を円滑に動かすためのルールなんだな」
ということがよく分かる。
そして、もし法律家がサッカーの主審を務めたら――
試合終了後に80ページの判決文が配られるかもしれない。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本