SNS広告を見て申し込んだダイエット講座。
支払いは済ませたが、内容が違う。解約を申し出ると「できません」と言われた――。
こうした相談、実は全国で後を絶たない。
「特定商取引法違反」――通称“特商法違反”。
それは、消費者を守るために設けられた法律が、静かに牙をむく瞬間である。
第一章 そもそも特定商取引法とは?
・正式名称:「特定商取引に関する法律」
・目的:悪質商法から消費者を保護し、公正な取引を確保する。
・対象となる代表的取引:
1. 訪問販売
2. 通信販売(ネットショップ含む)
3. 電話勧誘販売
4. 連鎖販売取引(マルチ)
5. 特定継続的役務提供(エステ、英会話、学習塾など)
6. 業務提供誘引販売取引(副業セミナー系)
第二章 特商法違反とはどんな行為か
・虚偽や誇大な広告(例:「必ず痩せる」「一日で100万円稼げる」)
・クーリング・オフ妨害(例:「解約は一切できません」)
・契約書の交付義務違反
・不実告知、威迫・困惑による契約締結
・未成年者への不当勧誘
→いずれも行政処分(業務停止命令・指示)や刑事罰(罰金・懲役)の対象になる。
📚実例:
「短期で稼げる副業講座」→契約書なし・返金拒否 → 特商法違反で業務停止命令(消費者庁発表)
第三章 クーリング・オフ制度とは?
・契約後でも「一定期間内なら無条件で解約できる」消費者の権利。
・対象:訪問販売・電話勧誘販売・マルチ商法・エステ・語学など。
・期間:原則8日間(マルチ商法などは20日間)。
・ハガキ・メールで通知すれば有効(証拠を残すのがポイント)。
📌注意:
通信販売(ネットショッピング)にはクーリング・オフが原則ない。
ただし事業者が返品特約を設けている場合はその内容に従う。
第四章 特商法違反が発覚した場合のペナルティ
行政処分(指示・業務停止・業務禁止)
- 消費者庁・都道府県が命令を出す。
刑事罰
- 2年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下)。
民事責任
- 契約の取消し、返金請求、損害賠償。
社会的信用の喪失
- SNS炎上・口コミでの信頼失墜。
- 登録免許税・行政許可にも影響することがある。
第五章 よくある落とし穴(事例)
・「LINEで副業教えます」→業務提供誘引販売に該当
・「初月無料」→実は自動課金、説明なし→不実告知
・「エステは途中解約できない」→クーリング・オフ妨害で違法
・「返品不可」→特定商取引法第11条の表示義務違反
第六章 消費者がとるべき行動
契約書・スクショを保存
クーリング・オフ通知(書面またはメール)
消費生活センター・弁護士・行政書士へ相談
SNSに投稿する前に、名誉毀損に注意(冷静な証拠提出を)
🏁結び
特商法は、単なる「取引ルール」ではない。
それは、人の信頼と時間を守る法律だ。
「知らなかった」では守れない。
契約は紙の上の約束ではなく、人生の中の選択。
――あなたのクリック一つに、法が静かに寄り添っている。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本