本のタイトルは、「脳を知る・創る・守る」(「脳の世紀」推進会議編 伊藤正男、立花隆 他)です。編集:「脳の世紀」推進会議、発行者:松田國博、発行所:株式会社クバプロ、定価2039円。
一流の研究者による講演は脳研究の歴史を振り返るのに最適です。この本は一般向けの講演を収録したものなので、専門書を読むよりは少し分かりやすいです。講演収録集を1から18(以後、未発行)まで通して読みますと、10年の脳研究の主要な歴史を確認することができます。正しい脳研究史を知っていますと、インターネットやSNSのフェイクニュースの「うそ」がわかるかも知れません。
できれば、講演収録集の本を復活させたいです。脳研究のリサーチはライフワークで取り組んでいますので、一生続けていきます。
現在は「脳を知る・創る・守る・育む」ですが、最初は「育む」は含まれていませんでした。教育的要素の「育む」は第10回シンポジウム(2002年9月11日開催)から追加されました。
それでは、脳の世紀シンポジウム講演収録集1について簡単に紹介いたします。
講演収録集1は、「脳の世紀」推進会議の主催により開催された第1回および第2回「脳の世紀」シンポジウムでの講演を収録したものです。第1回シンポジウムは1993年10月5日に、第2回シンポジウムは1994年10月4日に東京の国立教育会館・虎ノ門ホールにて開催されました。
第1回シンポジウムの故伊藤正男先生のはじめの言葉(思い)を紹介します。
かくして、脳科学は「脳を守り」、「脳を創る」ことを目標に急速に進歩しつつありますが、その最終的な目標は「脳を知り」、われわれの心の基盤を脳に求めるところにあります。育児や教育への助言や、産業心理学、社会心理学への寄与といった実際的な効用も期待されますが、もっとも重要なことは、これによってわれわれ人間がそもそも何者であるかを理解する手がかりをえる可能性にあります。デカルト以来の「脳と心」の問題に回答を与えることです。目前に迫った21世紀が「脳の世紀」と目されるゆえんであります。わが国の社会が脳科学推進の必要性を深く理解され、大きな支援を与えられるよう願っております。「脳の世紀」推進会議委員長、理化学研究所国際フロンティア研究システム長 伊藤正男
「脳を知る・創る・守る」の目次
はじめに
Ⅰ章 脳研究に期待する 立花 隆
Ⅱ章 脳を知る
1 遺伝子から脳へ 三品 昌美
2 記憶の大脳メカニズム 宮下 保司
3 脳の機能分子 中西 重忠
4 視覚の計算過程 外山 敬介
Ⅲ章 脳を創る
1 脳とコンピュータ 甘利 俊一
2 脳の計算論 川人 光男
3 ニューロコンピュータへの展望 久間 和生
Ⅳ章 脳を守る
1 神経難病の根絶に向けて 吉田 充男
2 神経難病の遺伝子解析 金澤 一郎
3 生体リズムと睡眠 高橋 清久
Ⅴ章 脳の世紀を目指して 伊藤 正男
以上です。
興味を持たれましたら、本を読んでみてください。
なお、アマゾンで「伊藤正男」先生を著者名で検索しますと、同姓同名の別人もヒットします。ご注意ください。
脳研究はおもしろいです。その脳研究のおもしろさを伝えたいです。