(前回のあらすじ)
周りを見ず思考に閉じ籠もっている者に起業は出来ない。
――入力したこの言葉でAIが物語を展開。
精霊の言葉に気づいた一莉は、自分の殻を破り周りを見て行動する決意を固めた。
(本編)
一莉の前に、名刺交換会で軽く会釈した男性が歩み寄る。
名前は大谷翔太。30代半ばで、地域の小規模事業を複数手がける先輩起業家。
話し始めるとよく質問を重ね、自然と会話のリズムを作ってくれる。
一莉は最初緊張しつつも、質問に答えるうちに、自分の考えを言葉にすることが少しずつ楽になっていく。
翔太はメモを取りながら相槌を打ち、具体的な事例を交えて助言してくれるので、一莉はただ聞くだけでなく意見を返すことに集中する。
その中で、自分のやりたいことと現実のギャップに気づき、次の行動をどう組み立てるか考え始める。
一莉は翔太から手渡された名刺をそっと取り出す。
自分の目の前で光る文字、
あなたは『地域』、どう捉える?
そのフレーズが、ただの肩書き以上の問いかけに感じられる。
文字の意味を咀嚼しながら、一莉は自然と自分自身の考えや関わり方を反芻する。
翔太は軽く微笑み、名刺の文字以上の情報を言葉にせずに待っている。
一莉の胸の奥で問いが静かに膨らみ、言葉にしたい気持ちがじわりと芽生える。