「近代の論理~社会科学のエッセンス~⑱」 (6)「近代」なくして「現代」なし
③「還元主義」から「包括主義」へ
西洋「近代」は「還元主義」(リダクショニズム)を生んだ~西洋医学も還元主義(リダクショニズム)の流れにあり、「全体」は「部分」の総和だと考えて治療します。したがって、「病気」に着目し、病因を取り除く・解決するといった「対症療法」が中心になります。これに対して東洋医学は「全体」は「全体」として捉える「包括主義」(ホーリズム)であるため、「人間の自然治癒力」を高める方向に向かうため、「未病」にも注目し、「医食同源」といった生活改善も重要になってきます。これは予防医学、生活習慣病の克服といった観点からも重要です。
「包括主義」(ホーリズム)は東洋も西洋も総合する~「西洋」を通過してこそ「東洋」が生きるのです。西洋医学は近代科学の成果の一つである解剖生理学に基づき、即効性がありますが、東洋医学は陰陽五行理論や八卦思想を持ち、哲学的で、どうしても遅効性となります。実は東洋医学にも西洋医学の成果は欠かせないのであって、この両者を統合するのが真の「包括主義」なのです。これは近代経済学においても古典派経済学(ミクロ経済学)とケインズ経済学(マクロ経済学)は両方必要で、現代物理学でも決定論のニュートンの古典力学を発展させた相対性理論も、非決定論の量子力学も両方必要であるのと通じるでしょう。
エキュメニカル運動~400派以上に分かれたキリスト教の教派を超えた結束を目指す教会一致運動、超教派運動。さらにはより幅広くキリスト教を含む諸宗教間の対話と協力を目指す運動のことを指す場合もあります。理念的にはエキュメニズム(世界教会主義)と言いますが、共産主義神学とも言える解
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