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痛みを避けるために払う

サブスクを選ぶ理由なぜ人は前払い制や定額制で料金を払いたいと思うのか?それによって激しい痛みが和らぐからだ。最悪の選択肢は寿司の代金の支払いで、この場合、客は寿司1個ごとに代金を払っている。あるいはタクシーのメーターを見て、道を進むごとに料金をいくらになるか分かってしまうのもよろしくない。マーケターたちは何年も前からこの点に気づいており、商品購入に伴う顧客の痛みを最小限にとどめるような売り方で対策を取ってきた。多くの飲食店でセットメニューやコースメニューが人気となっており、ネットフリックスは定額「見放題」の価格戦略でビデオレンタルの競合他社を圧倒している。クルージングの人気が高まってきたのも、その理由の1つは、一定料金でバケーションが楽しめるからだ。これらのケースは皆、比較的求めやすいパッケージ料金で提供され、逐一の購買経験で生じるさらなる痛みを顧客から取り除いている。多くの場合、パッケージ価格はレストランのメニュー1品1品、レンタルビデオ1本1本の料金を払った場合よりも、じつは高くつく。にも関わらず「すべて込み」の料金は、多くの消費者の心に訴えかける可能性が高いのだ。『脳科学マーケティング』 ロジャー・ドゥーリーよりサブスクって損することもあるのにあなたはサブスクで何かサービスを利用していますか?僕はめちゃ利用しています。例えば、仕事で使うサブスクだけでも、Adobeソフト、素材サイト数集類、サーバー、メール配信ソフト、会計ソフト、Zoom、AIソフト、チャットワーク等々をサブスクで利用しています。「僕が急死したら、残された家族がサブスク料金を払い続けることがないように、ID
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寿司屋の大将との別れ

私の職場の忘年会は100人以上の参加者で盛り上がりました。いつも、お決まりのような内容だったので、その年、ゲームの景品として珍しいものを探して欲しいと私に依頼がありました。その中に、私が馴染みにしている寿司屋の寿司折もあげられていました。その寿司屋の味は職場仲間にも評判が良かったのですが、誰もが大将を怖がっていました。私は、大将の握りをゲームの景品に使うことに対し失礼にあたると考えて、彼らの要求を拒んだのですが、何度も頭を下げられ、忘年会の当日、特上握りとしめ鯖だけのものとの2つの折を大将に作ってもらいました。でも、大将には忘年会で行うゲームの景品とは話せませんでした。 忘年会では、司会者から景品が寿司折と紹介され、参加者が優勝を目指して熱気に包まれました。やがて優勝者に寿司折が手渡されると、数名の女子が優勝者から寿司折を奪って食べ始めてしまい、寿司折は無残な姿になりました。私は、一気に酔いが冷め、会場を後にしました。 自分が犯した罪を償いたい。犯罪者のような気持ちになり、雪が降る道を静かに歩きました。 私は、1年間、寿司屋へ行かないことと、大将からの遊びの誘いは断ることを決意しました。それが、私への罰と設定したのです。後に、仲間から、そこまで気にすることではないと言われましたが、私は自分が許せませんでした。そして、酔っていたとはいえ、大将の寿司を無作法でむさぼる女子の姿が目に焼け付き、あんな行事には二度と協力しないと心に誓いました。 それから10か月程が経ったとき、大将が入院しているという話を耳にしました。 私は居ても立ってもいられなくなり、彼の見舞いに出掛けました。久しぶり
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実は気が弱い寿司屋の大将

30年程前に出会った寿司屋の大将は楽しい人でした。彼には、居酒屋やスナックに連れて行ってもらいました。大将は、どの店でも人気がありました。 今でも馴染みにしているバーのマスターとは、大将よりも古い付き合いです。大将は私の12歳年上で、マスターは私より3歳年上です。 あるとき、大将が私に「バーに行ってみたいけど、一人では行きづらいから連れて行って欲しい。」と言うので、その夜、寿司屋を閉めてから案内することになりました。 彼は、髪や身なりを整え始め、まるで誰かとデートに行くような身構えで、いつもの荒々しさが消えていました。寿司屋からバーまでは徒歩1分の距離で、あっという間にバーの前に着き、私が扉を開けようとすると「ちょと待て。」と言い、深呼吸を始めました。 私は、もしかするとマスターとの仲が悪いとか、過去に何か事件があったのかと想像しました。 面倒なことに巻き込まれたくないと感じつつ、店に入りました。 カウンターに座ると、マスターが大将に挨拶に来ました。大将は、この繁華街で知らない人がいないほどの有名人でした。挨拶を受けた大将は席を立って「よろしくお願いします。」と挨拶を返しましたが、とても緊張している様子でした。 大将はビールしか飲まないことを知っているので、私は大将にビールで良いかと尋ねると、「ビールなんて頼んで良いのか。」と言いました。私は、ビールとソルティードッグを注文し、タバコを吸おうとするとスタッフが灰皿を持ってきてくれました。大将は、そのスタッフにも席を立って「よろしくお願いします。」と言いました。そして、私が大将に話しかけると静かにするように促されました。 注文した
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気の強い寿司屋の大将との出会い

その店に初めて入ったのは、30年程前のことです。高校時代のクラスメートの女子が、勤めていた職場の先輩と飲んでいるところに出くわしました。その先輩は、とても落ち着いていて、清潔感があり、何といっても大人でした。私には、既に妻がいたので、彼女とどうこうという立場にはありませんでした。 彼女は真面目ゆえの悩みを抱えていました。その悩みは男性を信用できないというものでした。ところが、私には気を許し、諸々、相談を受けました。 その後も、友人と、その先輩と一緒に何度か食事をしました。先輩は、本当に悩んでいる様子でした。それで、私の知人の中で誰かを紹介して欲しいという話になりました。ありがちな話です。数日後、彼女たちが指定する寿司屋に可愛がっていた後輩を連れていきました。彼は、有名大学の出身者で、当時、彼女を作りたいと思っていることを私は知っていました。 そのときに入ったのが、その思い出の店なのです。彼と彼女はダメでした。話が合わないのです。そんなことは、どうでも良いのです。 私は、その寿司屋が気に入り、翌日にも、きちんと挨拶をしたくて伺いました。 それから、大将との付き合いが始まりました。週に5回、店に行ったこともありました。大将は、けっこう意固地な方で、気にいらない客を帰すような気質でした。最近では、そういう店主を見掛けませんが、そのころは、そういう店もありました。ちなみに、その寿司屋の締め鯖は、私がこれまでに食べたものの中でダントツです。ある日、私が注文をしても、大将が食べ物を出してくれないときがありました。私は、何か気に障ることをしたのかと思いましたが、大将が少し待てというので、黙っ
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サンマ苦いか塩っぱいか

私が通う馴染みの居酒屋ではサンマにこだわり、大き目で脂がのっているものだけを釧路から直送で届けてもらっています。私は、その理由を知っています。 私には、週のうち3回程通っていた寿司屋がありました。秋になるとサンマの「なめろう」を軍艦巻きで出しており人気がありました。大将は一人で店を切り盛りし弟子を取らないことにしていたので、彼の技術は誰にも伝授されていません。 私は大将と一緒に、時折、繁華街に出ました。その居酒屋は大将に案内していただいた店です。その店の女将が大将に「なめろう」の作り方を教えていただきたいと懇願したのが10年程前でした。大将は女将に作り方を教え、その居酒屋でも「なめろう」が振舞われるようになりました。 大将の技術が後世に引き継がれたのは、後にも先にも、この1件だけです。大将は急逝され、それからは、この居酒屋が私のホームグラウンドになっています。女将は、大将への感謝の気持ちを今でも大切にしており、秘伝の「なめろう」は最高のサンマでしか作らないことにしているのです。 それを知った常連客が釧路漁協に勤める息子に依頼して今の形になりました。その常連客も体調を崩して夜の町に出てこないようになりました。 大将とその常連客。私は気の合う飲み友達をこの10年で2人も失くしています。 「なめろう」をしみじみ食べていると、女将が「サンマ苦いか塩っぱいか」と言ってサンマの塩焼きを出してくれました。 『さんま苦いか塩つぱいか』とは佐藤春夫さんの「海辺の恋」の一節で、大将が「なめろう」の軍艦巻きを客に出すときに呟いていた言葉です。 ほろ苦い思い出をしたため、涙で塩味が加わるサンマを静かに
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