ミックス解説-ボーカル処理編

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音声・音楽
前回の記事では全体で使っているプラグインなどをとりあえずあげました。

今回はより具体的に。
実際何を狙ってそのプラグインを刺したのか、どのような処理をしたのか
というところを深掘りしていきたいと思います。

まず触り出す前に、
声の良いところ、逆に余分なところの見極め
(録音環境に左右される部分もあります)
楽曲に対してどう声を乗せて行くかをイメージします

今回の楽曲アンダーカバー
スピード感とギターサウンドがカッコ良い楽曲です
ボーカルの魅力を引き出しつつ、
オケに負けないボーカル作りをしたいと思いました
(プラグイン等の画像はパラメータなど今回と関係ありませんm(__)m)

【下ごしらえ】

1.Chandler Limited Germ 500
 サチュレーション効果(倍音負荷)を狙っています
 Waves NSLなどUAD Neve1073などのプリアンプ系のプラグインで代用可能だと思います。
2.Chandler Limited TG OPT
 ・オプトタイプ(光学式)のコンプレッサーです
 ・レシオは固定で2:1/アタックタイム遅め/リリース遅め
 ・過度なコンプレッションというよりはこの後の処理をやりやすくする為の慣らし作業です。
 ・プラグインでLA2Aタイプや、Tube-Tech CL-1Bなどで代用出来ると思います。
アナログ出しした物はこの時点で録音した状態にしています。
outboard_1.2.jpg
 ここからプラグイン。
3.EQ・・・Weiss EQ MP
weiss_eq_mp.png
 ボーカルの良いところを残しつつ、気になる部分をカットしていきます。
 柔軟なQ幅の方が触りやすいので、個人的にはデジタルEQの方が向いていると思います。
 Waves Q10、Fabfilter Pro-Qなど。グラフィックEQでも良いと思います。
 650/840/1.8kこの辺りを適宜カット。
 ブーストはしていません。
4.ダイナミックEQ・・・TDR Nova
tdr_nova.jpg
 初段のEQで対処しきれない局所的に膨らむ部分でかかるように設定
 ボーカルを安定させます。
 低い音程を歌う時だけ膨らむ300付近
 張り上げたときに強く出てくる、2.4k付近など。
TDR Novaはフリーで使えるダイナミックEQ機能付きの4BandEQです。 
Sonnox Dynamic EQ、Fabfilter Pro-Q3、Waves F6、Ozone Dynamic EQの方が主流かもしれません。
WavesF6を使ってましたがOSの関係で使えなくなり、応急と思って使ってましたが、先日有料版のTDR Nova GEを購入(4Band→6Band)しました。

ここまでが下ごしらえ。

【色付け】オケに負けないボーカル作り

5.コンプレッサー・・・Purple Audio MC-77
mc77.jpg
 いわゆる1176・FETタイプのコンプレッサーです。FETタイプの中ではかなり幅広い対応ができるプラグインです。
 レシオ設定は全押し。(4/8/12/20に比べリリースのキレが良くなります。)
 リダクションは最大-10dBぐらいまで、結構アグレッシブな使い方をしています。(GreenDayなどのボーカルミックスで使われている手法です)
 アタックは滑舌が悪くならない程度に緩め、リリースは次の言葉頭の手前で外れるようにしています。リリースが早すぎるとブリージングや、遅すぎると 次の言葉頭にかかりすぎてしまうので、丁寧に調整します。
 サチュレーション効果もあります。
6.EQ・・・Weiss EQ MP
 コンプレッサーで膨らんだ部分を補正します。
 300〜400/600/800/1.8kあたりをカットしました。
7.サチュレータ・・・elysia Phil'sCascade
cascade.jpg
 サチュレーションプラグインです。
 操作がやや複雑ですが、程よく歪みを与え、抜けとパンチを与えます。
 原音とのミックスが可能で、今回は原音:加工音=4:6で使用。
 (*注:割合は音を聞きながら。毎回4:6では無いです。)
 歪み系のプラグインで代用可能だと思います。それぞれキャラクターがあるので、使い分けもできると思います。
 プラグインにミックスコントロールがない場合はFXトラック(Cubase)や、AUXトラック(ProTools)に送って、量をコントロールすると良いです。
 福市 基さんのこちらの記事も参考になるかと思います。

8.EQ・・・Maag Audio EQ4
maag_eq4.jpg
EQとしてはここで初めてブーストします。
 このEQで特徴的なのはAir Gain(40kHz)とSub(確か20Hzあたり)
 どちらも可聴域外の音を触る事になるので「いるの?」と思われますが、この2つが良い仕事してくれます。実際には40kHz設定でAir Gainを触るともっと下の帯域から影響があります。
 eiosisのAirEQが代用出来るかもしれません。
 AirとEarthがそれにあたるのではと思いますが、実際のところは不明...
9.EQ・・・Weiss EQ MP
 ほんの少しの微調整です。ヤスリの2000〜番とかそんな感じです。
 0.1〜1.0dBぐらいまでの加減です。
 400/1.3k/3.5kあたりをカット。
10.DeEsser・・・Weiss DEESS
  歯擦音を抑えます。2~3dB程度。
11.ボーカルオートメーション
 Waves Vocal Riderなどオートで調整してくれるプラグインもありますが、個人的には、音を聞きながら手動のフェーダーワークで書き込んで、最後に微調整する方が好きです。

長くなったので、リバーブなどFXセクションについてはまた次に書こうと思います。
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