お庭にあると、ちょっと役立つハーブたち
ベランダやお庭で気軽に育てられるハーブ。利用法は料理、お茶、ポプリ、染色、美容などバラエティに富んでいます。何かと便利なハーブの種類や育て方などを紹介します。
たくましく生きるハーブを生活に取り込むには
日本にもシソやミョウガなど、食用とされるハーブや、アイのように染め物に利用されるものなど、古くからたくさんの種類が活躍しているように、もともと世界各地のさまざまな地域で、野生種の中から人々の生活に役立つものが永い時間をかけて選び出されたものがハーブです。
人にもそれぞれの生まれ故郷があるように、ハーブにもまた生まれ育ったふるさとがあります。上手に育てるためには、その原産地の気候、風土を理解することが大切です。大きく分けて、地中海沿岸タイプ、ヨーロッパ中緯度タイプ、東南アジア中米タイプ、日本を含む東アジアタイプの4つがあります。
ハーブにはさまざまな生活型があり、茎が木化する木本(もくほん)と木化しない草本(そうほん)とに分けられます。木本は多年性で、冬に葉を落とす落葉種と一年中葉を付けている常緑種があります。草本には一年草、二年草、多年草の3通りがあります。一年草、二年草は毎年種子をまいて育てます。多年草のハーブは冬が来て茎や葉が枯れても根が残っていればまた春になると芽を吹き返します。
あると便利なハーブの種類
ハーブの利用法で一番先に思いつくのは食べることでしょう。キッチンの近くに、肉や魚と相性の良いハーブをメインにして栽培しておくと、毎日の食事やお茶の時間が豊かなものになります。
キッチンハーブとして重宝するものを5つご紹介します。
「ローズマリー」
地中海沿岸タイプの木本。香味料として肉料理やスープ、シチューなどに、またポプリや浴湯料にもつかわれます。立性、ほふく性、中間タイプと3つの系統があります。この特性を生かして、ほふく性のものはカバープランツや鉢植にして、立性は広い場所にゆとりを持って植えると長期間楽しめます。
「タイム」
地中海沿岸タイプの多年草。肉類、魚類の香味料として、新鮮葉、乾燥葉ともに使われます。料理に使う時には、そのつど小枝を切り取って使います。煮込みなどのときのブーケガルニとしても用いられ、肉類や乳製品などの加工食品には古くから使われています。フルーツの香りのするオレンジバルサムタイムやレモンタイムなど、いろいろな種類があり、花の色もバラエティに富んでいます。敷石や岩組の間など、ちょっとした所に植えてもよく育ちます。
「レモンバーム」
東南アジアタイプ。多年草。レモンに似た良い香りがします。鎮静剤として古くから神経性の頭痛や消化不良などに用いられています。お茶や料理に使う他、くせのない香りが万人向きで人気があり、ポプリなどにもつかわれます。
「フェンネル」
地中海沿岸タイプの一年草。香味料としては生葉も種も魚に合うハーブとして有名です。若い葉はサラダにも使えます。インド料理では食後にこの種が出ますが、口中をさわやかにしてくれます。ソース、カレー粉などの原料にもされています。
「バジル」
イタリア料理の印象が強いですが、熱帯アジアが原産の一年草です。中国、インド、ヨーロッパで古くから薬として珍重されてきました。新鮮葉も乾燥葉も料理には広く使われていますが、トマトに合うハーブとして定評があります。
ハーブの育て方、増やし方
既存の庭にハーブをプラスすることでも十分に楽しめます。アプローチや縁取り、フェンス、日照不足の土地や湿りがちな土地、グランドカバーにも使えます。ベランダでもよく育ちますし、明るい室内でも育ちます。寄せ植えやハンギングバスケットにしても良いでしょう。
ハーブに限らず、植物を育てるためには土が必用です。最近はハーブ専用の混合用度が市販されていますので手軽に始められます。慣れてきたらそれぞれのハーブに合わせて用土を調合しましょう。地中海沿岸産のハーブは酸性土を嫌うので、石灰を施して中和し、さらにリン酸を施すなど、性質にあわせた土づくりをしていきます。
ハーブの主な原産地である地中海沿岸やヨーロッパ中緯度地帯では、降水量が日本のおよそ半分です。日本には梅雨と秋雨がありますが、この2つの雨の期間を合わせた3ヶ月の間にヨーロッパの約1年分の雨が降ってしまいます。そのため、一般的にはやや乾燥気味にした方が徒長せずに丈夫に育つようです。
ハーブの増やし方には種をまく、挿し木と株分けがあります。この3通りの方法をマスターすれば、ハーブだけでなく殆どの植物をふやして楽しむことができます。
種子を収穫や鑑賞を予定する場所に直接まくのが「じかまき」です。フェンネル、ディルなど移植を嫌うハーブやバジルなど種子が大きめで発芽しやすいハーブはじかまきできます。ポイントは十分な土づくりと日光が当たる場所を選ぶことです。また、育苗用のセルトレイやポリポットにまいて、ある程度育った所で移植するという方法もあります。発芽したら、生育の悪いものを間引き、移植や定植をしながら育てます。
挿し木とは、葉、茎、枝、根などの一部をとって土や水に挿し、根や芽を再生させて独立した個体を育てることです。ミント、ローズマリー、ラベンダーなどは挿し木で容易にふやせます。
株分けとは、自然にふえた株を掘り起こして分割することです。自然状態で増えた株を分割するだけなので、安全で簡単です。また、栽培管理の面でも大切な作業です。株が大きくなったり古くなったりすると、株の中の風通しや日当りが悪くなるので、株分けによって悪い環境が取除かれ、病害虫の予防、生育促進、株の若返りにも効果があります。手で根を引きちぎるかナイフなどで切り分け、小鉢などに植えて育てます。ミント、タイム、レモングラス、キク類などで可能です。
<まとめ>
種子まきして芽が出るまでの待ち遠しい気持ち、日照りや害虫に負けずにたくましく育つ姿を見守ることで、収穫の時にはいっそう喜びを感じられそうです。香料やスパイスなど、ハーブは製品として私達の生活にますます身近になっていますが、実際に育てて収穫したハーブを利用するのもそれほど難しくありません。ハーブを共にする生活、この春から始めてみてはいかがでしょうか。