子どもの頃から不思議な体験はいろいろしてきましたが、
今日はその中で、ちょっとおもしろい話をさせていただきましょう。
それは、私がヨーロッパを旅していた頃の、まだ20代の時のお話です。
旅行ガイドブックで紹介されていた、それほど高くない、でもかわいい雰囲気のペンションに予約をとりました。
宿のおかみさんも親切そうで、入口から続くエントランスもいい感じです。
ところが、案内されたお部屋に入った印象は「暗い」でした。
なんだか暗いのです。壁紙もかわいいし、掃除も行き届いているのですが、でも暗いのです。
その夜です。
私は夢の中で目が覚めました。
ベッドの脇に、ヨーロッパの民族衣装を着たご婦人が腰かけています。
そして私に尋ねるです。
「そのツボに入っているハチミツ飲んでもいいかい?」
もちろん外国語です。でも、理解できてしまうのです。
私のハチミツではないのですが、私は「どうぞ」と声をかけました。
ご婦人は大きなツボを両手に抱え、ハチミツをゴクリゴクリと飲み干して行きます。
全部飲み干した瞬間、笑顔で「ありがとう」と言ったご婦人。
その瞬間です。ホテルの部屋の窓とは違う窓が開き、アッと思う間もなく、
ご婦人は天高く吸い込まれていったのです。
空の一番高い所に、天国のような(そう思った)場所が見えました。
ヨーロッパには、古い建物が多く、今はペンション経営であっても、昔は普通に人々が暮らしていたと思います。その中でお腹を空かせて、または贅沢できない状態で病気でなくなった方も多かったに違いありません。きっとその部屋でお亡くなりになった方だったのでしょう。そして、その時にハチミツなど甘いものが食べたかったのでしょうか。何か理由があって成仏できていなかったのです。
私はただ、誰のものかわからないハチミツを「どうぞ」と言っただけですが、そのことで、そこにいた方が神様の元へ行くことができたのであれば、それはそれでよかったのではないかと思います。
次の朝、目が覚めた私は、その夢をちゃんと覚えていて、そして思ったのです。
「部屋が明るい」
最初の印象とは全く違う、旅行ガイドブック通りのお部屋がそこにありました。
ご婦人の豪快な飲みっぷりは今でも忘れられません。こういう世界って、不思議だけど、コミカルな部分もあるんだなぁって思った一コマでした。