ECサイトやコーポレートサイトを運営していると、「どのページにアクセスが集まっているのか」という視点は誰もが気になるところです。
特に小規模なECサイトでは、少ない商品数や限られたリソースの中で「売上に直結するページ」を伸ばすことが成長のカギを握ります。
ところが実際には、「アクセス数が多いページ=成果が出ているページ」とは限りません。アクセスが多くても購入や問い合わせに結びつかない場合もあれば、アクセス数は少なくても購入率が高い“隠れた優良ページ”も存在します。
つまり、ページごとの「強弱」を正しく把握し、強いページはさらに伸ばし、弱いページは改善する。この循環が、サイト全体の成果を高める最短ルートになります。そのために役立つのがGA4(Googleアナリティクス4)の分析です。
GA4で確認できる「どのページが見られているか」
GA4では「ページとスクリーン」というレポートを使って、ページごとのデータを確認できます。ここで注目すべき指標は以下の通りです。
●PV(ページビュー数):
ページがどれだけ見られているかを示す基本指標
●直帰率(エンゲージメント率の逆指標):
そのページを見た後、サイトを離脱した割合
●平均エンゲージメント時間:
ページ内でどれくらい滞在・操作していたか
●CV(コンバージョン)数:
購入や問い合わせ、会員登録などゴールに結びついた数
ここで重要なのは、「アクセスが多い=成果がある」とは限らないということです。例えば、ブログ記事がSNSで拡散されアクセスが急増しても、購入につながらなければ“売上への貢献度”は低いままです。
逆に、1日のアクセスが100にも満たなくても、購入率が20%あれば非常に強いページだと言えます。
このように、GA4のデータをただ眺めるだけでなく、「その数字がサイトの成果にどう貢献しているか」を考える視点が欠かせません。
強いページの種類と活用法
●直接CVが多いページ
購入ページや問い合わせフォームなど、ゴールに直結するページは「直接CVが多いページ」にあたります。こうしたページは成果を生み出す源泉であり、広告やSNSから積極的に誘導する価値があります。
例えば、あるECサイトで「人気商品ページ」へのアクセスが増えれば、そのページをランディングページとして広告運用を行うことで、高い費用対効果が期待できます。
●間接CVが多いページ
比較記事や導入事例、ブランドストーリーのように「購入前の後押し」になるページも重要です。ユーザーは最初から商品ページに直行するのではなく、情報収集を経て購入を決断します。
GA4の「コンバージョン経路」や「アトリビューション」機能を活用すれば、どのページが“購入までの道筋”に寄与しているかを把握できます。こうした間接貢献ページは、リターゲティング広告やSNS発信に再活用すると効果的です。
●アクセスが多いがCVが少ないページ
アクセスが集まるのに成果が伴わないページは「もったいないページ」です。読まれてはいるけれど、購入や問い合わせにつながらないケースが多いのが特徴です。
改善ポイントとしては、CTA(行動喚起)の見直しや、購入判断に必要な情報の追加が挙げられます。例えば、記事の最後に「関連商品へのリンク」を自然に配置するだけでも成果が大きく変わります。
●滞在時間が長い・直帰率が低いページ
こうしたページは「ユーザーがじっくり読み込んでいる」証拠です。情報収集フェーズのユーザーが多いので、SEOをさらに強化することで新規流入を増やせます。
また、会員登録やメルマガ誘導を設置すれば、リピーター育成のきっかけにもなります。情報ページからファンを育て、次のアクションにつなげる施策が効果的です。
弱いページの種類と改善法
●アクセスが少ないページ
検索結果やサイト内の導線で見つけてもらえていない可能性があります。SEOタイトルを見直したり、内部リンクやSNS紹介を強化して、まずは「見つけてもらう工夫」が必要です。
●直帰率が高いページ
ページを開いた瞬間に「欲しい情報がない」と判断されてしまうケースです。冒頭で結論を提示したり、写真や図を追加することで離脱を防げます。また関連記事への誘導を工夫すれば回遊率も改善します。
●滞在時間が短いページ
コンテンツが薄い、レイアウトが読みづらい、スマホでの最適化がされていないなどが原因です。FAQや事例を追加したり、モバイル表示を整えることで改善が見込めます。
●CVにつながらないページ
アクセスはあるのに成果に結びつかない場合、CTAの配置や内容に問題があることが多いです。「購入を後押しする比較情報」や「口コミ・レビュー」の追加が効果的です。
強いページと弱いページをどう活かすか
ここまで見てきたように、ページには「強いページ」と「弱いページ」があります。両者をどう扱うかで、サイト全体の成果は大きく変わります。
●強いページは“伸ばす”戦略
広告・SNSで拡散し、同じ構成を他の商品やサービスにも横展開する
●弱いページは“改善”戦略
情報追加や導線最適化で成果を底上げする
この両輪を回すことで、サイト全体のバランスが整い、売上やリード獲得の安定につながります。
まとめ ― ページごとの分析が小規模ECの成長を左右する
小規模ECサイトにとって、リソースは限られています。だからこそ「どのページに力を入れるべきか」を見極めることが成長のカギになります。
GA4で「どのページが見られているのか」を確認し、強いページをさらに強く、弱いページを改善していく。この積み重ねが、売上や集客の安定化、ひいては企業の成長につながります。
ただ数字を見るだけではなく、「そのページがサイト全体にどう貢献しているのか」という視点を持つことで、データは単なる数値から“経営の意思決定を支える資産”へと変わります。
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