16ページの絵本を作った。
判型も余白も合わせたのに、ペーパーバックとして入稿できなかった。
あるいは、800ページ近い全集を白の用紙で組んだ。
仕上げの段階でクリームに変えたら、ページ数が多すぎると言われた。
薄すぎる本と、厚すぎる本。
逆の話に見えますが、どちらも同じ原因から起きます。
ペーパーバックのページ数には範囲があり、その範囲はインク・用紙・判型の組み合わせで決まるからです。
■ 下限は24ページ
KDPの公式ヘルプには、最小ページ数は24ページです、と書かれています。
続けて、最大ページ数はインク、用紙、判型オプションによって変わります、とあります。
下限はほぼ共通で、上限は選び方で動く。
まずこの形を押さえておきます。
絵本は、16ページや20ページで完結する作りが少なくありません。
中身がどれだけ整っていても、24ページに届かなければペーパーバックにはなりません。
■ 上限は、用紙で変わる
公式ヘルプには、判型ごとの最小・最大ページ数の表があります。
Amazon.co.jp 向けの表で、A5(14.8×21.0cm)の行を見るとこうなっています。
・黒インクと用紙(白):24〜828ページ
・黒インクと用紙(クリーム):24〜776ページ
・プレミアムカラーインクと用紙(白):24〜828ページ
白とクリームで、上限が52ページ違います。
理由は、公式ヘルプには明記されていません。
ただ、背幅の計算式を見ると、白は1ページあたり0.0572mm、クリームは0.0635mmです。
クリームのほうが紙が厚い。同じページ数なら、クリームの本のほうが太くなります。
冒頭の全集の話は、これです。
白なら収まっていた800ページが、クリームでは範囲の外に出ます。
■ 上限は、判型でも変わる
同じ表を下まで見ると、幅の広い判型で上限が下がります。
Amazon.co.jp 向けの表では、幅21.0cmの2つの判型(21.0×25.7cm、21.0×29.7cm)だけ、白が780ページ、クリームが730ページです。
それ以外の判型は、白828ページ、クリーム776ページでそろっています。
Amazon.com 向けの表では、差がもっと大きくなります。
8.5×8.5インチ(21.59×21.59cm)の正方形は、白で590ページ、クリームで550ページまでです。
6×9インチ(15.24×22.86cm)の828ページと比べると、240ページ近く少なくなります。
画集や写真集で選ばれやすい大きな判型ほど、厚くはできない。
こちらも理由は公式には書かれていませんが、表の数字はそうなっています。
■ 標準カラーは、下限が72ページ
表にはもう1列、標準カラーインクがあります。
この列だけ、範囲が72〜600ページです。下限が24ではなく72になっています。
ただし公式ヘルプには、現在、標準カラーは Amazon.co.jp ではご利用になれません、という注記があります。
日本で出す場合は、ここは気にしなくて構いません。
海外の解説を読んで「カラーの本は72ページから」と覚えた方は、プレミアムカラーなら24ページから、と読み替えてください。
■ 最初に決めておくこと
ページ数の範囲は、原稿を書き終えてから気づくと、直しが大きくなります。
24ページに足りなければ、内容を足すか、構成を変えるしかありません。
上限を超えていれば、分冊にするか、判型や用紙を選び直すことになります。
そこで、組版に入る前に次の順で確認します。
・インクを決める(白黒か、プレミアムカラーか)
・用紙を決める(白か、クリームか)
・判型を決める
・その組み合わせの最小・最大ページ数を、公式の表で確認する
・原稿の見込みページ数が、その中に入っているかを見る
ページ数が増えると、背幅も、のどの余白も変わります。
上限に近い本ほど、あとから用紙や判型を変えたときの影響が大きくなります。
■ だから、機械で測ることにした
ページ数は、数えれば分かる数字です。
それでも、前付けや白ページを足したり引いたりしているうちに、手元の数字と実際のPDFのページ数は食い違っていきます。
そこで、入稿前の検査では、PDFの総ページ数を実際に読み取っています。
その数を、インクと用紙の組み合わせで決まる範囲と突き合わせます。
下限に届いていなければ、その場で止まります。上限を超えていれば、注意が出ます。
24ページに1ページ足りないのか、上限まであと何ページあるのか。
感覚ではなく、数字で先に分かるようにしておく。
薄い本でも厚い本でも、考え方は同じです。
■ この検査について
この記事に書いたページ数の下限と上限は、ココナラで出している入稿前チェックに入れています。用紙とインクの組み合わせごとの範囲を持っていて、外れていれば何ページだったかを数値で出します。
Kindleペーパーバックの入稿PDFを検査します