絵本や写真集を紙の本にしたとき、図版の端が切れていた。あるいは逆に、狙っていないところに白いフチが出た。
どちらも同じ原因から起きます。断裁の位置がズレるからです。
■ 紙は、必ずしも同じ場所で切れない
印刷所は、仕上がりより大きな紙に刷って、あとから切ります。このとき、切る位置は1冊ごとにわずかに動きます。機械が悪いわけではなく、そういうものです。
もし仕上がりちょうどの大きさでデータを作ると、ズレた分だけ紙の白が出ます。ページの端に細い白い線が入ります。
だから、仕上がりより一回り大きく作って、外側を切り落とす前提にします。この切り落とされる余分を「裁ち落とし」と呼びます。
KDPの裁ち落としは、上・下・外側にそれぞれ 3.2mm(0.125インチ)です。
■ 3.2mm の外側は「消える場所」
ここで多い勘違いがひとつあります。
裁ち落としの3.2mmは、余白ではありません。「見えなくなる場所」です。
だから、図版はこの3.2mmまで届いていないといけません。届いていないと、そこに白が出ます。「フチなしにしたいのに、フチが出た」というのは、たいていこれです。
逆に、見せたいものをこの3.2mmの中に置いてはいけません。切り落とされます。図版の一部が切れていた、というのはこちらです。
■ 文字はもっと内側に
文字は、仕上がり線から 3.2mm 以上内側に置きます。断裁がズレても切れないようにするためです。
表紙では、もうひとつ条件があります。背表紙に文字を入れる場合、折り目から 1.6mm 以上離す必要があります。折り目の上に文字が来ると、曲がった位置に印刷されて読めなくなります。
そして背表紙に文字を入れられるのは、本文のページ数が一定以上あるときだけです。薄い本では、背の幅がそもそも足りません。
■ 正方形は、ひときわ間違えやすい
正方形の本(8.5インチ角など)は、絵本や写真集でよく使われます。そして寸法の取り方をいちばん間違えやすい判型でもあります。
縦と横が同じなので、どちらが「外側」なのかが直感的に分かりにくい。裁ち落としは上・下・外側につきますが、内側(のど)にはつきません。左右対称ではないのです。
見開きにしたときに、どちらが綴じられる側なのか。これを取り違えると、図版が丸ごと3.2mmずれます。
■ 画面では確かめられない
ここまでの話に共通するのは、画面を見ても分からないということです。断裁がどこで起きるかは、データの中の数値として入っているだけで、目には見えません。
だから私は、ページごとに実測することにしました。
・裁ち落としの3.2mmが確保されているか
・図版が仕上がり線まで届いているか
・見せたい部分が切り落とし範囲に入っていないか
・文字が仕上がり線から3.2mm以上内側にあるか
・背表紙の文字が折り目から1.6mm以上離れているか
数値で出して、レポートに残します。「確認しました」ではなく、何ミリだったかを書きます。