出版の判断が止まるのは、費用と成果が分かる順番のせいだ

出版の判断が止まるのは、費用と成果が分かる順番のせいだ

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ビジネス・マーケティング
先に費用が決まって、成果はあとから分かる。だから決められない。

💬 本を出したいという話は、事務所の中で何度も出る。
名刺代わりに1冊あると話が早い。相談の前提が共有できる。紹介もしやすくなる。
効果があることは、感覚としては分かっている。
実際、同業で本を出した事務所の話を聞くと、相談の入り方が変わったという声が出てくる。
だから否定的な意見が出るわけでもない。誰も反対していないのに決まらない、という状態になる。

🧮 それでも決まらない。
見積もりを取ると金額は出る。それに見合う問い合わせが来るかどうかは、出してみないと分からない。
判断に必要な2つのうち、片方だけが先に確定する。
この順番だと、慎重な人ほど動けない。
踏み切れないのは臆病だからではなく、判断材料がそろっていないからだ。材料がそろわない状態で決めろと言われている構造になっている。
見積もりを複数取っても、状況は変わらない。
比べられるのは金額と納期だけで、成果の見込みは並んでいない。
安いほうを選んでも、それが正しかったかどうかは半年後にしか分からない。

📊 前例がないことも効く。
同業の事務所が本を出しているのは知っていても、いくらかけたのか、どれだけ問い合わせが増えたのかは聞けない。
相場の感覚が持てないまま、金額の妥当性を判断することになる。
公表されている数字はある。
出版サービス各社が自社サイトに載せている相場では、文章がメインの書籍で最低100万円程度。
大手出版社の自費出版部門なら1,000冊で100万から200万円。企業出版になると安くても300万円という記述が出てくる。
ただしこれらは、いずれも出版サービスを売っている側が出している数字だ。中立の調査ではない。
しかも紙の書籍が前提になっているので、電子で出す場合とは条件が違う。

⚖️ つまり、参照できる相場そのものに偏りがある。
高いのか安いのかを判断する物差しが、売り手の側からしか出ていない。
その物差しで自分の判断を作ると、金額の妥当性は最後まで確かめられない。

⏳ 納期の長さも判断を鈍らせる。
数か月先に本が出るとして、その時期に何を仕掛けるかを先に決めておく必要がある。
決めておいたことが、出るころに状況と合っているとはかぎらない。
そのあいだ、事務所の集客に本は寄与しない。相談の場で渡せるものも、以前と同じままだ。

📉 もうひとつ、失敗したときに残るものが大きい。
まとまった額を払ったあとで、思ったほど効果がなかったと分かっても、その支出は戻らない。
1冊目の結果が悪ければ、2冊目の話は出なくなる。
一度失敗すると、次の提案がしにくくなるのも大きい。
効果がなかったという記憶が事務所に残り、数年は話題に上らなくなる。
1回目の賭け方が、その後の可能性まで決めてしまう。

🎯 評価の基準がないことも、実は効いている。
何件の問い合わせが増えれば見合うのかを、先に決めていないことが多い。
決めていなければ、出したあとにも成果を判定できない。
届いたか届かなかったかを感覚で語ることになり、2冊目をどうするかの話も進まない。
基準がないまま出すと、成果があっても認識されない。

📣 効果として語られている数字も、出どころに偏りがある。
出版サービスを売っている側は、来客数が2倍以上になった、相談件数が3〜4倍になった、受注単価が2倍以上になったという事例を自社サイトに公表している。
自社事例として出しているものなので、そのまま自分に当てはまるとは考えないほうがいい。
つまり、費用の側にも成果の側にも、中立の数字がない。
両方が売り手の資料から来ている状態で、費用対効果を判断しろと言われている。

🔍 自分で数字を作る経路も、いまはない。
前例がないので、事務所の中に比較できる実績が残っていない。
1冊出せば数字が手元にたまるが、その1冊を出す判断ができないから止まっている。
判断材料が要るのに、判断材料は動いた後にしか手に入らない。
💭 だから多くの事務所で、本の話は何年も出ては消える。
やる価値があることは分かっている。決める順番が悪いせいで前に進まない。
先に費用が確定し、成果が後から分かる。この順番を変えられないかぎり、判断は毎回同じところで止まる。

✅ 今日できることもひとつ。
本を出すとして、何件の問い合わせが増えれば見合うかを1つ決めてみる。
その数字がないと、いくら見積もりを取っても判断できない。
決めておけば、出したあとの評価もできる。次にどうするかの話が、感覚ではなく数字から始められる。
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