Kindle本を出したのに、一日に一冊も売れない。ページを開いてくれる人さえいない。
そういうとき、多くの人が「自分の文章力が足りないからだ」と考えます。もっと文章がうまければ、もっと表現力があれば売れたはずだ、と。
でも、これまで百冊以上のKindle本を制作してきて、はっきり言えることがあります。売れない本の問題は、文章のうまさとは、ほとんど関係ありません。
勝負は、本を「書き始める前」の設計で、だいたい決まっているのです。
今日は、私が制作の現場で何度も見てきた「売れない本に共通する問題」を、四つに絞ってお話しします。どれも、出版してしまう前なら、まだ直せるものばかりです。
問題1 「書きたいこと」から始めている
売れない本のいちばん多い出発点が、これです。
「自分はこれを書きたい」「これを伝えたい」——その気持ちから本を作り始める。一見、当たり前のことに思えます。でも、読者はあなたの書きたいことを探してAmazonに来るわけではありません。読者が入力するのは、自分の悩みや、知りたいことです。
つまり本は、「自分が書きたいこと」ではなく、「読者が探している悩み」から設計しないと、そもそも見つけてもらえない。
書きたいことがあるのは、悪いことではありません。むしろ大切です。ただ、その中身を「誰の、どんな悩みに効くのか」という形に翻訳する工程が、まるごと抜け落ちている本が、本当に多いのです。
問題2 タイトルが、著者の気持ちを語っている
タイトルは、本の中でいちばん多くの人に見られる場所です。ところが、ここで著者の内面をそのまま出してしまう人が少なくありません。
たとえば、ある実用書のタイトルを直したことがあります。もともとは、著者の思いを込めた、内面的な言葉のタイトルでした。それを、「誰のための本で、その人が何を得られるか」がひと目で分かる言葉に変えました。
中身は、一文字も書き換えていません。それでも、読者の反応は変わりました。
タイトルは、あなたの気持ちを表現する場所ではなく、読者が「これは自分のための本だ」と気づくための入り口です。自分の言葉に酔っていないか。読者の得が、そこに書かれているか。出す前に、一度立ち止まる価値があります。
問題3 最初の三行で、読者の悩みを言い当てていない
Amazonの紹介文には、決定的に大事な場所があります。冒頭の三行です。
読者は、そこを読んで「買うかどうか」をほぼ決めます。にもかかわらず、多くの紹介文が、その三行で「本書は〜について書かれています」という説明から入ってしまう。
売れる紹介文は、説明からは始まりません。読者がいま抱えている悩みを、最初の三行で言い当てます。「こういうことで困っていませんか」と。自分のことだ、と思ってもらえて初めて、読者は続きを読んでくれます。
紹介文は、本の要約ではありません。読者の悩みから書き始める。順番を変えるだけで、伝わり方はまるで違ってきます。
問題4 AIで書いた原稿が「流暢なのに、頭に入らない」
最近とても増えているのが、これです。
AIで書いた文章は、一見、とても読みやすく見えます。文法は正しく、言葉は滑らかで、破綻がありません。ところが、読み終えても、何も残らない。次の日には、内容を思い出せない。
これは、AIの文章が「流暢だけれど、引っかかりがない」からです。すらすら読めてしまうぶん、頭の中に足場が残らない。読みやすさと、伝わることは、実は別物なのです。
私はこの問題を扱った本も書いていますが、AI原稿を「そのまま出す」のと、「人が読める文章に編集してから出す」のとでは、読者の残り方がまったく違います。AIを使うこと自体は、まったく問題ありません。ただ、出す前に一度、人の目で「これは本当に伝わるか」を通す必要があります。
これは、出す前に直せます
四つ挙げましたが、共通しているのは、どれも「原稿を書き直す」話ではない、ということです。
誰に向けた本なのか。タイトルは読者の得を語っているか。紹介文は悩みから始まっているか。文章は本当に伝わっているか。——これらは、本の中身を全部書き換えなくても、設計と見せ方を整えるだけで、大きく変わります。
そして何より、出版してしまう前なら、まだ間に合います。出したあとで気づくのと、出す前に直すのとでは、まったく違います。
自分の本を、他人の目で一度点検してもらう。それだけで、止まっていた本が動き出すことは、珍しくありません。
いま私は、ここナラで「Kindle出版前診断」というサービスを出しています。原稿やアイデアを拝見して、今日お話ししたような問題がどこにあるか、何から直すべきかを、レポートにしてお渡しするものです。
出す前に、一度だけ他人の目を通したい。そう思ったときの、点検の選択肢の一つにしていただければ幸いです。
→ Kindle出版前診断(ココナラ)