前と同じ設定で組んだのに、届いた本は綴じ側が読みにくい。文字が内側に吸い込まれて見える。
そういうことがあります。設定を間違えたわけではありません。
原因は1つです。ページ数が増えたからです。
■ 厚い本は、根元まで開かない
紙の本は、綴じられた側が根元でカーブします。薄い本なら平らに近く開きますが、厚くなるほどカーブは深くなります。
ページ数が増えると、そのぶん背が厚くなる。背が厚くなると、開いたときに綴じ側が奥へ引き込まれる。だから同じ位置に文字を置いていても、厚い本のほうが読みにくくなります。
紙の上では同じでも、開いたときの見え方が違う。これは画面では確かめられません。
■ だからKDPは、ページ数ごとに下限を決めている
綴じ側の余白を「のど」、外側を「小口」と呼びます。KDPは、このうちのどの最小値だけをページ数で変えています。
・24〜150ページ のど 0.375インチ(9.6mm)
・151〜300ページ のど 0.5インチ(12.7mm)
・301〜500ページ のど 0.625インチ(15.9mm)
・501〜700ページ のど 0.75インチ(19.1mm)
・701〜828ページ のど 0.875インチ(22.3mm)
外側(天・地・小口)は、ページ数にかかわらず一定です。
・裁ち落としなし 0.25インチ(6.4mm)以上
・裁ち落としあり 0.375インチ(9.6mm)以上
つまり、変わるのはのどだけ。150ページの本と151ページの本では、要求される内側の余白が3.1mm違います。1ページ増えただけで、基準が一段上がります。
■ ここに、やっかいな循環があります
のどを広げると、1行に入る文字数が減ります。文字数が減ると、行数が同じでもページ数が増えます。ページ数が増えると、のどの下限がまた上がることがあります。
・のどを広げる → 総ページ数が151になる → 下限が12.7mmに上がる → また広げる
150ページあたりで組んでいる本は、この循環に入りやすい。一度で決まらないことがあります。だから、ページ数がどのあたりに落ちるかを先に見当をつけてから、余白を決めます。
■ 目で見ても分かりません
のどが規定を何ミリ下回っているかは、PDFを眺めても分かりません。定規をあてても、紙の上の位置は正しいからです。問題は「開いたときにどう見えるか」で、それはページ数と紐づいています。
だから私は、納品前に機械で測ることにしました。
・総ページ数を数える
・そのページ数に対応するのどの下限を引く
・全ページののど・小口・天・地を実測する
・下回っているページがあれば、何ページ目が何ミリだったかを出す
数値で出して、レポートに残します。「余白は確認しました」ではなく、何ミリだったかを書きます。