表紙を先に作ってしまい、あとで本文を直したら、表紙が使えなくなった。
あるいは、用紙を白からクリームに変えただけなのに、表紙のサイズが合わないと言われた。
このふたつは、同じ原因から起きます。
■ 背幅は、デザインで決める数字ではありません
背表紙の幅は、ページ数と用紙から計算で出ます。
背幅 = ページ数 × 用紙ごとの係数
・用紙(白):ページ数 × 0.0572mm
・用紙(クリーム):ページ数 × 0.0635mm
・プレミアムカラー:ページ数 × 0.0596mm
・標準カラー:ページ数 × 0.0572mm
白とクリームで係数が違うところが、見落とされやすい点です。
200ページの本なら、白は11.44mm、クリームは12.70mm。その差は1.26mm。
用紙を変えただけで、背表紙が1mm以上太くなります。
なお、白と標準カラーは同じ係数です。
ただし公式ヘルプには、標準カラーは現在 Amazon.co.jp では利用できない、という注記があります。
日本で出す場合、実際に使うのは上の3つです。
■ 表紙は「1枚の絵」です
KDPの表紙は、裏表紙・背表紙・表表紙を1枚につないだPDFで入稿します。
幅と高さの式も公式に出ています。
表紙の幅 = 裁ち落とし + 裏表紙の幅 + 背表紙の幅 + 表表紙の幅 + 裁ち落とし
表紙の高さ = 裁ち落とし + 判型の高さ + 裁ち落とし
裁ち落としは3.2mmです。
A5(148×210mm)、白の用紙、120ページで計算してみます。
・背幅:120 × 0.0572 = 6.864mm
・幅:3.2 + 148 + 6.864 + 148 + 3.2 = 309.264mm
・高さ:3.2 + 210 + 3.2 = 216.4mm
ここで本文を8ページ足して128ページにすると、背幅は7.322mm。表紙の幅は約0.46mm広がります。
用紙をクリームに変えれば、同じ120ページでも背幅は7.62mm。こちらは約0.76mmの差です。
1mmに満たない差ですが、表紙データは前のサイズのままです。
そして、背だけを差し替えて済む作りではありません。1枚の絵の横幅そのものが変わります。
■ だから、順番が決まります
本文が確定する → ページ数が決まる → 背幅が決まる → 表紙の版面が決まる
逆から進めると、本文を数ページ足しただけで表紙の作り直しになります。
「あとで1ページだけ足す」が効かないのは、このためです。
■ 背表紙に文字を入れるときの条件
ページ数が少ない本では、そもそも背に文字を入れられません。
・背表紙にテキストを入れられるのは79ページから
・表紙作成ツールを使う場合は80ページから
・テキストの両側に1.6mm以上の余白をあける
・左右の折り目には1.6mmのズレが出る前提で置く
ひとつ、正直に書いておきます。
公式ヘルプの中に「79ページ以上」と書かれた箇所と、「79ページを超えている」と書かれた箇所が
両方あります。78ページか79ページかで迷う本は、背文字を入れない側に寄せるのが安全です。
そして、入れられるかどうかと、読める大きさで入るかどうかは別の話です。
80ページ・白の用紙なら、背幅は約4.6mm。両側の1.6mmを引くと、文字に使えるのは約1.4mmです。
■ 背にくっきりした境目を作らない
背表紙の位置には、印刷のときに最大3.2mmのずれが許容されています。
背の色と表紙の色をくっきり分ける、いわゆるハードエッジの表紙は、
このずれがそのまま見えてしまうので、公式でもすすめられていません。
背景は、表表紙から裏表紙まで続けてしまうほうが安全です。
■ だから、機械で測ることにしました
ここまでの数字は、どれも目で見て判断できるものではありません。
背幅が0.5mm違っても、画面上は同じに見えます。
私は自分のワークブックを10冊、原稿から入稿まで自分で通しました。
そのとき何度も、画面では気づけないところでつまずきました。
だから、目で見るのをやめて、機械で測ることにしました。
本文には本文の入稿前チェックがあり、表紙は別の検査で、セーフゾーンと背幅を測っています。
表紙PDFの実測サイズと、ページ数と用紙から計算した値を突き合わせます。
文字が仕上がり線や折り目に近すぎないかも、同じように数値で見ています。
結果は判定レポートにして、数値ごと一緒にお渡ししています。
目で見て分からないものは、測るしかない。
本文でも表紙でも、考え方は同じです。
■ この検査について
この記事に書いた背幅の計算と、背文字が折り目にかからないかの確認は、ココナラで出している入稿前チェックの表紙オプションで測っています。本文の総ページ数と用紙から背幅を計算して、表紙PDFの実測サイズと突き合わせます。
Kindleペーパーバックの入稿PDFを検査します