選択式の設問は集計できます。困るのは自由記述です。
「その他、ご意見がありましたらご記入ください」に集まった200件を前にして、どう処理すれば論文の結果として書けるのか分からない。とりあえず全部読んで「〜という意見が多かった」と書いてしまう。
それだと、読む側は「多かったって何件ですか」と聞きます。自由記述も、数えられる形にしてから書きます。
■ やることは「コード化」
自由記述の処理は、文章を読む作業ではありません。回答をカテゴリに割り当てて、件数を数える作業です。これをコード化と呼びます。
1. 全部読む(この時点では分類しない)
2. カテゴリの案を作る
3. 各回答をカテゴリに割り当てる
4. カテゴリごとの件数を数える
1を飛ばして先にカテゴリを作ると、後半に出てきた回答が入らなくなります。面倒でも、最初に一周読みます。
■ カテゴリは5〜8個に収める
ここでほぼ全員がつまずきます。丁寧にやろうとするとカテゴリが20個になり、1件しか入らないカテゴリが並びます。それは分類ではなく、言い換えた一覧です。
目安は5〜8個。1カテゴリに最低3件は入るようにします。どうしても入らないものは「その他」にまとめて構いません。ただし「その他」が全体の2割を超えたら、カテゴリの立て方を見直します。
■ 1つの回答が複数に当てはまるとき
「価格が高いし、操作も分かりにくい」のような回答が、たいてい出てきます。先に決めておきます。
・複数カウントする(延べ件数で示す。合計が回答者数を超える)
・主なものを1つ選ぶ(合計が回答者数と一致する)
どちらでも構いませんが、途中で変えないことと、論文にどちらを採ったか書くこと。これを書いていないと、合計が合わない表を見た読み手が混乱します。
■ 途中でカテゴリを変えたくなったら
50件目まで進んだところで「このカテゴリ、分けたほうがいい」と気づくことがあります。そのときは、最初から割り当てし直します。途中から基準を変えると、前半と後半で別の物差しを使うことになり、件数が意味を持ちません。
これが起きるのは、手順1(全部読む)を省いたときです。
■ 論文にはこう書く
集計しただけでは足りません。手続きを書きます。
「自由記述の回答(n=187)について、内容の類似性にもとづき7カテゴリに分類した。分類は筆者が実施し、1回答につき最も主要な内容1つを割り当てた。該当が判断できない回答(12件)は『その他』とした。」
誰が、いくつに分け、複数該当をどう扱ったか。この3つが書いてあれば通ります。
■ AIに手伝わせる場合
分類作業はAIが得意ですが、カテゴリは自分で決めてください。
AIにカテゴリ作りから任せると、それらしいけれど自分の研究の問いとずれた分類が出てきます。口頭試問で「なぜこの分類なのか」と聞かれて答えられません。
自分でカテゴリを決めたあと、「この7つのどれに当たるか、判断が難しいものは『不明』と答えて」と頼むのが安全です。不明が集まった塊が、カテゴリの見直しどころになります。
■ 最後に
自由記述は、読み物としてではなく数えるデータとして扱うと、そのまま結果に書けます。
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