卒論のアンケートが集まったあと、多くの人が同じところで止まります。
「データはある。でも、この数字をどう処理すれば『言えること』になるのか分からない」
統計の教科書は手法ごとに章が分かれているので、自分のデータがどの章に該当するのかが、いちばん分からないようにできています。ここでは、手法を選ぶための判断の順番を書きます。
■ 手法は「3つの質問の答え」で決まる
覚えるべきは手法名ではありません。次の3つに答えられれば、候補はほぼ1つに絞れます。
質問1:知りたいのは「差」か「関係」か
・グループAとBで違いがあるか → 差の話
・ある値が上がると別の値も上がるか → 関係の話
質問2:比べるグループはいくつか
・2つ(男女、実験群と対照群)
・3つ以上(学年別、地域別)
質問3:測っているのは数値か、カテゴリか
・数値:点数、時間、金額、身長
・カテゴリ:はい/いいえ、好き/普通/嫌い、所属学部
■ この3つで、だいたいこう決まります
・差/2グループ/数値 → t検定
・差/3グループ以上/数値 → 分散分析(ANOVA)
・差/カテゴリ → カイ二乗検定
・関係/数値どうし → 相関、回帰分析
・関係/結果がカテゴリ → ロジスティック回帰
これで多くの卒論はカバーできます。
■ 手法選びより先に確認すべきこと
実は、手法を間違えることより深刻な失敗があります。サンプル数が足りていない場合、どの手法を使っても答えは出ません。
30人のアンケートで「有意差なし」と出たとき、それは「差がない」のか「差はあるが人数が足りなくて検出できない」のか、区別がつきません。この2つはまったく違う結論なのに、出力される数字は同じ「p > 0.05」です。
論文でこれを書き分けられているかどうかは、読む人が見ています。検出力を確認しておくと、「差がなかった」も理由を説明できる結果として書けるようになります。
■ 有意差が出なくても、失敗ではありません
差がなかったことにも意味があります。書き方は、たとえばこうです。
「本調査ではAとBの間に有意差は認められなかった。ただしサンプル数が限られており、小さな効果を検出するには不十分であった可能性がある。」
これは正直な記述であり、査読でも口頭試問でも通ります。逆に、有意でない結果を有意であるかのように書くと、そこを突かれます。
■ 最後に
統計は、正しく使えば「言えること」と「言えないこと」の線を引く道具です。その線を自分で引けるようになると、口頭試問で聞かれても答えられるようになります。
もし手法の選択や結果の読み方で詰まっていたら、「卒論・修論の統計解析を代行します」のサービスで承っています。解析するだけでなく、なぜその手法なのか、結果が何を意味するのかを、ご自身の言葉で説明できる形にしてお渡ししています。
なお、論文の代筆は行っていません。解析と、その解説までです。