PowerPointやWord、Excelで資料を作るとき、「できるだけ見やすくしよう」と考える方は多いと思います。
文字の大きさを揃えたり、色を統一したり、余白を調整したり。
こうした工夫は、もちろん大切です。
ただ、見た目をきれいに整えたはずなのに、実際に使ってみると「何を伝えたいのか分かりにくい」「必要な情報が見つからない」と感じる資料もあります。
反対に、それほど凝ったデザインではなくても、内容がすっと頭に入ってくる資料もあります。
この違いは、どこにあるのでしょうか。
今回は、資料の見た目を整える前に考えておきたいことについて書いてみます。
きれいな資料と、伝わる資料は同じではない
資料を作るとき、どうしても見た目が気になります。
文字の位置が揃っているか、色の組み合わせは自然か、余白が均等になっているか。
こうした部分を整えると、資料全体の印象は確かによくなります。
ただし、それだけで内容が伝わるとは限りません。
例えば、研修で使用するスライドを考えてみます。
タイトルが整っていて、図やイラストも配置され、文字の大きさも統一されている。
一見すると、とてもきれいなスライドです。
ところが、実際に見てみると、どの情報が一番重要なのか分からないことがあります。
これは、見た目は整理されていても、情報そのものが整理されていないためかもしれません。
資料を作る目的は、きれいに見せることだけではありません。
必要な情報を、必要な相手に、分かりやすく届けること。
まずは、この部分を考える必要があると思います。
その資料は、誰が何のために使いますか?
同じ内容であっても、資料を使う場面によって適した形は変わります。
例えば、研究発表で使用するスライドと、研修後に配布する資料では、求められる役割が違います。
研究発表のスライドであれば、発表者の説明を聞きながら理解できるように、重要な情報を絞る必要があります。
一方、配布資料であれば、後から読み返したときにも内容が理解できるように、ある程度の説明が必要になるでしょう。
また、Wordで作成する業務マニュアルと、Excelで作成する管理表でも考え方は異なります。
業務マニュアルでは、作業の順番や注意点が分かることが重要です。
Excelの管理表では、必要な情報を探しやすく、入力や更新がしやすいことも大切になります。
つまり、どの資料にも共通する「きれいな形」があるわけではありません。
資料を整える前に、
「誰が見るのか」
「どのような場面で使うのか」
「見た人に何を理解してほしいのか」
この3つを考えるだけでも、資料の作り方は変わってくると思います。
情報を全部載せることが、親切とは限らない
資料を作っていると、「これも必要かもしれない」「この説明も入れておいた方がよいかもしれない」と、情報が増えていくことがあります。
特に、自分が詳しい分野ほど、伝えたいことが多くなりがちです。
私自身、講義資料を作るときには、説明したい内容が増えてしまうことがあります。
ただ、作成者が伝えたいことと、見る人がその場で理解できる情報量は、必ずしも同じではありません。
情報をたくさん載せると、一つひとつの内容は正確であっても、何が重要なのか分かりにくくなることがあります。
例えば、1枚のスライドに10項目の説明が並んでいたとします。
その10項目がすべて必要だったとしても、同じ大きさ、同じ色、同じ配置で並んでいれば、見る人はどこに注目すればよいのか迷ってしまいます。
そんなときは、内容を削ることだけでなく、情報をまとめたり、順番を変えたり、複数のスライドに分けたりする方法もあります。
大切なのは、単純に文字数を減らすことではなく、情報の優先順位が伝わる形にすることだと思います。
見た目を整える前に、内容の順番を考える
資料を作るとき、最初からフォントや配色を決めたくなることがあります。
もちろん、それが悪いわけではありません。
ただ、内容が整理されていない段階でデザインを整えてしまうと、後から構成を変更するのが難しくなることがあります。
例えば、研修資料であれば、最初に「何を理解してもらいたいのか」を決め、そのために必要な内容を並べてみます。
そのうえで、説明する順番に無理がないか、前の内容を理解していないと次の内容が分からなくならないかを確認します。
Wordの文書でも同じです。
見出しのデザインを整える前に、文章の流れが自然か、同じ内容を繰り返していないかを確認することが大切です。
Excelの表であれば、罫線や色を付ける前に、どの項目が必要なのか、どの情報を比較したいのかを考えます。
内容の構成が整理されていれば、見た目を整える作業も進めやすくなります。
反対に、内容が整理されていないまま装飾を増やしても、分かりにくさが残ってしまうことがあります。
「使いやすさ」も資料の大切な品質
もう一つ考えておきたいのが、資料の使いやすさです。
例えば、Wordで作成された書類が見た目にはきれいでも、少し文字を修正しただけでレイアウトが崩れてしまうことがあります。
Excelの表でも、見た目は整っているのに、入力する場所が分かりにくかったり、項目を追加すると表全体が崩れてしまったりすることがあります。
こうした資料は、見た目だけでは判断できない問題を抱えています。
特に、繰り返し使用する資料や、複数人で編集する資料では、後から修正しやすいことも重要です。
そのため、資料を整えるときには、完成した瞬間の見た目だけでなく、その後の使われ方まで考えておきたいところです。
一度だけ使用する発表資料なのか。
今後も更新する業務資料なのか。
他の人に引き継ぐ資料なのか。
使い方によって、優先すべきことは変わってきます。
最後に
資料をきれいに整えることは、決して無駄ではありません。
文字を揃えることも、色を統一することも、余白を調整することも、情報を伝えやすくするための大切な工夫です。
ただ、その前に考えておきたいのは、「この資料で何を伝えたいのか」ということです。
見た目を整えることが目的になってしまうと、本来伝えたかった内容が埋もれてしまうことがあります。
資料を作るときには、まず内容と目的を整理する。
そのうえで、必要な情報が自然に伝わるように見た目を整える。
そんな順番を意識するだけでも、資料の仕上がりは変わってくると思います。
きれいな資料を作ることよりも、使う人にとって分かりやすい資料を作ること。
これからも、その視点を大切にしたいと思います。
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