研究を進めて、ようやくデータの収集や分析が終わった。
あとは結果をまとめるだけ。
そう思って書き始めたものの、意外と難しいのが「結果」の部分ではないでしょうか。
分析で得られた数値を並べてみたけれど、何となく読みにくい。表も作ったけれど、本文に何を書けばよいのか分からない。
そんな経験をしたことがある方もいると思います。
研究結果は、得られたデータを正確に示すことが基本です。
ただし、数値や分析結果を順番に並べれば、それだけで読み手に伝わるわけではありません。
今回は、研究結果を分かりやすく示すために考えておきたいことについて書いてみます。
結果を全部並べれば、伝わるわけではない
研究では、さまざまなデータが得られます。
対象者の基本属性、質問紙の回答、測定値、統計解析の結果など、研究によって扱う情報は異なります。
せっかく集めたデータですから、できるだけ詳しく示したいと考えるのは自然なことだと思います。
ただ、分析した順番にすべての数値を並べてしまうと、読み手は何に注目すればよいのか分からなくなることがあります。
例えば、看護師の経験年数と、ある看護実践に対する認識との関連を調べた研究があったとします。
結果の中に、年齢、性別、経験年数、所属部署、勤務形態、質問項目ごとの回答などが次々に登場すると、情報量は多くなります。
もちろん、研究の妥当性や結果の解釈に必要な情報は示さなければなりません。
しかし、すべての情報を同じように強調する必要はありません。
大切なのは、研究目的に答えるために、どの結果をどの順番で示す必要があるのかを考えることです。
まずは研究目的に戻ってみる
結果を書いているときに迷ったら、一度、研究目的を読み返してみるとよいと思います。
例えば、研究目的が「経験年数による看護実践の認識の違いを明らかにすること」であれば、読み手が知りたいのは、経験年数によってどのような違いが認められたのか、ということです。
そのためには、まず対象者の特徴を示し、その後に認識の全体的な傾向、さらに経験年数による比較結果を示す、といった構成が考えられます。
一方、研究目的が「看護実践に影響する要因を明らかにすること」であれば、結果の示し方も変わってきます。
単純な比較結果だけでなく、どの要因がどのように関連していたのかを示す必要があるかもしれません。
このように、結果の構成は研究目的や分析方法によって変わります。
結果を書くときは、分析を実施した順番ではなく、読み手が研究目的に対する答えを理解しやすい順番を意識したいところです。
表に書いた数字を、本文でも全部説明していませんか?
研究結果をまとめるとき、表を作成することは多いと思います。
表には、対象者数、平均値、標準偏差、中央値、割合、検定結果など、さまざまな情報を整理できます。
ところが、表に記載した数値を本文でも一つひとつ説明してしまうことがあります。
例えば、表に各群の平均値が示されているにもかかわらず、本文でもすべての群の平均値を順番に書いているような場合です。
これでは、表と本文で同じ情報を繰り返すことになり、かえって重要な結果が見えにくくなることがあります。
表には必要な数値を整理し、本文では研究目的に照らして重要な傾向や比較結果を説明する。
このように役割を分けると、読みやすくなる場合があります。
ただし、本文だけを読んでも主要な結果が理解できることは大切です。また、投稿先の雑誌によって表や本文の記載方法に指定がある場合もあります。
単純に数値を省略するのではなく、正確さを保ちながら、重複を減らすことがポイントです。
「結果」と「考察」が混ざっていませんか?
結果を書いていると、つい「なぜそのような結果になったのか」まで説明したくなることがあります。
例えば、経験年数の長い看護師ほど、ある項目の得点が高かったとします。
このとき、
「経験年数の長い看護師は、臨床経験が豊富であるため得点が高くなったと考えられる」
と書いてしまうことがあります。
しかし、この文章には結果だけでなく、その理由についての推測が含まれています。
結果の部分では、まず実際に得られた数値や分析結果を正確に示します。
そして、なぜそのような結果になったのか、先行研究と比較してどう考えられるのか、といった内容は考察で扱います。
もちろん、研究方法によって結果の記述方法は異なります。特に質的研究では、カテゴリーの説明や参加者の語りを用いて、結果の意味が伝わるように記述する必要があります。
それでも、データから確認できたことと、研究者が解釈したことを区別するという視点は大切だと思います。
都合のよい結果だけを示すこととは違う
ここで、一つ注意したいことがあります。
それは、「重要な結果を分かりやすく示すこと」と「都合のよい結果だけを選んで示すこと」は違う、という点です。
例えば、複数の項目について分析した結果、一部の項目でのみ統計学的に有意な差が認められたとします。
そのとき、有意差があった項目だけを示して、有意差が認められなかった項目を省いてしまうと、研究全体の結果が正しく伝わらない可能性があります。
研究では、期待した結果が得られないこともあります。
しかし、それも研究によって得られた結果です。
事前に設定した研究目的や分析計画に照らして必要な結果は、有意差の有無にかかわらず適切に報告する必要があります。
また、分析後に追加で調べた内容がある場合には、事前に計画した分析と区別して示すことも重要です。
結果を整理する目的は、研究者にとって望ましい結論に近づけることではありません。
読み手が研究の結果を正確に理解できるようにすることです。
この点は、特に大切にしたいところです。
最後に
研究結果を書くときは、数値や分析結果を正確に示すことが基本です。
ただし、得られた結果をそのまま並べるだけでは、読み手に十分伝わらないことがあります。
研究目的に沿って結果を整理すること。表と本文の役割を考えること。結果と考察を区別すること。そして、都合のよい結果だけを選ばないこと。
こうした点を意識するだけでも、結果の示し方は変わってくると思います。
研究結果は、研究者が何を見つけたのかを読み手に伝える大切な部分です。
だからこそ、情報を多く載せることだけでなく、必要な情報を正確に、分かりやすく示すことを考えたいところです。
結果を整理することは、結果を都合よく見せることではありません。
研究で得られたことを、読み手が正しく理解できる形に整えること。
その視点を大切にしたいと思います。
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