「その研究テーマ、広すぎない?」“対象・何を・どこまで”を決めると研究しやすくなります

「その研究テーマ、広すぎない?」“対象・何を・どこまで”を決めると研究しやすくなります

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学び
看護研究のテーマを考えていると、
「新人看護師の教育について研究したい」
「手術室看護について調べたい」
「患者さんの不安について研究したい」
など、最初は大きなテーマから始まることがあります。
これは悪いことではありません。
自分が普段の看護で疑問に思っていることや、「もっと知りたい」と感じていることが研究の出発点になるからです。
でも、そのまま研究計画書を書こうとすると、
「何を調べればいいんだろう?」
となることがあります。
今回は、漠然とした研究テーマを、実際に研究できる大きさまで絞っていく方法について考えてみます。

テーマが広いと、調べたいことがどんどん増えていく

例えば、
「新人看護師の教育について研究したい」
と考えたとします。
ここから研究を考えてみると、
新人看護師は何に困っている?
どんな教育を受けている?
指導方法に問題はない?
プリセプターとの関係は?
技術習得は?
精神的な負担は?
離職との関係は?
と、いろいろな疑問が出てきます。
どれも研究できそうです。
だからこそ難しい。
「新人看護師の教育」というテーマが悪いのではなく、この段階ではまだ“研究テーマの候補となる領域”が見えている状態と考えると分かりやすいと思います。
ここから、
今回の研究では何を見るのか
を決めていきます。
テーマが広いまま研究を始めると、アンケート項目も増えやすくなります。
「あれも聞いておこう」
「これも関係するかもしれない」
と質問が増える。
結果もたくさん出る。
すると今度は、
「どの結果を中心に考察すればいい?」
となってしまいます。
最近の記事で書いた「研究結果を全部考察しようとしてしまう」という問題も、実は研究を始める段階でテーマが広すぎたことが関係している場合があります。

私なら「対象・何を・どこまで」の3つを考えます

研究テーマを具体的にするとき、難しい言葉から考えなくても、
「誰について?」
「何を知りたい?」
「どこまで明らかにしたい?」
の3つを考えると整理しやすくなります。
例えば、
新人看護師の教育について研究したい

というところから、
対象は?
A病院に勤務する新人看護師。
何を知りたい?
臨床で困難を感じている看護技術。
どこまで明らかにしたい?
どのような看護技術に困難を感じているのか、その実態を明らかにしたい。
と考える。
すると、
A病院の新人看護師が臨床で困難を感じている看護技術の実態を明らかにする

というように、少し研究の形が見えてきます。
最初の、
「新人看護師の教育について」
と比べると、
何を調べればよいのかがかなり具体的になったと思います。
もちろん、この文章をそのまま研究目的にするという意味ではありません。
まずは、
自分が本当に知りたいものを見える形にする
ための作業です。

テーマを絞ることは「研究を小さくすること」ではありません

研究テーマを相談していると、
「そこまで絞ったら、研究として弱くなりませんか?」
と感じることがあります。
確かに、
「看護師のストレスについて」
より、
「A病院の〇〇病棟に勤務する看護師の夜勤時のストレスについて」
の方が扱う範囲は狭くなります。
でも、
範囲が広い=良い研究
とは限りません。
例えば、
「手術室看護師の看護実践について」
という大きなテーマを考えたとします。
看護実践には、
患者とのコミュニケーション。
安全管理。
器械出し。
外回り。
体位固定。
術前訪問。
術後訪問。
多職種連携。
新人教育。
など、さまざまなものが含まれます。
これを一つの研究ですべて扱おうとすると、それぞれについて十分に検討できなくなるかもしれません。
それより、
「今回は〇〇に焦点を当てる」
と決めた方が、そこを詳しく見ることができます。
研究テーマを絞ることは、
研究の価値を小さくすることではなく、
「今回の研究で何を明らかにするのか」をはっきりさせること
だと思います。
一つの研究ですべてを明らかにする必要はありません。
今回分からなかったことがあれば、それが次の研究につながることもあります。

具体的にしていくと「研究方法」も見えやすくなる

テーマが具体的になると、研究方法も考えやすくなります。
例えば、
「看護師の教育について研究したい」
という段階では、
アンケートがよいのか。
インタビューがよいのか。
既存のデータを分析するのか。
何人くらい必要なのか。
まだ決めにくいと思います。
でも、
「新人看護師が臨床でどのような場面に困難を感じているのかを知りたい」
となれば、
本人にインタビューして具体的な経験を聞く方法が候補になるかもしれません。
一方、
「新人看護師がどの看護技術に困難を感じているのか、その傾向を調べたい」
のであれば、質問紙調査が候補になるかもしれません。
つまり、
方法を先に決めるのではなく、知りたいことを具体的にすると、それに合った方法が見えてくる
ということです。
「アンケート調査をやりたいから、アンケートで調べられるテーマを考える」
ではなく、
「これを知りたい。そのためにはどんな方法が適している?」
と考える。
以前の記事で書いた、
「研究は目的から逆算する」
という話にもつながります。
テーマを絞る作業は、研究方法を決める前の大切な準備でもあります。

ただし、最初から絞りすぎなくても大丈夫です

ここまで「テーマを絞る」と書いてきましたが、
研究を考え始めた瞬間から、
完璧なテーマを作る必要はありません。
最初は、
「手術室看護について研究したい」
くらいでもよいと思います。
そこから文献を読んだり、周囲と話したり、普段の看護を振り返ったりする。
すると、
「自分が気になっていたのは手術室看護全体ではなく、術前訪問だった」
「術前訪問そのものではなく、患者の不安への関わりだった」
というように、自分の疑問が少しずつ見えてくることがあります。
逆に、最初から無理に細かくしすぎると、
まだ何も分かっていない段階なのに、
対象。
方法。
評価項目。
まで固定してしまうことがあります。
そうすると、
文献を読んで別の重要な視点に気づいても、方向を変えにくくなります。
最初は広くても大丈夫です。
ただ、
実際に研究計画へ進むときには、そのままにしない。
広い興味から、
「自分は何が知りたいのか」
を少しずつ絞っていきます。

研究計画を書き始める前に一度確認してみる

テーマが決まったと思ったら、
私は一度、
「この研究を一文で説明できる?」
と考えてみます。
例えば、
新人看護師について研究します。

では、まだかなり広い。
新人看護師の教育について研究します。

少し絞られましたが、まだいろいろな研究ができそうです。
新人看護師が臨床で困難を感じている看護技術の実態を調べます。

ここまで来ると、
何を研究するのかがかなり見えてきます。
そして、
もう一つ確認します。
「この研究で、どこまで分かれば終了?」
これも意外と大切です。
実態を明らかにする研究なのか。
関連する要因まで調べるのか。
介入して効果まで検証するのか。
ここが曖昧だと、
研究目的が、
「実態を明らかにし、要因を分析し、支援方法を検討し、教育プログラムを作成し、その効果を検証する」
というように、どんどん大きくなることがあります。
それぞれ大切なテーマですが、
一つの研究ですべてやらなくてもよい
と思います。
まず実態を明らかにする。
その結果から次の疑問が生まれたら、次の研究へ進む。
研究を一つで完結させようとせず、
研究を積み重ねていく
という考え方もできます。

まとめ

研究テーマを考え始めたとき、
テーマが広いこと自体は問題ではありません。
「新人看護師の教育」
「手術室看護」
「患者の不安」
など、
最初は大きな興味から始まることがあります。
でも、実際に研究へ進むときには、
対象は誰?
何を知りたい?
どこまで明らかにしたい?
と考えてみます。
そうすると、
漠然としていた興味が、
少しずつ、
「今回の研究で何をするのか」
という形になっていきます。
そして、
テーマを絞ることは、
研究を小さくすることではありません。
むしろ、
一つの研究で何を明らかにするのかを明確にすること
だと思います。
あれも知りたい。
これも調べたい。
と思ったときほど、
一度、
「今回の研究では、どこまで?」
と考えてみる。
残った疑問は、
次の研究テーマになるかもしれません。
一つの研究ですべてを明らかにしようとせず、
一つずつ積み重ねる。
その方が、
研究目的も、
方法も、
結果も、
考察も、
一本の線でつながりやすくなると思います。

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