「図を入れれば分かりやすくなる?」スライドでは“図を入れる目的”を考える
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デザイン・イラスト
PowerPointでスライドを作っていると、
「文字ばかりで、なんだか見にくいな……」
と感じることがあります。
そこで、
イラストを入れる。
アイコンを置く。
矢印を追加する。
図形で囲む。
写真も入れてみる。
すると今度は、
「確かに華やかになったけど、前より分かりやすくなった?」
ということがあります。
図やイラストを入れること自体が、
悪いわけではありません。
むしろ、
文章だけでは伝わりにくい内容を、
一瞬で理解してもらえることもあります。
でも、
図を入れる=分かりやすいスライドになる
とは限りません。
今回は、
スライドに図やイラストを入れるときの、
「何のために入れるのか」
について考えてみます。
「文字ばかりだから図を入れる」になっていませんか?
スライドを作っていると、
文章が続いているページを見るだけで、
少し不安になることがあります。
「文字ばかりだな」
「何か入れた方がいいかな」
そこで、
内容に関連しそうなイラストを探して、
空いているところに配置する。
例えば、
看護について説明しているから、
看護師のイラストを置く。
病院について説明しているから、
病院のイラストを置く。
研究について説明しているから、
パソコンを操作している人のイラストを置く。
見た目は、
少し華やかになります。
でも、
そのイラストによって、
内容が理解しやすくなったでしょうか。
ここは、
一度考えてみてもよいと思います。
「装飾」と「説明する図」は少し違います
スライドに入れる図には、
いろいろな役割があります。
例えば、
雰囲気を柔らかくするためのイラスト。
視線を引くためのアイコン。
内容を説明するための模式図。
順番を示すフロー図。
違いを示す比較図。
データを示すグラフ。
どれも図ではありますが、
役割は違います。
そのため、
「図があるか、ないか」
だけで考えるより、
「この図は何をするために置いている?」
と考える方が分かりやすいと思います。
図が特に役立つのは「関係」を見せたいとき
文章だけでは説明しにくいものの一つが、
情報同士の関係
です。
例えば、
心拍出量が低下すると腎血流量が低下し、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が活性化され、水分・ナトリウム貯留につながる。
文章でも説明できます。
でも、
スライドでは、
心拍出量低下
↓
腎血流量低下
↓
RAA系活性化
↓
水分・Na貯留
と図にした方が、
流れを追いやすくなることがあります。
この場合、
矢印には、
単なる飾りではなく、
「次につながる」
という意味があります。
「流れ」は図にすると伝わりやすい
何かの手順や経過を説明するときも、
図が役立ちます。
例えば、
研究テーマを決める
↓
研究目的を明確にする
↓
研究方法を決める
↓
データを収集する
↓
分析する
↓
結果・考察を書く
文章で箇条書きにしてもよいですが、
矢印でつなげることで、
「順番がある」
ことを視覚的に伝えられます。
このような場合は、
図にする意味があります。
「比較」も図に向いています
2つのものを比較するときも、
図や表が役立ちます。
例えば、
A
特徴①
特徴②
特徴③
B
特徴①
特徴②
特徴③
文章として順番に説明すると、
Aを読んで、
Bを読んで、
もう一度Aへ戻って比較する必要があります。
でも、
左右に並べれば、
同じ項目をその場で比較できます。
つまり、
図にすることで、
見る人の頭の中で行う作業を減らせる
わけです。
「構造」を見せるときにも図が使えます
例えば、
組織の構成。
分類。
階層。
概念同士の関係。
こうしたものも、
文章だけでは全体像をつかみにくいことがあります。
上位概念。
その下にある項目。
さらに細かい項目。
という構造なら、
階層図にすることで、
「何がどこに属しているのか」
が見えやすくなります。
数字はグラフにすればよいとは限りません
データがあると、
とりあえずグラフにしたくなることがあります。
でも、
数字があるからといって、
必ずグラフが必要なわけではありません。
例えば、
伝えたい数字が、
「参加者の90%が満足と回答した」
だけなら、
大きく、
90%
と示した方が伝わることもあります。
一方、
複数の群を比較したい。
時間による変化を見せたい。
項目ごとの差を見せたい。
という場合は、
グラフの方が適しています。
ここでも、
何を理解してほしいか
から考えます。
イラストにも役割はあります
では、
説明に直接必要ではないイラストは、
全部いらないのでしょうか。
私は、
そうは思いません。
イラストには、
資料の雰囲気を柔らかくしたり、
テーマを直感的に伝えたり、
スライドに入りやすくしたりする役割もあります。
特に、
高校生向け。
患者さん向け。
一般の方向け。
研修の導入。
などでは、
イラストがあることで、
資料に対する心理的なハードルを下げられることもあります。
つまり、
装飾だから不要
というわけでもありません。
ただし「装飾が主役」にならないようにする
例えば、
大きな看護師のイラスト。
その横に、
小さな文字で重要な説明。
これでは、
見る人の視線は、
まず大きなイラストへ向かいます。
でも、
本当に見てほしいのは、
文章の方かもしれません。
つまり、
図そのものが悪いのではなく、
図の目立ち方と情報の重要度が合っているか
が問題です。
「空いているから置く」は少し注意
スライドを作っていると、
右下に空白がある。
左側が少し寂しい。
すると、
そこへ何か置きたくなります。
でも、
以前の記事でも書いたように、
余白には役割があります。
空いている場所を、
すべて図やイラストで埋める必要はありません。
むしろ、
余白があることで、
重要な情報が目立つこともあります。
「空いている=何か入れる場所」
とは限りません。
図が増えると視線も増えます
図。
アイコン。
写真。
イラスト。
矢印。
吹き出し。
それぞれには、
見る人の視線を引く力があります。
そのため、
1枚のスライドに、
たくさん配置すると、
視線が、
あちら。
こちら。
また別の場所。
と移動します。
結果として、
「どこから見ればいいの?」
となることがあります。
図を入れたら「最初にどこを見る?」を確認する
図を入れたあと、
スライド全体を少し離れて見てみます。
そして、
最初に目に入る場所
を確認します。
その場所は、
本当に、
最初に見てほしい情報でしょうか。
もし、
内容とはあまり関係のないイラストが、
一番目立っているなら、
サイズを小さくする。
位置を変える。
色を抑える。
場合によっては削除する。
という調整をしてもよいと思います。
図の中に情報を詰め込みすぎることもあります
「文章を図にすれば分かりやすい」
と考えて、
長い文章を、
たくさんの四角で囲む。
それを、
大量の矢印でつなぐ。
すると、
一見、
図になっています。
でも、
よく見ると、
文章を箱に入れただけ
ということがあります。
図にしたことで、
むしろ読む順番が分からなくなる場合もあります。
図にするなら「関係」が見えるか
図を作ったとき、
確認したいのは、
文章では分かりにくかった何かが、図によって見えるようになったか
です。
順番が分かる。
原因と結果が分かる。
違いが分かる。
グループが分かる。
全体像が分かる。
こうしたものが見えるなら、
図にした意味があります。
逆に、
図にしても、
結局すべての文章を読まなければ意味が分からないなら、
もう少し整理できるかもしれません。
矢印にも意味を持たせる
図を作るとき、
よく使うのが、
矢印
です。
便利なので、
つい何でも矢印でつないでしまいます。
でも、
矢印には、
方向。
順番。
変化。
原因と結果。
影響。
など、
何らかの意味があります。
A → B
と書けば、
見る側は、
「AからBへ何かが起こる」
と考えます。
単に、
2つの箱を見た目としてつなぎたいだけなら、
本当に矢印が必要なのか考えてみます。
図と説明文が重複していないか
例えば、
図の中に、
A → B → C
と書いてある。
その下に、
Aの次にBが起こり、その後Cが起こります。
と書いてある。
さらに発表者も、
同じ文章を読み上げる。
これでは、
同じ情報が3回出てきます。
もちろん、
補足説明が必要な場合もあります。
でも、
図だけで分かる部分まで、
文章で繰り返す必要があるかは、
確認してみてもよいと思います。
図は「説明をなくすもの」ではありません
一方で、
図を置いただけで、
説明しなくても伝わるとは限りません。
特に、
専門的な図。
複雑なグラフ。
初めて見る模式図。
などは、
「この図のどこを見ればよいのか」
を説明する必要があります。
例えば、
「ここでは左側の変化に注目してください」
「赤い矢印が今回説明したい部分です」
と伝える。
そうすると、
図と発表者の説明がつながります。
1枚のスライドに図はいくつ必要?
これは、
「〇個まで」
と単純には決められません。
ただ、
図を追加するたびに、
私は、
「この図は別の情報を伝えている?」
と考えます。
もし、
3つのイラストが、
すべて同じ意味なら、
1つでもよいかもしれません。
反対に、
3段階の変化を示すために、
3つの図が必要なら、
それぞれに役割があります。
数ではなく、
役割が重複していないか
を見る方が大切です。
写真を使う場合も同じです
写真は、
非常に強い視覚情報です。
実際の物。
場所。
状態。
手技。
などを見せるときには、
文章よりも分かりやすいことがあります。
でも、
テーマに関連しているという理由だけで、
大きな写真を置くと、
そちらに視線が集中します。
写真についても、
「この写真から何を理解してほしい?」
を考えます。
「なくしたら困る?」と考えてみる
図やイラストが必要か迷ったら、
一度、
その図を消してみます。
そして、
「この図がなくなったら、内容が分かりにくくなる?」
と考えます。
分かりにくくなる。
→ その図には説明する役割がある。
ほとんど変わらない。
→ 装飾として使っている可能性がある。
もちろん、
装飾として残す選択もあります。
ただ、
自分が何のために残しているのか分かっている
ことが大切です。
私なら図を入れる前に3つ確認します
スライドへ図を追加するとき、
私は、
次の3つを確認します。
① この図で何を理解してほしい?
流れ?
比較?
構造?
数字?
イメージ?
② 文章より図の方が分かりやすい?
図にすることで、
理解するための負担が減るでしょうか。
③ この図が一番目立っても大丈夫?
図が強すぎて、
本当に重要な情報を邪魔していないでしょうか。
この3つを考えるだけでも、
「何となく入れた図」
は減らせると思います。
「図を増やす」より「図の役割を決める」
見やすいスライドを作ろうとすると、
文字を減らす。
色を使う。
余白を作る。
図を入れる。
といった方法を考えます。
どれも大切です。
でも、
それぞれを、
ただ増やせばよいわけではありません。
図についても、
大切なのは、
数ではなく役割
です。
文章だけでは分かりにくい関係を見せる。
順番を示す。
比較しやすくする。
全体像を見せる。
重要なデータへ視線を向ける。
そうした目的があって、
初めて図が、
「分かりやすさのための道具」
になります。
まとめ
スライドに図やイラストを入れると、
見た目は華やかになります。
でも、
図が多い=分かりやすい
とは限りません。
大切なのは、
「この図を何のために入れる?」
と考えることです。
流れを見せたい。
比較したい。
構造を見せたい。
数字の違いを伝えたい。
テーマのイメージを伝えたい。
目的が決まれば、
必要な図も変わります。
そして、
図を入れたあとには、
「この図がなくなったら、本当に分かりにくくなる?」
と一度確認してみる。
必要なら残す。
役割がなければ減らす。
装飾として必要なら、
主役を邪魔しない大きさにする。
図は、
空いている場所を埋めるためのものではなく、
文章だけでは伝えにくいことを、見える形にするためのもの
として使う。
そんな視点でスライドを見ると、
図やイラストの使い方も、
少し変わってくると思います。
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