「説明を全部スライドに書いてない?」“話す内容”と“見せる内容”を分けて考える

「説明を全部スライドに書いてない?」“話す内容”と“見せる内容”を分けて考える

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PowerPointでスライドを作っていると、

「説明する内容を全部書いておいた方が親切かな?」

と思うことがあります。

発表で話す予定の内容を、

できるだけスライドにも書いておく。

説明が抜けないように文章を追加する。

補足情報も入れておく。

すると、

最初は数行だったスライドが、

いつの間にか文章でいっぱいになっている。

そんなことがあります。

でも、

発表用のスライドは、

話す内容をすべて文字にしたもの

である必要はありません。

今回は、

「話す内容」と「見せる内容」をどう分けるか

について考えてみます。

発表原稿とスライドは同じものではありません


例えば、

講義で次のように説明するとします。

術後は疼痛によって深呼吸や咳嗽が抑制されることがあります。その結果、痰を十分に排出できず、無気肺や肺炎などの呼吸器合併症につながる可能性があります。そのため、疼痛の程度を確認しながら、深呼吸や早期離床を支援することが大切です。

これを、

そのままスライドに書くこともできます。

でも、

スクリーンに長い文章が表示されたら、

見る側はどうするでしょうか。

文章を読む。

発表者の説明も聞く。

さらに、

内容を理解する。

複数のことを同時にしなければなりません。

「読む」と「聞く」が同時に起こります


発表者が、

スライドに書いてある文章と、

ほぼ同じ内容を話している。

すると、

見る側は、

スライドを読むべきか、発表者の話を聞くべきか

迷うことがあります。

特に、

文章量が多いスライドでは、

まだ文章を読んでいる途中なのに、

発表者は次の話へ進んでいる。

そんなこともあります。

せっかく丁寧に説明を書いたのに、

かえって理解する負担を増やしてしまうことがあります。

スライドは「説明の全文」でなくてもよい


先ほどの術後合併症の説明なら、

例えば、

スライド

疼痛
深呼吸・咳嗽の抑制
喀痰排出困難
無気肺・肺炎

→ 疼痛管理+深呼吸+早期離床

と示す方法もあります。

そして、

詳しい説明は、

発表者が口頭で補います。

この場合、

スライドは、

話の構造を見せる役割

を持っています。

「何を書く?」ではなく「何を見せる?」と考える


スライドを作るとき、

つい、

「何を書こう?」

と考えます。

でも、

発表用資料なら、

少し視点を変えて、

「この場面では何を見せたら理解しやすい?」

と考えてみます。

例えば、

順番を説明する。

→ 流れ図

2つを比較する。

→ 左右に並べる

数値の違いを伝える。

→ グラフや大きな数字

重要な言葉を覚えてほしい。

→ キーワードを大きく表示

全体像を理解してほしい。

→ 模式図

というように、

文章以外の方法も考えられます。

話す内容のすべてが「見せる情報」とは限りません


発表では、

理解してもらうために、

いろいろな補足をします。

例えば、

具体例。

自分の経験。

注意点。

例外。

背景。

ちょっとしたエピソード。

こうしたものまで、

全部スライドに書く必要はないことがあります。

口頭で説明すれば十分な内容もあります。

むしろ、

スライドにすべて書かないことで、

発表者の話を聞く意味

が生まれます。

では、何をスライドに残す?


私は、

次のようなものは、

スライドに残す価値が高いと思います。

① そのスライドで最も伝えたいこと

何を覚えてほしいのか。

② 話を理解するためのキーワード

専門用語や重要な概念。

③ 口頭だけでは理解しにくい情報

図、グラフ、表、数値、関係性など。

④ 話の順番や構造

今どこを説明しているのか分かる情報。

⑤ あとで思い出してほしい情報

重要なポイントやまとめ。

つまり、

「話す文章」ではなく、「理解を助ける情報」

を残します。

「全部大事だから全部書く」になりやすい


資料を作っていると、

削れなくなることがあります。

この説明も大事。

この注意点も大事。

この数値も大事。

この補足も大事。

全部大事だから、

全部スライドに入れる。

でも、

すべてが同じように表示されると、

見る側には、

どれが一番重要なのか分からなくなる

ことがあります。

作る側にとって、

すべて大切でも、

見る側には、

優先順位が必要です。

「絶対に見てほしいもの」を一つ考える


スライドが文字でいっぱいになったら、

一度、

「このスライドで、一つだけ覚えてもらうなら何?」

と考えてみます。

例えば、

術後呼吸器合併症について説明するスライドなら、

「疼痛による呼吸抑制が合併症につながる」

なのか。

「早期離床が重要」

なのか。

「術後は無気肺が起こりやすい」

なのか。

中心となるメッセージによって、

スライドの作り方も変わります。

詳細は口頭で補う


例えば、

スライドには、

「術後疼痛 → 深呼吸抑制 → 無気肺リスク」

だけを大きく示す。

発表では、

「疼痛が強い患者さんでは、深呼吸や咳嗽を避けることがあります。すると痰が排出しにくくなり……」

と詳しく説明する。

こうすると、

見る側は、

スライドで全体の流れを確認しながら、

発表者の説明を聞くことができます。

スライドと発表者で「役割分担」する


私は、

スライドと発表者には、

それぞれ役割があると考えると分かりやすいと思います。

スライド

見せる

キーワード。

図。

関係。

比較。

数値。

流れ。

発表者

説明する

理由。

背景。

具体例。

補足。

解釈。

注意点。

両方が同じことをするのではなく、

それぞれが得意な方法で情報を伝える

イメージです。

グラフも「見せて終わり」ではありません


例えば、

研究結果のグラフを表示する。

グラフ自体は、

見るための情報です。

でも、

グラフを置いただけでは、

見る側が、

どこに注目すればよいのか分からない場合があります。

そこで、

発表者が、

「ここではA群とB群の差に注目してください」

と説明する。

すると、

スライドと発表者の役割がつながります。

図を入れた場合も同じです


昨日の記事では、

「図を何のために入れるのか」

について書きました。

図を入れたら、

今度は、

その図を発表でどう使うかも考えます。

図を表示しているのに、

発表者は図とは関係のない長い文章を読み上げている。

これでは、

見る側は、

図を見るべきか、

話を聞くべきか迷います。

図を見せるなら、

「この図のここを見てください」

と、

話す内容と結びつけることが大切です。

スライドを「カンペ」にしすぎない


発表に慣れていないと、

スライドへ文章をたくさん書いておきたくなります。

なぜなら、

そのまま読めるからです。

これは、

安心感があります。

私も、

発表内容を忘れないために、

情報を残したくなる気持ちは分かります。

でも、

発表者のためのカンペと、

聴衆に見せるスライドは、

目的が違います。

発表者用の情報は別に持つ方法もあります


話す内容を忘れるのが不安なら、

すべてをスライドに書かなくても、

PowerPointのノート欄。

発表原稿。

手元のメモ。

などに残す方法があります。

つまり、

「自分が話すために必要な情報」と「相手に見せる情報」を分ける

ということです。

これだけでも、

スライドの文字量をかなり整理できます。

講義資料では少し事情が違います


ここで注意したいのが、

発表用スライドと配布資料は同じではない

ということです。

例えば、

大学の講義資料。

研修後に配布する資料。

あとから受講者が復習する資料。

こうした場合、

スライド単体でも、

ある程度内容が分かる必要があるかもしれません。

発表中だけ使う資料なら、

口頭説明に任せられる。

でも、

あとから読む資料なら、

情報を少し多めに残す。

用途によって、

適切な文字量は変わります。

「見せる資料」と「残す資料」は違う


ここは、

かなり重要だと思います。

発表で見せる資料

その場で説明を聞きながら見る。

→ 簡潔でも理解できる。

あとから読む資料

発表者がいない状態で読む。

→ ある程度説明が必要。

同じPowerPointでも、

目的が違います。

だから、

「スライドは文字が少ない方が絶対によい」

とも言い切れません。

学会発表では?


学会発表では、

限られた時間の中で、

研究内容を説明します。

スライドへ、

論文の文章をそのまま貼り付けると、

かなり文字が多くなります。

例えば、

考察を、

論文からそのまま数百文字貼る。

すると、

聴衆は、

文章を読むことに集中してしまいます。

発表では、

考察の中心となるポイントをスライドに示し、詳しい解釈を口頭で説明する

方が伝わりやすい場合があります。

研修では?


研修では、

受講者に、

「あとで実践してほしいこと」

を明確にすると分かりやすくなります。

例えば、

長い説明の最後に、

スライドには、

明日から意識する3つ

① 〇〇
② 〇〇
③ 〇〇

と残す。

詳しい理由は、

発表者が説明する。

こうすると、

何を持ち帰ってほしいのかが見えやすくなります。

授業では?


授業では、

学生がノートを取ることもあります。

そのため、

すべてをスライドに書いてしまうと、

学生は、

スライドの文字を写すことに集中してしまう場合があります。

反対に、

何も書かなさすぎると、

重要なポイントが分からない。

そのため、

重要なキーワードや構造は見せる

説明や具体例は話す

という分け方もできます。

「読ませる時間」を作るなら文章があってもよい


文章が多いスライドが、

すべて悪いわけではありません。

例えば、

事例。

患者さんの発言。

研究参加者の語り。

定義。

短い文章を、

あえて読んでもらいたい場合があります。

そのときは、

文章を表示して、

発表者がすぐ話し続けるのではなく、

読む時間を少し取る

という方法もあります。

つまり、

文章量だけでなく、

どう見せるか

も大切です。

同じ内容を「読むだけ」になっていないか


スライドを作ったあと、

発表練習をしてみます。

そのとき、

自分が話している内容と、

スライドの文章が、

ほぼ完全に同じだったら、

少し確認してみます。

「この文章、本当に全部スライドに必要?」

一部をキーワードにできないか。

図にできないか。

口頭だけで説明できないか。

考えてみます。

スライドを消しても説明できますか?


少し極端ですが、

私は、

こんな確認方法も使えると思います。

「このスライドがなくても、自分は説明できる?」

説明できない。

→ 発表内容そのものをスライドに頼りすぎている可能性があります。

説明できる。

→ では、その説明を理解してもらうために、何を見せればよい?

こう考えると、

スライドに必要な情報が見えてきます。

「話す内容」からスライドを作る方法


先に発表内容を考えてから、

スライドを作る方法もあります。

例えば、

まず、

この場面で何を説明する?

と考える。

次に、

その説明の中から、

見せた方が分かりやすいもの

を抜き出します。

例えば、

話す内容:

「Aが起こることでBが生じ、その結果Cにつながります」

見せる内容:

A → B → C

これだけでも、

話す内容と見せる内容を分けられます。

私なら4つに分けて考えます


スライドへ入れるか迷ったら、

情報を次の4つに分けます。

① 見せた方が分かりやすい

図。

グラフ。

数値。

比較。

流れ。

→ スライドへ

② 覚えてほしい

キーワード。

結論。

重要なポイント。

→ スライドへ

③ 詳しく説明したい

理由。

背景。

具体例。

補足。

→ 口頭中心

④ 自分が忘れたくない

発表の細かな説明。

言い回し。

補足事項。

→ ノート・発表原稿へ

このように分けると、

全部をスライドに載せなくてもよくなります。

1枚完成したら「役割」を確認する


スライドを1枚作ったら、

私は、

次のように考えます。

このスライドは何を見せるためのもの?

そして、

私はこのスライドを使って何を話す?

この2つが、

まったく同じ文章になっているなら、

少し整理できるかもしれません。

スライドは「発表者の代わり」ではありません


PowerPointは、

非常に便利です。

文字も書ける。

図も入れられる。

動画も入れられる。

グラフも作れる。

でも、

発表者がいる場面では、

スライドだけで、

すべてを説明する必要はありません。

発表者が、

話す。

補足する。

強調する。

例を出す。

聴衆を見る。

そして、

スライドが、

その理解を助ける。

この組み合わせで、

一つの発表になります。

まとめ


スライドを作っていると、

説明する内容を、

全部書いておきたくなることがあります。

情報が多い方が、

親切に感じることもあります。

でも、

発表用スライドでは、

「話す内容」と「見せる内容」は同じでなくても大丈夫です。

見せるものは、

キーワード。

図。

流れ。

比較。

グラフ。

重要な数値。

結論。

そして、

詳しい理由。

背景。

具体例。

補足。

こうしたものは、

発表者が話す。

さらに、

自分が忘れたくない細かな説明は、

ノートや発表原稿へ置く。

つまり、

スライド・発表者・発表原稿で役割を分ける

という考え方です。

スライドが文字でいっぱいになったら、

「何を削ろう?」

と考える前に、

一度、

「これは“見せる情報”?それとも“話す情報”?」

と考えてみる。

それだけでも、

スライドに残す情報が整理しやすくなると思います。

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