高校英語の問題は、本当に「英語」の問題なのか

高校英語の問題は、本当に「英語」の問題なのか

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近年、大学入試における英語評価は大きく変化しています。

2026年度入試では、全国の約65%、494大学が英検などの英語外部検定を活用しており、リーディングやリスニングだけでなく、ライティングやスピーキングを含めた4技能評価の流れが広がっています。英語が本来「使うための言語」である以上、この流れ自体は自然なものと言えるでしょう。

こうした変化に合わせて、高校の学習指導要領も、「読む・聞く・話す・書く」の4技能5領域を重視する方向へ転換しました。しかし現場では、依然として「指導要領と入試にズレがある」という声が聞かれます。かつて共通テストへの民間試験導入が見送られた経緯も、その難しさを物語っています。

ただ、ここで一度立ち止まって考えたいのです。本当に問題は、入試形式と指導要領のズレだけなのでしょうか。なぜなら、試験形式が変わっても、英語という言語の本質、そしてそれを習得するために必要なプロセスは大きく変わらないはずだからです。

読む・聞く・話す・書くという4技能は、一見すると別々の能力に見えます。しかし、その土台には共通する力があります。それが、情報を整理し、論理を組み立てる力、つまり思考力です。

一方で、大学入試、特に難関大学では、依然として高度な読解力が求められています。4技能評価が広がっているとはいえ、長文読解が入試英語の中心であることに大きな変化はありません。

ここで重要なのは、4技能教育と読解対策を別々のものとして考えないことです。

長文を通して精読・速読・音読・要約を積み重ねる学習は、聞く・話す・書く力にもつながります。つまり高度な長文読解の基礎訓練を通じて、4技能を磨くこともできるのです。

では、難しい長文を読めるようになるにはどうすればよいのでしょうか。
難関大学や実用英語技能検定準1級・1級レベルの長文では、AI、格差、移民、気候変動など、抽象度の高い社会問題が頻繁に扱われます。こうした文章が読めない原因は、単なる英語力不足だけではないと私は考えています。

むしろ大きいのは、背景知識や読書量の不足です。
実際、一文一文は読めても、文章全体の流れがつかめない生徒は少なくありません。AIがなぜ格差を広げるのか、なぜ政府介入が必要なのか。こうしたテーマを日本語でも十分理解していなければ、英語で深く読むのは難しいでしょう。

つまり、読解力とは単語を知っているかどうかだけではありません。
筆者は何を言いたいのか。なぜそう言えるのか。どんな具体例で説明しているのか。こうした論理を追う力が必要です。そしてこの力は、英語だけに限らず、国語力や思考力とも深く結びついています。

では、指導者や学習者は何をすべきでしょうか。

学習者に必要なのは、日常的に新聞や評論、書籍に触れることです。ただ読むのではなく、筆者の主張や根拠を意識しながら読む。この習慣が、思考の土台を作ります。

同時に、学校教材を軽視しないことも重要です。教科書をベースに、単語を覚え、精読で構文を理解し、音読で英語のリズムを身につけ、要約で文章の流れを整理する。この丁寧な学習こそが、4技能を含めたあらゆる英語力の基礎になります。

教師側も、和訳や文法説明だけで終わらせない工夫が必要です。
例えば、「筆者の主張は何か」「根拠はどこか」という問いを一つ加えるだけでも、生徒の読み方は変わります。大掛かりな改革でなくても、授業は少しずつ変えられます。

高校英語の問題は、英語教育の枠の中だけでは語れません。

これから本当に必要なのは、「英語をどう教えるか」だけでなく、「英語を使って、どう考える力を育てるか」という視点ではないでしょうか。

語学学習とは、結局のところ、自分の思考を広げ、世界をより深く理解するためのプロセスです。試験形式が変わっても、言語を通して思考し、世界を理解し、他者とつながるという本質は、今も昔も変わらないのですから。

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