皆さん、こんにちは。
当ブログ第11回のペイシェントハラスメントのシリーズ連載は早くも「その4」になりました。閲覧数が急増しており、現場の皆さんの関心の高さを肌で感じています。
この回の原稿作成にあたる時点では、「その3か4」くらいで終わりかなと思っていましたが、作成を進めるうちに、B氏との会話の再現度を上げることで、読者の皆さんが対応者目線でこの拙文を読んでいただけるのではないかと考えるようになり、ボリュームは増えますが、あえてそうすることにしました。
皆さんには、ブログを読むことでこのペイハラ事例を体験した気持ちになっていただけると幸いです。
それでは、乙先生へのヒアリングから始めましょう。
【乙先生の説明】
私は、B氏の追加の要求を受け、乙先生にAさんの診療に関して再度ヒアリングを行いました。
乙先生は、B氏が当院に転院してくる前の系列病院での経過や、乙先生の説明に対して不満があるようで、当院での診療の開始についてB氏の同意が得られていないと、やや憔悴した表情で話してくれました。
医師にとって、患者さんとの信頼関係が構築できず、目の前の患者さんの治療ができないことはとても屈辱的で、Aさんの状態を考えるととても不安な気持ちだったと思います。
乙先生からは、Aさんの診療方針として、早めに再開した方が良いとの意見でした。
これは、Aさんの病状を理解していれば、おそらく医療の専門家でない私のような者でも当然と考えることだと思います。
私は、乙先生の意見は至極全うと理解しましたが、それでもB氏はAさんの診療を停滞させるという異常な行動をしています。
なので、ここはB氏が敵視している乙先生の意見だけではなく、この時点ではまだB氏が聞く耳を持っている甲先生にも確認を取っておく必要性があると感じました。
おそらく、私が乙先生の見解を伝えた際、B氏は「甲先生はどう言っているのか?」と尋ねてくると予想したのです。
ここで、私が甲先生の話は聞いていないと返答した場合、おそらくB氏は再び攻撃に転じてくることが考えられたのです。
そして、再度甲先生に状況を電話で報告し、診療方針について乙先生と同意見であることを確認しました。
当たり前のことだと思いますし、なんてまどろっこしいことをしているのかと思われる方がいらっしゃると思いますが、これを「やったこと」にして対応すると、B氏のようなタイプのクレーマーは、対応する者の言葉の間や語尾のイントネーション等で嘘を巧みに見抜いて突いてくるので、その保険としての行動なのです。
甲先生もその趣旨を理解され、□日のICで診療再開の同意を取り付け、同意書を作成しようということになりました。
【B氏との再度の電話】
私は再び交換台を通じてB氏に電話をしましたが、B氏は応答しませんでした。
「3回までは電話をする」とB氏に告げていましたが、ここで連続して3回電話をして、「結局つながらなかった」と放置しておくこともできましたが、うまくいけばこの電話でB氏と表面上でも信頼関係を構築できるかもしれないと考え、少し時間をおいてからもう一度電話をすることにしました。
再電話のタイミングをはかっていたところ、B氏から折り返しの電話がありました。
私は、B氏からの3つの要求を確認したことを説明し、以下の回答をしようとしました。
①甲先生のICは、B氏の提案通りの□日の夜(実際には時間も決めています)に実施する。
②病棟の紙おむつ等については、紙おむつが残り僅かであることから早めの発送をしてほしい。
ここでB氏から、紙おむつの残数に関して、「それは緊急ではないですよね?」と繰り返し確認がありました。
私は「Aさんの病状が生命にかかわるような状況ではないという意味では緊急ではないが、おむつの枚数が1枚しかないので、通常考えれば不足することは明らかなので早めに発送して欲しい。補充分の到着までは病棟から貸し出しができます」と説明しました。
すると、B氏は「その枚数は何枚なのか?」「前の入院のときは46枚借りていた」と追加の質問をしてきました。
私は、補充を送ってもらうことを前提として、到着までは病棟管理のものを借りることで病棟と調整することを約束し、その枚数の上限を確認した結果を再度電話で伝える約束をしました。
この時の私は、交渉の主導権はこちらにあると考えていたので、B氏の追加の質問を善意で対応しようとしていました。
しかし、以降の対応を進めていく上で、このB氏が自身の要求に対して追加の要求をする行為は、現場をかく乱して病院の業務を停滞させるための悪質な手段であることがわかったのです。
【診療再開に関して】
紙おむつのやり取りの区切りがついたので、私はB氏の3つめの要求である診療の再開について説明に入ろうとしました。
そこでB氏から「経緯は把握しているのか」との確認がありました。
私は、乙先生から診療の再開について同意が取れていない状況であること、その理由としては、先に入院していた系列病院に入院中の経過や乙先生の対応に不満があったからだと聞いていると説明しました。
するとB氏は「診療の同意はしているが、再開の承認はしていないだけだ」と主張しました。
私は「乙先生はそれを総合的に判断して『同意が取れていない』と言っているんですよ」と説明しましたが、B氏は納得しませんでした。
どうでしょう?読者の皆さんは、この乙先生の説明とB氏の主張ではどちらに違和感を感じますか?
このB氏とのやり取りは、その2のスタッフからの相談と同じ日の出来事なのです。
まだこのB氏との電話での応酬は続きます。
(その5へ続く)