皆さん、こんにちは。
いつも私の拙文に目を通してくださり、ありがとうございます。
当ブログは、この第11回からカテゴリーを「コラム」から「法律・税務・士業全般」に変更しました。
それに伴い、過去回も同様の変更を行いました。
内容がより専門的になり、単なる読み物としてではなく、現場の「実務の参考書・指南書」として役立てていただきたいと考えたからです。
カテゴリーは変わっても、私の経験に基づいた「現場の盾」としての姿勢に変わりはありません。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。
さて、今回はモンスター家族B氏への対応記録、第2回。
実際にB氏と対峙する前の「事前準備」についてお話しします。
【事前情報収集】
私は電話を取る前に、必ずカルテを読み込みますが、文字情報だけでは「相手の温度感」までは分かりません。
そこで、実際にB氏と接触したスタッフたちに聞き取りを行いました。
その結果、B氏の攻撃には一定の「無限ループ」があることが判明したのです。
①初期: 物腰が柔らかく、共感を得ている間は穏やか。
②トリガー: 自分の要求や承認に沿わない説明が出た瞬間、豹変。
③攻撃: 執拗な「揚げ足取り」と「謎かけのような質問」の開始。
④孤立化: 「他のスタッフと言っていることが違う」と執拗な説明を強要。
⑤停滞: 「納得できないから診療はさせない」と治療を人質に取る。
特筆すべきは、「何が攻撃のトリガーになるか予測不能」という点です。
例えば転院時期の相談で、B氏から「いつ頃になるのか」という質問があり、スタッフが「そうですね、ご家族さんへの説明ができて、先生の意見書が完成してから転院の手続きを進めていこうと考えています」と答えました。
おそらく、この返答で多くの人は「そういうものか」と理解していただけると思います。
しかしB氏は「質問に対する答えになっていない」と言い始め、「俺がなんと説明したのか、今なんと答えたのかもう一度言ってみろ」と高圧的な態度に変貌しました。
そして、長時間にわたり執拗に同じ質問を繰り返し、スタッフが「私の一存では決められない」と説明しても、「だったらどうしたらいいのか考えろ」「そのやり方が本当にいいのか?それで俺が納得するのか?」などと詰問しました。
最終的には、担当医に報告してすぐに説明してもらうと約束させられましたが、「○時に電話してこい。それ以外の時間は俺は忙しいから電話に出られない」「電話がなかったらどうする?」「電話をかけてくるときは、お前じゃ話にならん。責任者に電話をかけさせろ」と繰り返し繰り返し問い詰めたそうです。
診療はチームで進めます。
こんな大切なことをひとりのスタッフが独断で決められるわけがありません。
現場のスタッフにとって、これほど精神を削られる対応はありません。
スタッフはB氏と会話をすることが怖くなったと言い、Aさんの担当から外れることを希望しました。
【対応方針:あえて「はしごを外す」勇気】
私は、こうした長時間拘束型・リピート型のハラスメントに対しては、以下のような基準を設けています。
「合理的かつ丁寧な説明を、最低3回繰り返す」
「合理的」とは、第三者が聞いても納得できるレベルの説明です。
これで理解が得られない場合、私は迷わず「はしごを外す」段階へ移行します。
つまり、「これ以上の説明は不可能です。対応を終了します」という打ち切り通告です。
【予想される3つの反応と基本的な対応】
打ち切りを告げた際、相手の反応はだいたい以下の3パターンに集約されます。
① 激昂する:
「失礼します。電話を切ります」と最低3回告げてから終話。
② 外部機関を盾にする:
「保健所に言うぞ!」という脅しには、「結構です。私から経緯を丁寧に説明します」と毅然と回答。
③ 態度を軟化させる:
再度話を聴きますが、時間は「あと3分」と切り、説得ではなく「説諭(注意・諭し)」に切り替えます。
【私が「全ての攻撃」を引き受ける】
事前情報の分析から、B氏への対応は窓口を一本化することにして、私が担当することにしました。
B氏の攻撃対象を私に集中させることで、現場のスタッフを守り、病院の業務停滞を阻止する。
これが解決への最適解と判断したからです。
そして、B氏が私との電話で納得するはずがないことは明白でした
むしろ一時的には炎上するでしょう。
しかし、それでいいのです。
私はB氏の攻撃をまともに受けるのではなく、「受けるように見せつつ、いかに受け流すか」。
「盾」としての真価が問われるファーストコンタクトが始まります。
(その3へ続く)