BROMPTONは小径車にしてペットのような存在

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ファッション販売の会社員を経て、水商売酒屋の代表になり半年ほど経ったときの話。

配達の合間に銭湯へ行ったり、スタバでは三島由紀夫を読み耽り、友達の家ではランチをよばれるなど、遊びと仕事の境は自分で決められることに満足していた。

そこで!

「配達車を使った遊びがしたい!」

という思いがふつふつと高まり、10年ほど購入を検討していたイギリスの折り畳み自転車「BROMPTON/ブロンプトン」を購入した。
※以下、ブロ。

日本橋のショップを覗いてみると、カラフルなブロ達が棚に折り畳まれた状態でお行儀よく収まっている。自分はモノトーンが好きだ。
洋服もだいたい黒か白。
配達で乗る軽ワゴン(Amazonドライバーや郵便局員が乗るようなイメージ)の色はシルバーだったが、とにかく汚れが目立たない。
カラー選びはその流用だ。
店頭にはなかったものの、タイミングよく3日後に「メタリックグラファイト」という金属質のグレーにラメが散りばめられている、めちゃくちゃかっこいい新色をイギリスにオーダーすると運良く店員さんから聞いたので前金の1割を現金で収めた。オーダー数は各店舗2台だけという制限付きだったようで、この日の巡り合わせに感謝した。

オーダーから2ヶ月半が経ち、イギリスより海を渡ってきたブロとの生活が始まった。

毎朝5時頃、ブロで自宅から10分ほどの職場まで通勤した。夜の飲食店が水商売酒屋のお客さま。そのため、店の注文締切時間は朝5時だ。
酒屋に着くと、FAXで届く注文書に目をやり事務作業が始まる。

満員電車に揉まれず愛車で通勤できる幸せ。
風を感じる心地よさ。
ブロに乗っているだけで、ドーパミンがドクドク溢れてくる。

配達車に積み込んだり、輪行を楽しみ(自転車を折りたたんで、公共交通機関を利用して移動すること)、駒沢公園や六本木をプロと一緒に走り抜けた。

いつもの街並みがブロと一緒だと違って見える。

アクションカメラの「Go Pro」を取り付けると、楽しさは倍増!汗だくになってペダルを漕ぎ、ブロと風呂さえあればいつだってご機嫌だった。

ブロと過ごす日々は本当に楽しかった。
だけど、この状態は長くは続かなかった。
自分でもまったく想像をしていなかったのだが、数年後、プロを手放した。

日本のサイトではオーダーしたカラーが表示されないため、本国のサイトを食い入るように眺めては納車を待ち焦がれ、やっとの思いで手に入れたにもかかわらずだ。

別れは、水商売酒屋の閉店と共に訪れた。

手放した理由は一点。

盗難の恐れ

自分が愛車に跨っている間は、襲われたりしなければ取られることはない。
しかし、トイレ、コンビニでの買い物、そういったときに自転車の持ち味であるパッと駐めておくことができないのだ。

正確には外に駐めて、自分の手から離れたら最後、精神が持たない。

ここは誤算だった。
全ては配達車ありきでブロを楽しむイメージしか持ち合わせていなかったのだ。

メリットゆえにデメリットでもあるが、ブロは小径車という特徴に加えて、その折りたたんだ姿も魅力的。
折りたたんだ姿で人を惹きつけたら、それは良からぬことを考えている人に、良からぬきっかけを与えてしまうというもの。

実はブロを購入する前、街の自転車屋で購入したママチャリが半年ほどで盗まれた。
盗まれた場所は、なんと水商売酒屋の職場!
ガラスの引き戸を隔てた1m先で盗難に合うとは思いもよらなかった。それも、早朝5時にだ。鍵をせずに、ガラス越しに外を見られる店の前に停めてシャッターを開け、いつも通りに事務所で作業をしていた。数分後、自転車はなかった。跡形もない。警察の見立てによると、酔っぱらいが帰宅する際にママチャリを足代わりにしたというもの。
半年後、台風が過ぎ去った駐車場に乗り捨ててあると警察署から連絡があった。夜遅く警察署に出向き、処分をお願いした。

そんな背景もあり、ブロが盗まれる前に自分でブロに施錠をしたのだ。
失う怖さから、自分から別れを切り出した。

ブロの最後は信頼できる自転車専門店に買取をお願いした。大きい段ボールが自宅に届き、ブロを傷つけないようにゆっくりと入れて、蓋を閉めた。配送伝票を貼り付けて、次のオーナーに思いを馳せる。

後悔はまったくしていない。
全力で駆け抜けてきたから。
そこに嘘はない。

ブロいままでありがとう。
文にして改めて見ると、君はまるでペットの犬みたいだね。
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