紙の本の値段は、印刷代から逆算する

紙の本の値段は、印刷代から逆算する

記事
IT・テクノロジー
福井でホームページを作りながら、Kindleで自分の本を50冊ほど出しています。いまは、お預かりしたKindle本を紙の本(ペーパーバック)にする仕事もしています。

紙の本の話をすると、よく聞かれることがあります。
「いくらで売ればいいんですか」

電子書籍なら、250円でも500円でも自由に決められます。紙の本はそうはいきません。1冊売れるたびに印刷代がかかり、それが売上から引かれるからです。値段を決める前に、まず印刷代を知る必要があります。

前回は「Kindleの表紙1枚では、紙の本の表紙になりません」を書きました。今回は値段の話です。

■ 先に結論


紙の本の値段は、次の4つの数字で決まります。

・422円(110ページまでの印刷代)
・1ページ2円(それより多いときの、1ページの単価)
・60%(1,000円以上で売るときのロイヤリティ率)
・1,000円(ロイヤリティ率が50%から60%に変わる境目)

どれも、Amazon.co.jpで売る、白黒・標準の判型(A5判や四六判)の場合です。2026年10月に、KDPのヘルプ「ペーパーバックの印刷コスト」「ペーパーバックのロイヤリティ」で確かめました。改定されることがあるので、登録のときは画面の表示もご確認ください。

■ 1 印刷代は「固定+ページ数」で決まる


KDPの印刷代は、こう計算します。

固定の額 + ページ数 × 1ページの単価

白黒の場合、110ページまでは1冊422円の定額です。それより多くなると、206円+1ページ2円になります。

・100ページ … 422円
・140ページ … 486円
・200ページ … 606円
・300ページ … 806円

印刷代は前払いではありません。本が1冊売れるたびに、受け取る額から引かれます。在庫を抱えなくてよいかわりに、1冊ごとに毎回引かれる、ということです。

■ 2 手元に残るのは「値段×率-印刷代」


1冊売れたときに受け取る額(ロイヤリティ)は、こうです。

値段 × ロイヤリティ率 - 印刷代

率は、Amazon.co.jpでは値段によって2段に分かれています。

・999円以下 … 50%
・1,000円以上 … 60%

たとえば、140ページの白黒の本を1,200円で売ると、

1,200円 × 0.6 - 486円 = 234円

これが1冊あたりの手元です。1,200円のうち、手元に残るのは2割ほどです。

■ 3 999円と1,000円で、手元が約100円変わる


ここが、いちばん見落とされやすいところです。

同じ140ページの本で比べます。

・999円 … 999 × 0.5 - 486 = 約14円
・1,000円 … 1,000 × 0.6 - 486 = 114円

値段の差は1円です。手元の差は約100円あります。

「キリのいい999円に」と考えたくなりますが、紙の本では、999円は手元がほとんど残らない値段です。1,000円を下回る値段にするなら、そのことを承知のうえで決めてください。

■ 4 値段には下限がある


KDPでは、印刷代を割り込む値段は付けられません。下限はこう計算されます。

印刷代 ÷ ロイヤリティ率

・140ページ … 972円(50%で計算)
・200ページ … 1,010円(60%で計算)
・300ページ … 1,344円(60%で計算)

200ページの本は、1,000円ちょうどでは登録できません。300ページなら、1,300円台が下限です。

「この値段で売りたい」が先にあるなら、ページ数のほうを考え直すことになります。行間や文字の大きさで、ページ数はかなり変わります。

■ 5 カラーにすると、印刷代は1.5倍ほどになる


写真の多い本は、カラーにしたくなります。140ページで比べると、こうです。

・白黒 … 486円
・標準カラー … 696円
・プレミアムカラー … 766円

下限の値段も、白黒の972円に対して、標準カラーで1,160円、プレミアムカラーで1,277円になります。標準カラーは72ページ以上でないと選べません。

もう一つ、カラーは本全体がカラーの単価になります。カラーの写真が数枚だけでも、残りの白黒のページまでカラーの値段です。写真が数枚なら、白黒で見せられないかを先に考える価値があります。

■ 6 判型が大きいと、1ページの単価が変わる


A5判や四六判は「標準判」です。幅155.5mm・高さ228.6mmを超える判型(B5判など)は「大判」になり、印刷代が変わります。

・140ページ(白黒) … 標準判486円/大判626円

大きい判型にすると、1ページに入る文字が増えて、ページ数は減ります。ただ、1ページの単価は2円から3円になります。判型は、ページ数と一緒に考えます。

■ 値段の決め方(4つの手順)


1 判型とインクを決める(白黒か、カラーか)
2 ページ数から印刷代を出す
3 1冊あたり、手元に残したい額を決める
4 (残したい額+印刷代)÷ 0.6 で値段を出す。1,000円を下回ったら、1,000円にする

140ページの白黒で、1冊200円残したいなら、

(200+486)÷ 0.6 = 1,143.3…

1,144円以上にすれば、200円残ります。あとは、1,180円や1,200円など、並べたときに収まりのよい値段に寄せます。

■ まとめ


・印刷代は、110ページまで422円、それより多いと206円+1ページ2円(白黒・標準判)
・手元に残るのは「値段×率-印刷代」
・999円と1,000円で、手元が約100円変わる
・ページ数が増えると、値段の下限が上がる
・カラーと大判は、1ページの単価が上がる

紙の本の値段は、気持ちで決める前に、印刷代で下限が決まっています。ページ数が決まった時点で、一度この計算をしてみてください。

----------

Kindle本を紙の本にするお手伝いをしています。組み上がったページ数をお伝えするので、上の計算にそのまま使えます。

・Kindle本を紙の本(ペーパーバック)にします

・Kindle出版用に原稿を電子書籍EPUB化します

紙の本の表紙で手が止まるところは、前回まとめました。
・Kindleの表紙1枚では、紙の本の表紙になりません

ご質問だけでもお気軽にどうぞ。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す