福井でホームページを作りながら、Kindleで自分の本を50冊ほど出しています。いまは、お預かりしたKindle本を紙の本(ペーパーバック)にする仕事もしています。
紙にするとき、いちばん手が止まるのは本文ではありません。表紙です。
「表紙はもうあります」とおっしゃる方がほとんどです。たしかに、Kindleの表紙はあります。でも、それは紙の本の表紙の、半分にも届きません。
前に「Kindle本をそのまま紙にすると起きる8つの不具合」を書きました。そこでは表紙に少ししか触れられなかったので、今回は表紙だけを書きます。
■ 先に結論
Kindleの表紙は、おもて1枚の絵です。
紙の本の表紙は、裏表紙・背・おもてがつながった1枚のPDFです。
しかも、その大きさは本文のページ数が決まるまで決まりません。だから表紙は、いちばん最後に作ります。
落とし穴は、大きく分けて3つです。
・裏表紙と背(1・2・7)
・解像度と比率(3・4)
・ふちの3.2mm(5・6)
■ 1 足りないのは、裏表紙と背
紙の本の表紙の幅は、こう決まります。
裁ち落とし3.2mm + 裏表紙 + 背 + おもて + 裁ち落とし3.2mm
高さも、上下に3.2mmずつ足します。
縦書きの本は、並びが横書きと逆です。背の左がおもて、右が裏表紙になります。右から開く本だからです。バーコードはKDPが裏表紙に自動で入れます。縦書きの本なら裏表紙の左下です。そこには何も置かないでおきます。
そして裏表紙には、何を載せるかを決めなければなりません。あらすじ、著者の紹介、ひとこと。電子書籍では要らなかった文章です。ここが決まらないと、表紙は作れません。
■ 2 背の幅は、本文のページ数で決まる
背の幅は「ページ数 × 紙1枚の厚み」です。KDPのヘルプにある厚みは次のとおりです。
・白い紙 0.0572mm
・クリーム色の紙 0.0635mm
・標準カラー 0.0572mm
・プレミアムカラー 0.0596mm
白い紙で140ページなら、背は8.0mmです。
ここで困るのは、本文が1ページ動くと背も動くことです。縦書きの本で英字を全角に直したら、132ページが136ページになったことがあります。背は0.23mm太りました。目で見ても分からない差ですが、表紙のPDFは作り直しです。
薄い本は、背に文字を入れられません。KDPのヘルプでは、おおむね80ページが境目です(書き方が79ページと80ページの2通りあるので、境目の方はKDPの計算ツールで確かめてください)。
入れられる厚さでも、背の端から1.6mmずつ空ける決まりがあります。白い紙の100ページなら背は5.72mm。両側を空けると、字を置ける幅は2.5mmほどしか残りません。題名を入れても、7ポイントほどの小さな字になります。
■ 3 Kindleの表紙は、紙には小さい
紙の本は、画像を300dpi以上で刷ります。おもてだけで、A5判なら横に1,748px、四六判なら1,500pxが要ります。Kindleでよく使う1,600×2,560pxは、A5判には足りません。
お預かりした表紙が1,333×2,000pxだったことがあります。A5判にすると229dpi、四六判でも267dpiでした。どの判型でも300dpiに届きません。
直すときは、引き伸ばすのではなく、作ったソフトから大きく書き出し直していただきます。小さな画像を後から大きくしても、細かさは戻りません。Canvaで作った表紙なら「PDF(印刷)」で書き出していただくと、文字が文字のまま入ってくるので、大きくしてもにじみません。
■ 4 縦と横の比率が違う
Kindleの表紙は、縦が横の1.6倍です。四六判は1.48倍、A5判は1.42倍。そのままでは入りません。
切るか、足すかです。
切ると、上か下が削れます。題名や帯の文字が切り口にかかっていないかは、人が見ないと分かりません。どれだけ切ったかは、お客様にお伝えしています。
■ 5 文字は、仕上がりから3.2mm内側へ
断裁はわずかにずれます。KDPの決まりでは、文字は仕上がり線から3.2mm以上内側に置きます。
ある表紙で、帯のいちばん下の行が、仕上がり線から0.12mmのところにありました。KDPの画面では、そのまま進めます。見ているだけでは気づけません。
このときは、デザインを切り落とさずに、全体を少し縮めて四辺に余白を作りました。お客様のデザインに手を入れることになるので、先にお伝えして、元に戻せるようにしてあります。
■ 6 塗り足しに、写真の続きは入っていない
端まで絵がある表紙は、仕上がりの外にも3.2mm、絵が続いている必要があります(塗り足し)。断裁がずれたとき、白い線が出ないようにするためです。
Canvaで「トリムマークと塗り足し」付きのPDFを書き出していただいたことがあります。測ってみると、左・上・下の塗り足しが真っ白でした。
編集画面では、写真は紙の枠より外へはみ出して置かれていました。それでも、切り抜いた写真の隠れた部分は、塗り足しには出てきません。図形の帯は外まで伸びるのに、写真は伸びません。
続きが無い辺は、こちらで作ります。作り方は3つあって、どれも弱点があります。
・ふちの1列を外へ伸ばす。単色ならきれいですが、写真の辺だと筋になります
・内側を鏡に映す。切り口で絵はつながりますが、人の顔が反転して残ります
・鏡に映してから、外へ行くほどぼかす。色は続いて、形は残りません
その表紙は、四辺ともぼかしで仕上げました。Canvaの側で直すなら、写真の切り抜きの枠を塗り足しの外まで広げていただきます。
■ 7 裏表紙を、おもてから作るとき
裏表紙の絵が無いときは、おもての色から作ります。
前の記事で書いたとおり、おもての右端を横に引き伸ばすと、写真を並べた表紙では虹色の縞になります。そのときは、ふちの平均の色で塗ります。
■ 表紙を作る順番
いまは、この順で作っています。
1 判型と紙(白・クリーム・カラー)を決める
2 本文を組んで、ページ数を確定させる
3 背の幅を計算する
4 裏表紙の文章を決める
5 表紙を組む
6 仕上がり線を赤、文字を置いてよい範囲を緑で引いた見本を作って、目で見る
本文が1ページでも動いたら、3に戻ります。
最後の6は、機械に任せられません。端まで届いているのが写真なのか文字なのか、機械には見分けがつかないからです。写真は端まであってかまいません。文字は困ります。だから線を引いて、人が見ます。
■ まとめ
Kindleの表紙を紙の本の表紙にするとき、足りないものはこうです。
・裏表紙と背
・背の幅(ページ数で決まる)
・解像度(A5判なら横1,748px)
・比率(1.6倍の絵を、1.42〜1.48倍の枠へ)
・文字のまわりの3.2mm
・塗り足しの絵
本文は「作り直せば済む」ことが多いのですが、表紙は本文に引っぱられて何度も作り直しになります。表紙は最後。これだけ覚えておいていただければ、手戻りはかなり減ります。
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Kindle本を紙の本にするお手伝いをしています。表紙の展開(裏表紙・背)と、上に書いたところの確認も含みます。
・Kindle本を紙の本(ペーパーバック)にします
・Kindle出版用に原稿を電子書籍EPUB化します
本文で起きる不具合はこちらにまとめました。
・Kindle本をそのまま紙にすると起きる8つの不具合
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