福井でホームページを作っています。外国のお客様から予約を受けるための、4言語のページを作りました。英語・繁体字・簡体字・韓国語です。
作りながら、いちばん手が止まったのは、翻訳でも、デザインでもありませんでした。
「ベジタリアンのお客様に、かつおだしを出していいか」
これは、私には決められないことでした。
■ 英語のフォームを置けば済む、と思っていました
最初に考えていたのは、こうでした。予約フォームを英語にする。中国語と韓国語も足す。届いた予約を日本語にして、お店に送る。
やってみると、いちばん危ないところが残りました。食事の制限と、アレルギーです。
ここだけは、機械翻訳を通せません。
■ 「Vegetarian」の一語では、何も決まらない
お客様が「Vegetarian」と選んだとします。お店には何と伝わればいいでしょうか。
「ベジタリアンです」と伝えても、厨房は動けません。だしはどうするのか。それが決まらないからです。
日本料理のだしは、たいていかつおです。欧米でいう vegetarian は、魚を含まないことが多い。けれども「魚のだしなら構わない」という方もいます。本人に聞かなければ分かりません。
だから、選択肢を2つに割りました。
・Vegetarian — fish stock (dashi) is fine
・Vegetarian — no fish stock (dashi)
一語を二語にしただけです。でも、これで厨房が動けるようになります。
■ ハラールも、同じところで割れます
ハラールも「豚を出さなければいい」ではありません。
料理酒とみりんが入ります。煮物にも、照り焼きのたれにも入っています。アルコールを避ける方にとっては、ここが問題になります。
ここも2つに割りました。
・Halal — cooking sake and mirin are fine
・Halal — no alcohol, no mirin
どちらを選ぶかは、お客様が決めることです。こちらが代わりに決めてはいけません。
■ 機械翻訳を通さない、ということ
ここで大事なのは、訳し方ではありませんでした。訳さない、ということでした。
私が作ったページは、こうなっています。
お客様は、英語(または中国語・韓国語)で、用意された選択肢から選びます。自由に文章を書いてもらうのではありません。そして、選ばれたものは、あらかじめ決めてある日本語に置き換えて、お店に届きます。
つまり、翻訳をしていません。対応づけをしているだけです。
「Vegetarian — no fish stock (dashi)」を選んだら、お店には「ベジタリアン(かつおだし不可)」と届く。この日本語は、ページを作るときに決めて、固定してあります。
なぜそこまでするのか。機械翻訳は、毎回同じ日本語を返すとは限らないからです。同じ英語でも、前後の文で変わります。「だし不可」が「出汁は可」になったら、何が起きるか。
食事の制限とアレルギーは、お客様の身体に関わります。ここで言葉が揺れるのは、避けたいところでした。
■ アレルギーの品目は、お店のメニューで決まる
アレルギーの欄も、同じ考え方で作りました。
ただし、並べる品目は、お店ごとに変わります。そばを出さないお店に「そば」の欄は要りません。逆に、そば屋さんなら真っ先に要ります。
日本で表示が求められている品目は、国が決めていて、見直されることがあります。ですから、作るたびに最新のものを確かめることにしました。ページを作った時点の記憶で並べない、ということです。
それでも漏れます。だから、最後に自由に書ける欄を1つ置いて、「ここに無いものは書いてください」と添えました。選択肢だけで全部を拾えると思わないほうが、取りこぼしが減ります。
■ 私には決められないこと
作っていて、はっきりしたことがあります。
かつおだしを出すかどうか。料理酒を使うかどうか。これは、お店の商売の判断です。制作者が決めることではありません。
「だしを変えてください」と言うのは簡単です。でも、それはそのお店の料理を変えろ、と言っているのと同じです。
私にできるのは、「ここを決めていただかないと、ページが作れません」とお伝えすることまででした。
ですから、お引き受けするときは、いちばん先に聞くことにしました。あとから聞くと、作ったものを作り直すことになります。
■ もうひとつ。お店には日本語で届く
外国語の予約を受けると聞くと、「英語で問い合わせが来たらどうしよう」と思われるかもしれません。
そこは、届く側を日本語にしてあります。お客様が英語で選んでも、お店に届くのは日本語です。名前と、人数と、日にちと、選ばれた制限が、決まった日本語で並びます。
お店の方が英語を読む場面は、作りませんでした。読めない言葉が届くページは、結局使われなくなるからです。
■ まとめ
・食事の制限とアレルギーは、機械翻訳を通さない
・「Vegetarian」「Halal」の一語では、厨房が動けない。割って選んでもらう
・選ばれたものは、決めてある日本語に置き換えて届ける
・アレルギーの品目は、お店のメニューと、そのときの決まりに合わせる
・だしと料理酒は、お店にしか決められない。最初に聞く
・お店に届くのは日本語にする
外国のお客様を受けるページを考えている方は、翻訳の精度より先に、訳してはいけない場所がどこかを決めてみてください。そこが決まると、あとは楽になります。
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4言語の予約ページをお作りしています。上に書いたところは、こちらで全部組んでからお渡しします。
・インバウンド対応の多言語予約ページを作ります
・作ったページを、置くところまで代行します
検索に出ない原因の話は、こちらにも書きました。
・サーチコンソールに登録したのに1ページも出ない