福井で、Kindle の電子書籍と紙の本(ペーパーバック)のデータを作っています。
Word で書いた原稿を、縦書きの Kindle 本にしたい。そう思ったとき、Word の画面を縦書きに切り替えれば、そのまま本になると考えるかもしれません。
けれど、Word の画面できれいに見えている原稿が、電子書籍でもきれいに見えるとは限りません。電子書籍には、決まったページがないからです。読む人が字を大きくすると、1行に入る字の数も、1画面に入る行の数も変わります。
Word で見た目をそろえるために入れた改行や空白は、この変化についていけません。
この回は、Word の原稿を縦書きの Kindle 本にする前に、直しておく3つを書きます。
■ 先に結論
直しておくのは、この3つです。
・行の途中に入れた Enter を消す
・章の題に「見出し1」を付ける
・数字と英字の書き方を決めて、そろえる
Word の画面を縦書きに切り替える必要はありません。原稿は横書きのままでかまいません。縦書きにするのは、本のデータを作るときです。
■ 先に知っておきたいこと
KDP には Kindle Create という道具があります。ただし KDP のヘルプには、日本語のリフロー型の本には対応していない、と書かれています。リフロー型は、字の大きさを変えられる、ふつうの文字の本のことです。
そのため、日本語の文字の本は、Word のファイルや EPUB を用意して上げることになります。Word のファイルは、多くは問題なく変換されますが、複雑な書式は正しく変換されないことがある、ともヘルプに書かれています。
私は、Word の原稿から縦書きの EPUB を組んでいます。どの道を通るにしても、元の原稿が整っているほど、あとの手間が少なくなります。
■ 1 行の途中に入れた Enter を消す
まず見てほしいのが、これです。
紙の見た目に合わせて、1行の終わりごとに Enter を押している原稿があります。Word の画面では、きれいにそろって見えます。
電子書籍では、この Enter の所で行が変わります。字を大きくすると、1行に入らなかった字が次の行へ送られ、すぐあとに Enter の改行が来ます。すると、長い行と短い行が交互に並びます。縦書きなら、長い列と短い列が交互に並びます。
KDP のヘルプにも、強制改行は消すようにと書かれています。Enter を押すのは、段落の終わりだけにします。
見つけ方は簡単です。Word の「編集記号の表示」のボタンを押すと、Enter の印が見えるようになります。文の途中に印があれば、そこが直す所です。
同じ理由で、Enter や空白を並べて位置を合わせた所も崩れます。章の前で Enter を何回も押して次のページへ送っている所は、Word の「ページ区切り」に替えます。タブで字下げした所も、KDP のヘルプでは Kindle の形式に変換されないとされています。
■ 2 章の題に「見出し1」を付ける
章の題の字を大きくして太字にしただけでは、機械には、ほかの文と同じに見えます。
Word の「見出し1」のスタイルを付けると、そこが章の題だと伝わります。KDP のヘルプでも、章の題に「見出し1」を付けるように案内されています。
これが、Kindle の目次の元になります。Kindle の目次には2つあります。本の先頭に置く目次のページと、読んでいる途中でメニューから開く目次です。
Word で目次を作るときは、ページ番号を入れません。字の大きさでページが変わるので、番号が意味を持たないからです。原稿の下に入れたページ番号やヘッダーも、電子書籍では使いません。
■ 3 数字と英字の書き方を決めて、そろえる
ここは、縦書きならではのところです。
横書きで書いていると、数字や英字は半角で打つことが多いと思います。縦書きにすると、半角の数字や英字は横に寝ます。寝る字のことは別の記事に書いたので、いちばん下に案内を置きます。
書き方の正解は1つではありません。「2026年」は「二〇二六年」とも書けますし、「3人」は「三人」とも書けます。小説は漢数字、数字の多い実用書は算用数字のまま、という本もあります。
どちらにするかは、書いた人にしか決められません。本の中身と、読む人によって変わるからです。
大切なのは、本の中でそろえることです。同じ本の中に「3人」と「三人」が混ざっていると、読む人が引っかかります。
2桁までの数字は、1マスの中に横に並べて立てることができます。「12月」のような所です。3桁以上の数字や長い英語は、そのままでは読みにくくなるので、書き方を考えます。
■ このほかに見ておく所
3つのほかに、ヘルプを読むと、次の所も見ておくとよいことが分かります。
・図や囲みを、テキストボックスや図形で作っていないか(図は画像として入れるように案内されています)
・変更履歴が残っていないか(無効にするように案内されています)
・表紙の画像を、原稿の中に入れていないか(表紙は本の登録のときに別に入れます)
■ 自分で確かめる手順
1 Word の編集記号を表示して、文の途中の Enter を探す
2 Enter や空白を並べて位置を合わせた所を、ページ区切りに替える
3 章の題に「見出し1」を付ける
4 数字と英字の書き方を決めて、本の中でそろえる
5 テキストボックス・図形・変更履歴を見る
6 プレビューで、字を大きくしたときの見え方を見る
本全部の Enter を1つずつ見るのは大変です。最初の1章を見れば、どんな癖の原稿かは見当がつきます。私は、数えられるものは先に機械で数えてから、目で見ています。
■ まとめ
・電子書籍は、読む人が字の大きさを変えるので、決まったページがない
・Enter を押すのは、段落の終わりだけ
・次のページへ送る所は、ページ区切りに替える
・章の題に「見出し1」を付けると、目次の元になる
・数字と英字は、書き方を決めて本の中でそろえる
・Word の画面は、横書きのままでかまわない
Word の画面でそろって見えることと、電子書籍でそろって見えることは別のことです。本にする前に、この3つだけ見ておくと、あとの手間が少なくなります。
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Word やテキストの原稿から、縦書きの EPUB を作っています。ここに書いた3つが直しきれていなくても、そのままお送りください。原稿を拝見して、お尋ねすることを1回にまとめてお伝えします。
・原稿を縦書きのKindle電子書籍EPUBにします
紙の本も作りたい方は、こちらです。
・Kindle本を縦書きのペーパーバックにします
縦書きで字が横に寝る話は、こちらに書きました。
・縦書きの本で、目次のページ番号だけが寝ていた
ご質問だけでもお気軽にどうぞ。