セラー業務支援室です。
私は医薬品メーカーで30年、営業事務として働いています。
これまで6回にわたり、
• 社会通念の変遷
• 飲み会文化の変遷
• セクハラ
• パワハラ
• カスハラ
• 「ハラスメント」という防御の仕組みの設立
について書いてきました。
(下記にまとめてリンクを貼っています↓↓)
私がこの6回の記事を通じてお伝えしたかったのは、
「その言動は、本当に就業環境を害するものですか?」
という視点です。
■職場には「不快」が散らばっている
あらゆる職場には、さまざまな価値観を持った人が集まっています。
• 話し方がきつい人
• 冗談が通じない人
• 距離感が近い人
• 細かいことを気にする人
• 反対にまったく気にしない人。
同じ言葉や態度でも、不快に感じる人もいれば、何とも思わない人もいます。
つまり、人が集まって仕事をする以上、
「不快」と感じる出来事を完全になくすことはできないのではないでしょうか。
■ ハラスメントとは
ハラスメントとは、
相手に不快感や精神的苦痛を与える行為を指します。立場や力関係を利用して相手を傷つけたり、人格や尊厳を傷つけたりする行為も含まれます。
そして職場におけるハラスメントについて、厚生労働省は
「労働者の就業環境が害されること」を重要な判断基準として示しています。
ここでいう「就業環境が害される」とは、
相手の言動によって身体的または精神的な苦痛を受け、
その結果として業務遂行に看過できない支障が生じている状態を指します。
また、その判断は本人の主観だけで行われるものではありません。
「平均的な労働者であれば、同様に業務への支障を感じるかどうか」
という客観的な視点も考慮されます。
一方で、企業側には従業員を守る責任があります。
そのため管理職研修などでは、ハラスメントの訴えを軽視せず、
真摯に受け止めることの重要性が繰り返し指導されています。
■ 不快な思いをしたら、すべてハラスメントなのか
では、職場で不快感や精神的苦痛を感じたとき、
それはすべてハラスメントとして上司に訴えるべきなのでしょうか。
その言動をした相手は、本当にあなたを傷つけようとしていたのでしょうか。
あるいは、あなたの仕事の妨げをしようとしたのでしょうか。
例えば、
• 仕事を早く覚えてほしいという思いからの指導
• 円滑なコミュニケーションを取りたいという働きかけ
• 不良品への苦情やトラブル対応による苛立ち
• 患者や顧客が抱える不安や苦痛から生じた感情的な言動
このように、相手の言動の背景にはさまざまな事情があります。
もちろん、だからといって相手を傷つけてよい理由にはなりません。
しかし、人によって表現方法や感情の表し方は大きく異なります。
大切なのは、自分が不快に感じたという事実だけで判断するのではなく、
「相手にはどのような意図や背景があったのか」
まで一歩踏み込んで考えてみることです。
そのうえで対話を重ね、
お互いの言葉の奥にある気持ちを理解しようとする姿勢こそが、
良好な人間関係を築く第一歩ではないでしょうか。
■ コミュニケーション力は社会人のスキル
人と関わる以上、不快に感じる場面を完全になくすことはできません。
そのたびに相手を責めることは簡単です。
しかし、その前に
「なぜ相手はそのような言動をしたのだろう」と
一度立ち止まって考えてみることも大切ではないでしょうか。
そして、
自分が不快に感じたことを相手に穏やかに伝えるコミュニケーション力も、
社会人に求められるスキルのひとつです。
例えば、
• 冗談として受け流し、自分の境界線も楽しく伝える
• 「令和の時代ではその言い方は厳しいですよ」と笑顔で返してみる
• 相手が感情的になっている理由を落ち着いて聞いてみる
• 「私は少し気になりました」とやんわり伝えてみる
このような対応によって、
多くの行き違いや誤解は解消できることがあります。
もちろん、すべてのケースが解決するわけではありません。
本当に就業環境を害するような言動であれば、
会社や上司に相談することも必要です。
しかし、不快な思いをしたときに、
すぐに「ハラスメントだ」と結論づけるのではなく、
まずは自らの対話によって解決できないか考えてみる。
そうした小さなコミュニケーションによって、
ハラスメントという問題にまで発展せずに済むケースもあるのではないでしょうか。
■ハラスメントになる前にできること
私は、ここで「我慢しましょう」と言いたいわけではありません。
むしろ、我慢して不満を溜め込むことも、
良いコミュニケーションとは言えないと思っています。
大切なのは、ハラスメントになってから対処するのではなく、
ハラスメントになる前に、コミュニケーションによって相手との距離を調整することです。
これからの時代は、
相手を理解しようとする力と、自分の考えを適切に伝える力。
その両方が求められているのではないでしょうか。
不快な出来事をすべて「ハラスメント」という言葉で処理するのではなく、
まず自分の言葉で相手との距離を調整してみる。
その積み重ねが、働きやすい職場づくりにつながるのではないでしょうか。
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「コミュニケーションの距離感」シリーズ
• 社会通念の変遷
• 飲み会文化の変遷
• セクハラ
• パワハラ
• カスハラ
• 「ハラスメント」という防御の仕組みの設立