現役営業事務が語る“「社会通念」の変遷”

現役営業事務が語る“「社会通念」の変遷”

記事
コラム
セラー業務支援室です。
私は医薬品メーカーで30年、営業事務として働いています。

ここ5年で「コンプライアンス」という言葉は一気に浸透しました。
特に、あるドラマが放映された頃から、社会全体の意識が急速に高まったように感じています。

コンプライアンスとは法令順守、つまり「ルールを守ること」です。 
このルールを社規・社則に当てはめると、そこには「社会規範」が盛り込まれています。 
社会規範とは、社会通念・倫理・道徳といった価値観のこと。 
つまり企業で働く私たちは、法令だけでなく、社会規範に沿った行動を求められます

■平成初期の社会通念

平成初期に会社員となった私は、まだ昭和の慣習が色濃く残る職場で働いていました。 
上司も取引先の偉い方も「24時間戦えますか」世代。 
当時の社会通念は「売上を上げることが絶対使命」であり、
売上のためなら、お得意先の望むことは何でも聞き入れるのが常識でした。

さらに、時代はバブル期〜バブル崩壊直後で、
売上を上げるためなら会社も経費を惜しまず使える環境でした。
経費の使い方は、主に接待・広告。
それほどまでに「売上高重視」の時代だったのです。

■ デフレ期の社会通念

平成中期、いわゆるデフレ時代に入ると、企業は売上よりも利益を重視するようになります。
営業利益を確保するため、経費削減へと舵が切られ、
広告は費用対効果を重視したものへと変わり、
得意先への接待も徐々に減っていきました。

利益を確保するための工夫も進み、メーカー品を仕入れるだけでなく、
独自商品を企画し、それを製造してくれる工場を探す動きも広がりました。
メーカーも原材料を見直したり、工程を削ることでコストカットをするようになりました。

そして企業は人件費の削減にも踏み切り、契約社員・派遣社員の雇用が増えていきます。
こうした働き方が増えると「正社員として働けること」が一つのステータスとなり、
社員たちは自分の雇用を守るため、そして少しでも評価を得て出世するために、上司の機嫌を伺う働き方となりました。

■ コロナ禍以降の社会通念

2020年、前代未聞のコロナ禍が起こりました。
 「不要不急」という言葉と行動が、仕事に対する意識を大きく変えたように思います。

自分の仕事は不要不急なのか。 
売上や利益を追求するために、健康や家族との時間を削ってまで働く必要があるのか。

それと、私が日ごろ感じていることなのですが、

現在の40代前半から下の世代の社員たちは、学校教育の中で“ディベート”を経験してきた世代で、
そのためなのか、今の体制に対する改善要求を、いとも簡単に、そして臆することなく口にします。
この中堅社員達の話術に上司たちが納得、共感して、
結果としてその世代の意見が通りやすくなったように感じています。

特に上司世代となった私たちの世代は、長年“売上至上主義”を当然のこととして働いてきたからこそ、
平成育ちの中堅社員達の価値観に、雷に打たれたような意識改革が起きた人が多かったように感じています。

■ 社会通念は時代で変わる

私が働いているこの30年の間にも上記のように社会通念は大きく変遷してきました。
徐々に変わった概念もあれば、コロナ禍のように瞬時に変わる概念もあります。

最近は、すぐに「コンプライアンス違反」だと、訴える人が少なからずいます。
しかし、その事象は本当に社会通念上、多くの人が納得できないものでしょうか。

「コンプライアンス違反」と判断する前に、その事象が本当に現在の社会通念から見ても、
多くの世代の人が納得できないものなのか、一度考えてみてもよいのではないでしょうか。

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