「何かに重ねながら」

「何かに重ねながら」

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私の犬の誕生も、七月の終わりだった。
ふわふわした頭の毛並みも、
妙に私になついてくるところも、
じっと見つめてくる目も、
 抱き上げた時に、ほんのり体重を預けてきたり、
ぺろりと耳を一舐めしてくるあの感じも。 

どこか重なって見えてしまう。

 きっと代わりに私のところへ来てくれたのだと、勝手に思って、勝手に可愛がっている。

 そんなこと、 犬の散歩をしながら歩いていた時に、
ふと浮かんだ。 

ああ、私はこんなふうに何かに重ねてまで、
誰かのことを思うのかもしれない、と。
 ただ、自分がそこまで誰かを思うことができているということに、
驚いている。

その素直な感覚を、素直なままに受け取っていることに少し意外だった。
 ふと感じる温かさや、心の引っかかりみたいなもの。 

そういうことに、少しずつ正直になれるようになってきたからこそ、
触れられた感覚なのだと思う。 

そんなふうに、
誰かを深く思って、
何かを重ねて、
切なくなる。 

そんな自分に戸惑いながらも、
こっちを見つめるけなげな犬の顔を眺め、
今は面白がっているのかもしれない。

自分の中にある感情に、ちゃんと気づいていくこと。
それだけで、少し楽になることがある。
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