「今の働き方に合わせて、就業規則を修正したい」
「手当や休暇の制度を見直したい」
「以前作った規則が、そのままになっている」
このようなとき、まず就業規則の文章を直そうと考える方は多いと思います。
しかし、就業規則の変更では、条文を修正することに加えて、従業員への影響や必要な手続きも確認しなければなりません。
今回は、元労働基準監督官の社会保険労務士が、就業規則を見直す際に押さえておきたい5つのポイントを解説します。
1 一つの条文を変えるときも、関連する規定を確認する
例えば、始業時刻を午前9時から午前8時30分へ変更する場合を考えてみましょう。
終業時刻をそのままにすると、所定労働時間が長くなる可能性があります。休憩時間や賃金の計算方法などにも、影響が及ぶかもしれません。
また、就業規則本体とは別に、賃金規程や育児・介護休業規程などを設けている会社もあります。その場合は、別規程との間で内容が食い違っていないかも確認が必要です。
見直しの際には、次のような点を整理しておきましょう。
・どの制度を、何のために変更するのか
・対象となる従業員は誰か
・関連する条文や別規程はないか
・雇用契約書などの記載との整合性は取れているか
・いつから新しい制度を適用するのか
変更する条文だけを見るのではなく、実際の運用まで考えることが大切です。
2 「意見を聴くこと」と「同意を得ること」は異なる
就業規則の変更手続きでは、従業員側への意見聴取が必要です。
意見を聴く相手は、その事業場に従業員の過半数で組織する労働組合があれば、その労働組合です。そのような労働組合がなければ、従業員の過半数を代表する者となります。
ここで混同しやすいのが、意見聴取と同意の違いです。
労働基準法上の意見聴取は、必ず賛成してもらわなければならない、という手続きではありません。反対意見がある場合には、その意見を記載した意見書を添えて届け出ることになります。
ただし、「反対意見があっても届出ができること」と「変更後の労働条件を有効に適用できること」は、別の問題です。
例えば、手当の廃止や退職金の減額など、従業員に不利益となる変更では、労働契約法上の検討が必要になります。
「意見書を用意したから大丈夫」と判断せず、変更による影響も確認しましょう。
3 変更箇所が少なくても、届出が必要になる
「一つの条文を修正しただけなので、届け出なくてもよいのでは?」
このように考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、常時10人以上の従業員を使用する事業場では、就業規則の一部を変更した場合も、原則として労働基準監督署への届出が必要です。
人数は会社全体ではなく、原則として事業場ごとに判断し、パートタイマーやアルバイトも含めて確認します。
届出の際には、基本的に次の書類を準備します。
・就業規則(変更)届
・過半数労働組合または過半数代表者の意見書
・変更内容を確認できる就業規則などの書類
なお、一部の変更であれば、必ずしも毎回、就業規則の全文を提出する必要はありません。
4 届出が済んでも、従業員への周知が必要
就業規則を変更したら、従業員がその内容を確認できるようにする必要があります。
例えば、次のような方法が考えられます。
・各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける
・書面を従業員に交付する
・法令上の要件を満たす形で、社内システムなどから閲覧できるようにする
注意したいのは、管理者しか開けないフォルダに保存したり、担当者の机にしまったままにしたりしても、十分な周知とはいえないことです。
また、制度の見直しを説明する際には、「何が変わるのか」「いつから適用されるのか」「どこで全文を確認できるのか」を伝えると、従業員も理解しやすくなります。
届出の準備と併せて、周知の方法も決めておきましょう。
5 労働基準監督署で受け付けられても、内容が保証されるわけではない
就業規則の届出が受け付けられると、「これで法的にも問題ない」と安心してしまうことがあります。
しかし、届出の受付は、すべての条文の適法性や、変更の有効性を保証するものではありません。
特に確認したいのは、次のような点です。
・法令の基準を下回る内容になっていないか
・従業員に不利益となる変更が含まれていないか
・規定の内容と実際の働き方が合っているか
・会社として継続して運用できる制度になっているか
ひな形の文章を取り入れる場合も、自社の勤務形態や制度に合っているかを確認する必要があります。
6 就業規則の変更に迷ったら、ご相談ください
就業規則の見直しでは、文章を整えるだけでなく、変更の目的や従業員への影響、意見聴取、届出、周知まで確認することが大切です。
凪社会保険労務士事務所では、労働基準監督官としての勤務経験を活かし、就業規則の作成・見直しや労務管理に関するご相談を承っています。
「修正したい箇所は決まっているけれど、書き方がわからない」
「今の規則に問題がないか確認したい」
「制度を変える前に、注意点を整理したい」
このようなお悩みがありましたら、ココナラの出品サービスをご覧いただき、メッセージからお気軽にお問い合わせください。
ご相談の際は、見直したい内容や現在のお困りごとをお知らせいただけると、対応範囲をご案内しやすくなります。