X、Instagram、TikTok、Facebook、LINEなど、SNSは多くの人にとって日常的なツールになっています。
一方で、会社にとっては、SNSが労務トラブルの原因になることもあります。たとえば、
・従業員が会社や上司、同僚の悪口を投稿した
・職場内の写真や動画を無断で投稿した
・顧客情報や社内資料が写り込んだ画像をアップした
・会社名が分かる形で不適切な発言をした
・退職後に会社の内部事情をSNSで暴露した
このようなトラブルは、会社の信用低下、取引先からのクレーム、従業員間の人間関係悪化、情報漏えい問題につながる可能性があります。
そのため、会社としては、SNS利用に関するルールを就業規則や服務規律に定めておくことが重要です。
1 就業規則に入れておきたいSNS関連規定
SNSトラブルに備える場合、就業規則には次のような規定を整備しておくとよいでしょう。
(1)会社の信用を損なう投稿の禁止
会社名、店舗名、制服、社用車、職場写真などから勤務先が特定される状態で、不適切な投稿をすると、会社全体の信用問題に発展することがあります。
本人は軽い冗談のつもりでも、外部から見ると「この会社は管理が甘い」「従業員教育ができていない」と受け取られることもあります。
そのため、服務規律として、会社の名誉・信用を損なう行為を禁止しておくことが重要です。
(2)秘密情報の漏えい禁止
SNS投稿で特に危険なのが、社内情報の漏えいです。
たとえば、会議資料、売上資料、顧客リスト、見積書、契約書、社内チャット、メール画面などが写真に写り込むケースがあります。
本人に漏えいの意図がなくても、投稿された画像から情報が読み取られることがあります。
そのため、在職中だけでなく、退職後も業務上知り得た秘密情報を漏らしてはならないことを明確にしておく必要があります。
(3)個人情報の投稿禁止
顧客、取引先、従業員、応募者などの氏名、顔写真、住所、電話番号、メールアドレス、健康情報、相談内容などを無断でSNSに投稿することは、大きなトラブルにつながります。
特に、介護、医療、教育、美容、店舗ビジネスなどでは、顧客との距離が近いため、写真や会話内容の投稿に注意が必要です。
「名前を出していないから大丈夫」と思っていても、写真、場所、日時、投稿内容の組み合わせで個人が特定されることもあります。
(4)職場内の写真・動画投稿の制限
職場内の写真や動画には、従業員の顔、顧客情報、書類、PC画面、掲示物、設備、商品、作業工程などが映り込む可能性があります。
会社が広報目的で撮影・投稿を認める場合を除き、従業員が個人判断で職場内の写真や動画をSNSに投稿することは制限しておくべきです。
特に、現場、倉庫、バックヤード、事務所内、休憩室などは、外部に見せる前提で管理されていないことが多いため注意が必要です。
2.懲戒規定とのつながりも重要
SNSトラブルが発生した場合、会社として注意指導、配置転換、懲戒処分などを検討することがあります。
懲戒処分を行うには、就業規則上の根拠、問題行為の内容、会社への影響、本人の反省状況、過去の指導歴、処分の重さとのバランスなどを慎重に確認する必要があります。
そのため、SNS関連の禁止事項を服務規律に定めるだけでなく、懲戒事由にも連動させておくことが重要です。
3.就業規則を作るだけでは不十分
SNSトラブル対策では、就業規則を作るだけで終わりではありません。
従業員に内容を周知し、どのような投稿が危険なのかを具体例で説明することが重要です。
「職場の写真を投稿しない」
「顧客や同僚が写る写真を無断で載せない」
「会社名が分かる状態で不適切な投稿をしない」
「社内資料やPC画面を撮影しない」
「仕事上知った情報をSNSに書かない」
このような基本ルールを、採用時、入社時、研修時などに説明しておくと効果的です。
4.まとめ
SNSトラブルは、どの会社でも起こり得る時代になっています。
特に、会社名や職場が特定される投稿、秘密情報や個人情報の漏えい、従業員同士の誹謗中傷、職場内写真の無断投稿などは、会社の信用や職場環境に大きな影響を与える可能性があります。
SNS利用を過度に制限する必要はありませんが、会社を守るためには、就業規則や服務規律の中で、禁止される行為を具体的に定めておくことが重要です。
「SNSに関する規定がない」
「服務規律が古いままになっている」
「秘密保持や個人情報保護の規定が不十分」
「懲戒規定とSNSトラブルがつながっていない」
このような会社は、一度、就業規則の内容を確認しておくことをおすすめします。