遅刻・早退が多い従業員に会社はどう対応すべきか

遅刻・早退が多い従業員に会社はどう対応すべきか

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法律・税務・士業全般
 従業員の遅刻や早退が続くと、会社としては対応に悩むことがあります。「また遅刻か……」「周りの従業員に示しがつかない」「注意しても改善しない場合、処分してよいのか」
 このように感じる場面もあると思います。
 たしかに、遅刻や早退が多い状態を放置すると、業務に支障が出るだけでなく、真面目に働いている従業員の不満にもつながります。
 一方で、会社が感情的に対応してしまうと、後から「不当な処分だ」「説明もなく給与を引かれた」など、別のトラブルに発展する可能性もあります。
そこで今回は、遅刻・早退が多い従業員に対して、会社がどのような順番で対応すべきかを解説します。

1 まずは事実を確認する

 最初に大切なのは、遅刻や早退の事実を客観的に確認することです。単に「最近よく遅れている気がする」という感覚だけで注意や処分をするのは避けた方がよいです。
 たとえば、次のような内容を確認します。
 ・いつ遅刻したのか
 ・何分遅刻したのか
 ・早退した日はいつか
 ・早退の理由は何か
 ・事前連絡はあったのか
 ・同じようなことが何回続いているのか
 勤怠管理システム、タイムカード、出勤簿、上司への連絡記録などを確認し、まずは事実関係を整理しましょう。
 遅刻・早退の対応でよくないのは、「印象」だけで話を進めてしまうことです。
 会社としては、後で説明できるように、具体的な日付・時間・回数を記録しておくことが重要です。

2 本人から理由を確認する

 次に、本人から事情を確認します。遅刻や早退が多いといっても、理由はさまざまです。
たとえば、
・寝坊や生活習慣の乱れ
・通勤手段の問題
・家庭の事情
・体調不良
・メンタル不調
・育児や介護
・職場での人間関係
などが考えられます。
 もちろん、理由があるからといって、何度も遅刻してよいということにはなりません。
 ただし、理由を確認せずに一方的に叱責したり、すぐに懲戒処分を検討したりするのは危険です。
 特に、体調不良、育児、介護、メンタル不調などが関係している場合は、勤務時間の調整、休暇制度の利用、配置の見直しなど、会社として配慮が必要になる場面もあります。
 そのため、まずは冷静に本人から事情を聞き、改善の見込みや会社として対応できることがないかを確認しましょう。

3 遅刻・早退した時間分の賃金控除は可能

 遅刻や早退により実際に働いていない時間については、その時間分の賃金を支払わないという対応は可能です。
 ただし、注意点があります。控除できるのは、あくまで「働いていない時間分」です。たとえば、15分遅刻した従業員に対して、実際の遅刻時間を超えて1時間分の賃金を控除するような扱いをすると、通常の欠勤控除ではなく、制裁としての減給と判断される可能性があります。
 遅刻や欠勤分だけを差し引く場合は減給の制裁とは別ですが、実際に働かなかった時間を超えて差し引く場合は制裁として扱われる可能性があります。
 つまり、会社としては、
 「働いていない時間分の控除」
 と
 「懲戒処分としての減給」
 を分けて考える必要があります。

4 いきなり重い処分をしない

 遅刻や早退が続く場合でも、いきなり重い懲戒処分をするのは慎重に考えるべきです。
 基本的には、次のような段階を踏むことが望ましいです。
 まずは口頭で注意する。
 それでも改善しない場合は、面談を行い、改善を求める。
 さらに続く場合は、文書で注意・指導を行う。
 それでも改善しない場合に、就業規則に基づく懲戒処分を検討する。
 このように、会社としては「何度も注意した」「改善の機会を与えた」「それでも改善されなかった」という流れを残しておくことが大切です。
 反対に、記録もなく、指導も不十分なまま処分をすると、後から処分の妥当性を説明しにくくなります。

5 注意指導は記録に残す

 遅刻や早退への対応では、記録が非常に重要です。口頭で注意しただけだと、後になって本人から「そんなことは言われていない」と言われることもあります。
 そのため、少なくとも社内メモや面談記録として、次の内容を残しておくとよいです。
 ・面談日
 ・対応者
 ・本人の説明内容
 ・会社から注意した内容
 ・今後改善してほしい内容
 ・次回同じことがあった場合の対応
 ・〇月〇日、始業時刻9時に対し、9時25分に出勤した
 ・〇月中に遅刻が5回あった
 ・事前連絡がなかった
 というように、客観的な事実を中心に記録します。
 労務トラブルでは、「会社がどう感じたか」よりも、「どのような事実があり、会社がどのように対応したか」が重要になります。

6 懲戒処分をするには就業規則の確認が必要

 遅刻や早退が改善されない場合、会社として懲戒処分を検討することもあります。
 ただし、懲戒処分を行うには、就業規則に懲戒の種類や事由が定められていることが重要です。
 会社としては、
 ・就業規則に遅刻、早退に関する服務規律があるか
 ・懲戒事由として定められているか
 ・懲戒の種類が定められているか
 ・処分内容が重すぎないか
 を確認する必要があります。
 就業規則に根拠がないまま処分をすると、トラブルになる可能性があります。また、就業規則に規定がある場合でも、実際の処分が重すぎると、懲戒権の濫用と判断される可能性があります。労働契約法では、懲戒について客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効とされています。



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