【松野翔太:堺市/教師】人の話を聞くように、コードを読んでみた

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ビジネス・マーケティング
フリーランスエンジニアとして働いていると、コードレビューを頼まれることがよくある。誰かが書いたプログラムを読んで、改善点を提案したり、動作をチェックしたりする仕事だ。でも最近、この作業をしているときに、少し違う感覚になることがある。まるで“人の話を聞いている”ような気分になるのだ。

コードには、その人の癖が出る。命名の仕方、改行の位置、コメントの言葉遣い。表情も声もないのに、不思議と書いた人の性格が伝わってくる。焦っていたのか、迷っていたのか、楽しんでいたのか。人と話しているときと同じように、「ああ、この人はここで少し困ったんだな」とわかる瞬間がある。

教師をしていた頃、生徒の作文を読むのが好きだった。文章の中に小さなつまずきやためらいを見つけると、その裏にある感情まで見えてくる気がした。あのとき感じていた「書いた人の呼吸を読む感覚」が、今になってコードレビューという形で蘇っている。プログラミングって、無機質な作業に見えて、実はとても人間的な行為なんだと思う。

エンジニアを始めたばかりの頃は、コードを「正しいかどうか」でしか見ていなかった。でも今は、「どうしてこう書いたのか」を考えるようになった。たとえば、非効率な処理が書かれていても、そこには必ず理由がある。制約があったのか、時間が足りなかったのか、別の誰かと調整中だったのか。背景を想像すると、コードの“物語”が浮かび上がってくる。

レビューで大切なのは、「間違いを指摘すること」ではなく、「考え方を理解すること」だと思っている。相手が何を大切にしてそのコードを書いたのか。それを理解してから意見を伝えると、会話が生まれる。たとえ画面越しでも、そこに人と人との信頼が芽生える。

ココナラで出品している案件の中にも、コードレビューや技術相談の依頼が多い。でも実際にやっていることは、技術だけじゃなく“対話”だ。プログラミングの相談を受けながら、「こう考えるとシンプルになりますよ」と伝えると、相手がふっと表情を緩める。たとえ画面越しでも、教室の空気を思い出す。言葉が届いた瞬間の、あの静かな共鳴。

結局のところ、コードも会話も「聴く力」がすべてなんだと思う。誰かの作ったものに向き合うとき、それを批評する前に、まず「なぜそうなったのか」を聴く。そこにこそ、成長の種が隠れている。コードは人の言葉を別の形で綴った手紙のようなもの。だから今日も僕は、エディタを開きながら、人の声を聴くようにコードを読む。
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