これまで5回にわたり、経営理念についてお話ししてきました。
・経営理念とは何か
・Mission・Vision・Value(MVV)の違い
・MVVは作ることより使うことが重要であること
・理念を作るだけでは会社は変わらない理由
・理念を現場へ浸透させる方法
ここまで読むと、
「理念を作り、仕組みに組み込めば会社は変わる」
と思われるかもしれません。
しかし、最後にもう一つだけ、とても大切なことがあります。
理念を生きたものにするのは、経営者の行動です。
1. 社員は理念よりも経営者を見ている
会社には立派な経営理念が掲げられています。
Missionがあり、Visionがあり、Valueもあります。
しかし、社員が毎日見ているのはホームページでも会社案内でもありません。
社長です。部長です。上司です。
社員は、経営者や管理職がどのような判断をし、
どのような行動を取っているかを見ています。
つまり、社員は理念そのものではなく、
「この会社は、本当は何を大切にしているのか」
を経営者の日々の行動から感じ取っているのです。
2. 理念と逆の行動をすれば、理念は一瞬で崩れる
例えば、Valueに「挑戦を大切にする」と掲げていたとします。
しかし、社員が新しい提案をすると、
「前例がない。」
「失敗したら責任を取れるのか。」
と否定される。
あるいは、「お客様第一」を掲げながら、利益だけを優先した判断をする。
社員はどう思うでしょうか。
「理念は建前なんだ。」
そう感じてしまいます。
理念は何年もかけて作ることができます。
しかし、その信頼は、たった一度の行動で失われることがあります。
3. 理念を浸透させる一番の方法は、経営者が実践すること
逆に、経営者自身が理念を体現していれば、
社員は自然とその姿を見て学びます。
例えば、挑戦を大切にする会社であれば、
失敗した社員を責めるのではなく、挑戦したこと自体を評価する。
お客様第一を掲げる会社であれば、
短期的な利益よりも、お客様との長期的な信頼を優先する。
会議でも、
「当社のValueに照らすと、どう考えるべきだろう。」
という言葉が自然に出てくる。
こうした行動を積み重ねることで、
理念は少しずつ組織の文化になっていきます。
4. 理念は「言葉」ではなく「行動」で伝わる
私は、理念を浸透させるために最も重要なのは、
理念を語ることではなく、理念に従って行動すること
だと思っています。
社員は、経営者が何を話したかよりも、
・何を評価したか
・何を許したか
・何を叱ったか
・どのような判断をしたか
を見ています。
だからこそ、理念を浸透させる最も効果的な方法は、
経営者自身が理念を実践し続けることなのです。
5. 理念は会社の文化になる
経営理念は、額縁に飾るために作るものではありません。
社員が毎日の仕事の中で使い、判断に迷ったときに立ち返り、
行動の基準となるためにあります。
そして、それが何年も積み重なることで、理念は会社の文化になります。
文化とは、ルールで守らせるものではなく、社員が自然とそのように行動する状態です。
そこまで到達して初めて、理念は本当の意味で組織に浸透したと言えるのだと思います。
まとめ
このシリーズでは、
・経営理念とは何か
・Mission・Vision・Value(MVV)の違い
・MVVは作ることより使うことが重要
・理念を作るだけでは会社は変わらない理由
・理念を現場に浸透させる方法
についてお話ししてきました。
理念を作る。
MVVを整理する。
日々の判断で使う。
採用や評価、会議に組み込む。
そして最後は、経営者自身が理念を実践すること。
どれか一つだけでは、理念は組織に根付きません。
しかし、一つひとつ積み重ねていけば、
理念は単なる言葉ではなく、会社の文化になっていきます。
経営理念は会社の「言葉」です。
しかし、その言葉に命を吹き込むのは、経営者の日々の行動です。
社員は理念を読むのではなく、経営者を見ています。
だからこそ、理念を浸透させる最初の一歩は、
経営者自身が理念に従って行動することなのです。
最後に
このシリーズでは、経営理念について6回にわたってお伝えしてきました。
経営理念は、立派な言葉を作ることが目的ではありません。会社が迷ったときの判断の軸となり、社員一人ひとりの行動につながって初めて価値を持ちます。
「経営理念を作りたい」
「MVVを整理したい」
「理念を現場へ浸透させたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
メーカーで培った経験をもとに、理念づくりから組織への浸透、
実際の経営判断に生かす仕組みづくりまで、一緒に考え、ご支援いたします。