経営理念シリーズ④ 理念を作っても会社は変わらない理由

経営理念シリーズ④ 理念を作っても会社は変わらない理由

記事
ビジネス・マーケティング
前回は、Mission・Vision・Value(MVV)は
「作ること」よりも「使うこと」が重要であることをご紹介しました。

MVVは、社員が判断に迷ったときの軸になります。
しかし、MVVを作れば会社が変わるかというと、そうではありません。

実際には、時間をかけて理念を策定したにもかかわらず、
「社員に浸透しない」
「結局、誰も意識していない」
という会社は少なくありません。

では、その違いはどこにあるのでしょうか。

1. 理念は「作ること」がゴールではない

理念策定のプロジェクトでは、
何度も議論を重ね、
言葉を磨き、
立派な経営理念やMVVが完成します。

そして、
ホームページに掲載する。
会社案内を作り直す。
会議室に額縁を飾る。
ここで満足してしまう会社は少なくありません。

しかし、
理念は完成した瞬間がスタートです。

社員の行動が変わらなければ、
どれほど立派な理念でも、会社は何も変わりません。

2. なぜ、多くの会社はそこで止まってしまうのか

理念を作ることがゴールではないことは、多くの経営者が理解しています。
それでも、理念が組織に浸透しない会社が少なくありません。

その理由は、理念を作ることには明確なゴールがある一方で、
理念を浸透させることには終わりがないからです。

理念策定のプロジェクトには、
 ・ワークショップを実施する
 ・理念を言語化する
 ・社内へ発表する
といった分かりやすいゴールがあります。

一方で、理念を浸透させる活動には終わりがありません。

さらに、理念が浸透したかどうかは成果が見えにくく、
担当者も曖昧になりがちです。

その結果、売上やクレーム対応、採用など、目の前の仕事が優先され、
理念は少しずつ忘れられていきます。

つまり、多くの会社が理念を軽視しているわけではありません。
「理念をどう使えばよいのか分からない」
ことこそが、本当の課題なのです。

3. 理念は「特別なもの」ではなく、日常的に使うもの

もう一つ、多くの会社に共通することがあります。

それは、
理念を大切にしようとするあまり、特別なものとして扱ってしまうことです。


例えば、
額縁に入れて会議室へ飾る。
朝礼で唱和する。
創立記念日に読み返す。


もちろん、それ自体は悪いことではありません。
しかし、それだけでは理念は社員の日常から少しずつ遠ざかってしまいます。

理念は、本来そのような「飾るもの」ではありません。

社員が判断に迷ったとき、
上司が部下へフィードバックするとき、
会議で意思決定するとき。

そうした日常の中で繰り返し使われて初めて、理念は意味を持ちます。


私は、
理念とは額縁の中に飾るものではなく、毎日使うもの
だと考えています

だからこそ重要なのは、
理念を会社のあらゆる仕組みの中へ組み込むことです。


例えば、
 ・採用
 ・人事評価
 ・昇進・昇格
 ・表彰制度
 ・会議
 ・日々のコミュニケーション

こうした場面で理念が判断基準として使われているでしょうか。
もし使われていなければ、
理念は額縁の中にあるだけの言葉で終わってしまいます。

4. 評価制度が理念と一致しているか

例えば、Valueに「挑戦を大切にする」と掲げていたとします。

しかし、人事評価では「失敗した人は減点」
という運用になっていたらどうでしょうか。

社員は挑戦するでしょうか。
おそらくしません。

逆に、
挑戦した結果うまくいかなかったとしても、
挑戦そのものを評価する会社であれば、
社員は安心して新しいことに取り組めます。

人は、
会社が言っていることではなく、
会社が評価していることに合わせて行動します。

だからこそ、
理念と評価制度を一致させることが重要なのです。

5. 採用でも理念を使っているか

理念は、社員を育てるだけでなく、採用の場面でも判断基準になります。

例えば、Valueに「挑戦を大切にする」と掲げている会社があるとします。

しかし、中途採用の面接で
「経験が豊富だから」
「営業成績が良かったから」
というスキルや実績だけで採用を決めていたらどうでしょうか。

その人が会社の価値観に共感していなければ、
入社後に組織へなじむまで時間がかかったり、
時にはミスマッチにつながったりすることもあります。

もちろん、価値観を面接だけで完全に見極めることはできません。

しかし、
「これまで最も困難だった挑戦は何ですか。」
「失敗した経験から何を学びましたか。」
「チームで成果を出すために意識していることは何ですか。」

といった質問を通じて、その人がどのような価値観を持ち、
どのように行動してきたかを知ることはできます。

採用で見るべきなのは、スキルだけではありません。
会社の価値観に共感し、一緒に実現していける人かどうか。
その視点を持つことで、理念は採用の場面でも生きてきます。

6. 会議や日常会話で理念は使われているか

理念が浸透している会社では会議の中で自然に、
「私たちのMissionに照らすとどう考えるべきだろう。」
「この判断はVisionに近づいているだろうか。」
「Valueを基準にすると、どちらを選ぶべきだろう。」
という会話が交わされています。

また、
部下との面談や日常会話でも、
「その行動は当社のValueらしいね。」
といった言葉が自然に出てきます。

つまり、
理念は説明するものではなく、
日々の意思決定やコミュニケーションの中で使うものなのです。

まとめ

理念は、作れば浸透するものではありません。

採用、評価、会議、日常会話など、
会社のあらゆる仕組みの中で使われて初めて、
組織の文化になっていきます。

だからこそ、
理念は掲げるだけではなく、
会社の仕組みに組み込むことが大切なのです。

では、具体的にはどのように理念を現場へ浸透させればよいのでしょうか。

次回は「理念を現場に浸透させる方法」をテーマに
明日から実践できる方法をご紹介します。

最後に

「経営理念はあるが、社員に浸透していない」
「MVVを作ったものの、実際の経営で活用できていない」
「組織全体が同じ方向を向く会社をつくりたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

理念を作るだけで終わらせず、採用・評価・会議・組織運営まで含めて、
実際に機能する仕組みづくりをご支援いたします。

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