経営理念シリーズ① 経営理念は何のためにあるのか

経営理念シリーズ① 経営理念は何のためにあるのか

記事
ビジネス・マーケティング
「経営理念はありますか?」
そう聞かれると、多くの経営者は少し考え込みます。

会社案内には書いてある。
ホームページにも載っている。
でも、社員に聞いたら答えられない。

そんな会社は決して珍しくありません。
一方で、創業間もない会社でも、経営理念をとても大切にしている企業があります。

では、経営理念は何のためにあるのでしょうか。
私は、社員の判断基準を合わせるためだと考えています。

1. 経営者は、すべてを指示できない

会社が小さいうちは、社長がすべてを見られます。
しかし、社員が10人、50人、100人と増えるにつれ、
すべての判断を社長一人で行うことはできません。

営業担当者は、お客様の前で判断します。
工場では、品質や納期について判断します。
商品企画では、どの商品を開発するか判断します。

つまり、会社では毎日のように無数の意思決定が行われています。
もし社員全員が、それぞれ違う価値観で判断していたらどうなるでしょうか。

同じ会社なのに、人によって答えが変わる。
部署によって対応が違う。
お客様は混乱し、社員同士も衝突します。

だからこそ、判断の軸が必要になります。
それが経営理念です。

2. 経営理念とは何か

では、経営理念とは何でしょうか。

私は、「会社として何を大切にし、どのような判断や行動を取るのかを示した基本的な考え方」だと考えています。

経営理念は、会社の存在意義を示すだけのものではありません。
日々の仕事の中で迷ったときに、「この会社ならどう判断するか」を示す共通の軸でもあります。

例えば、
 ・品質を重視するのか、価格を重視するのか
 ・短期的な成果を重視するのか、長期的な成長を重視するのか
 ・挑戦を歓迎するのか、確実性を重視するのか

こうした場面で、社員一人ひとりが同じ方向を向いて判断できるようにするのが経営理念の役割です。

つまり、経営理念とは、会社の価値観を言葉にしたものであり、社員が判断に迷ったときの拠り所となるものなのです。

3. 有名企業も、理念を判断基準にしている

経営理念は、立派な言葉を掲げるためのものではありません。
世界的な企業も、理念を日々の意思決定に生かしています。

例えば、Amazonでは、「Customer Obsession(顧客への徹底的なこだわり)」をリーダーシップ・プリンシプルの最初に掲げています。新しいサービスを考えるときも、会議で議論するときも、「お客様にとって本当に価値があるか」という視点が判断の出発点になっています。

また、ソニーグループは、創業当初に井深大氏と盛田昭夫氏が「設立趣意書」を作成し、「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」などの理念を掲げました。この創業の精神は現在も企業理念へと受け継がれ、ソニーらしい挑戦や創造性を支える原点となっています。

さらに、Patagoniaは、「We're in business to save our home planet.(私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。)」というミッションを掲げています。この理念は、製品開発や環境保護活動だけでなく、経営判断そのものにも反映されています。

企業の規模や業種は違っても、共通しているのは、理念を会社紹介のためではなく、日々の判断や行動の基準として活用していることです。

4. 理念は「きれいな言葉」である必要はない

経営理念というと、
「社会に貢献する」
「お客様第一」
といった美しい言葉を思い浮かべる人も多いでしょう。

もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、抽象的すぎる理念は、人によって解釈が変わってしまいます。

例えば、「お客様第一」と言われても、

価格を優先する人もいれば、品質を優先する人もいます。
納期を守ることだと考える人もいます。

一方で、
「短期的な利益よりも、お客様との長期的な信頼を優先する」
という理念であれば、迷ったときの判断基準になります。

理念は、覚えやすさだけでなく、判断できることが重要なのです。

5. 理念がある会社と、ない会社の違い

理念が浸透している会社では、社員は迷ったときに、
「この判断は会社の考え方に合っているだろうか」
と立ち止まって考えます。

一方、理念が機能していない会社では、
その場の雰囲気や上司の顔色、その時々の利益だけで判断してしまいがちです。

短期的には同じ結果に見えても、その積み重ねが会社の文化をつくり、企業としての強みやブランドにもつながっていきます。

まとめ

経営理念は、会社をよく見せるための飾りではありません。
また、社員を感動させるためのスローガンでもありません。
社員一人ひとりが迷ったときに、同じ方向を向いて判断するための「軸」です。

会社が成長するほど、経営者一人ですべてを判断することはできなくなります。
だからこそ、経営理念が必要になるのです。

次回は、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の違い」について解説します。

それぞれの役割を理解すると、経営理念をより実践的に活用できるようになります。

最後に

「経営理念を作ったものの、現場で活用できていない」
「社員の判断基準をそろえたい」
「理念を事業計画や組織運営につなげたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

経営理念の構築に関わった経験をもとに、理念を「作ること」で終わらせず、「実際に機能する理念」にするための進め方を一緒に考えます。
メッセージもお気軽にどうぞ。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す